はじめに
新型車が発売されるときはいつでも、自動車メーカーは直接的な先代モデルを引き合いに出すものだ。そこに意味を見出せるのは、一般的に新旧2台のクルマが近いもので、比較しやすい場合だ。
その点、フェラーリ296GTBのプレス向け資料は、先代にあたるF8トリブートに一切触れず、参照しているのは1957年に導入された1500ccのフォーミュラ2だった。こんなケースはまったくもってはじめてだ。
どうしてフェラーリがディーノ156F2の名を持ち出したのかといえば、この小さなシングルシーターが、フェラーリ初のV6搭載車だったからだ。もちろん、296GTBは跳ね馬のバッジを付けた初のV6ロードカーである。
このきわめて重大で、法規制に強いられたアプローチの転換は、数十年にわたって続いてきた、ミドシップのフェラーリはV8エンジン車だというフォーマットを打ち崩した。もっとも、シリンダーの数は、この話のひとつの側面に過ぎない。もうひとつ、ハイブリッド化という重要な要素がある。
2013年、センセーショナルなラ・フェラーリは、マラネロの電動化戦略がレースフィールドから公道へ応用されることを示した。それからテクノロジーはかなりの発展を重ね、2019年にはプラグインハイブリッドのSF90が登場。それらは限定生産車だったが、296GTBでいよいよ通常ラインナップのスーパーカーが電動化されたのである。
この流れはもはや、時代の趨勢となりつつある。296GTBの競合車としては、すでにすばらしい出来栄えのマクラーレン・アルトゥーラが存在しているし、ランボルギーニ・ウラカンの後継モデルをはじめ、多くのモデルが追随することになるのは間違いない。
しかし、フェラーリオーナー予備軍にとって、これはどんな意味を持つことになるのだろう。フェラーリのキモともいうべきソウルフルなパワートレインは、健在なのか。電動化による重量増加は、魔法のようなハンドリングを損ねてはいないだろうか。価格は法外ではないか。メカニズムは複雑になりすぎていないか。すべてありうる話だが、すべて解消されているかもしれない。今回は、それを確かめようというわけだ。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ディーノ156のキャブレター式V6は179psだったが、少なくともそれより、F163型こと296GTBの新開発された超低重心ユニットはパワフルだ。2992ccで663psを発生し、8500rpmまで回る。バンク角の広い左右シリンダーの間に設置されたターボは、720psのF8トリブートより小型化され、最高回転数を18万rpmまで高めた。
着火タイミングは1−6-3-4-2-5とシンメトリカルで、不等長エキゾーストマニフォールドはV12エンジンのような高周波音を生むために設計された。実際、極限のパワーを犠牲にして、可能な限りサウンドのチューニングが施されている。
さらに、このモデルにもフェラーリ独自のホットチューブが採用された。これは、排気処理される前の箇所からエンジン音を抽出し、コクピットへと送り込む機構だ。
このコンパクトな新型V6は、フェラーリによれば市販車最強だという。それに続いて設置されるのは、8速DCTと電子制御LSDだが、エンジンとギアボックスの間には、スリムなアキシャルフラックスモーターが配置される。出力は165psで、クオリファイングモードでは後輪を合計830psで駆動する。
フェラーリはF1の用語を引用して、このモーターをMGU−Kと呼ぶ。パワーとトルクをかなり増強するばかりでなく、スロットルレスポンス向上にも寄与し、またフロア下に積んだ7.5kWhのバッテリーに蓄えた電力を用いて、単体で最大24km走行することも可能だ。
ただし、ハイブリッドシステムは重量増の原因にもなっている。1470kgという公称の乾燥重量は、V8を積むF8トリブートを35kg上回る。ボディサイズが小さくなり、気筒数がふたつ減ったうえでだ。さらに、テスト車の実測重量は、カーボンタブを用いるマクラーレン・アルトゥーラに対し100kgほど重い。
また、1990年代以来のミドシップ・フェラーリの中で、296GTBのホイールベースはもっとも短い。F8トリブートと比べれば、ドライバーは14mm前輪に近く座らされる。
ヴィジュアル的には、先代ほどアグレッシブではない。キャブフォワードのシルエットには、250LMを彷彿させるフェンダーのラインが組み合わされるが、停まっているときの存在感は、驚くほどおとなしいものだ。
内側には、シャシーの電子制御デバイスが満載だ。e−デフは左右後輪へのトルク配分量や、ブレーキング時にその制御をどれくらい緩めるかを正確にコントロールする。新世代のABSも、ブレーキ性能を高めるとされていて、しかもどのようなシチュエーションでもペダルフィールは一定していて適切だ。
サーキット走行を検討しているなら、アセット・フィオラノパッケージの装着も考えるのではないだろうか。3万ポンド(約483万円)近いオプションだが、レキサン製の超軽量リアウインドウで15kg削減できる上に、ダウンフォースが増加し、GTレース由来のマルチマチックダンパーも装備される。
アセット・フィオラノパッケージのタイヤは、ミシュランのパイロットスポーツ・カップ2R。テスト車が履いていたのは、それよりバーサタイルに使える標準装着のパイロットスポーツ4Sだった。
内装 ★★★★★★★★☆☆
コクピットは、296GTBより高価なSF90に似たものだが、そこまで彫刻的でもゆったりしたものでもない。モノコックがバブル的な空間をもたらす低いスカットルのアルトゥーラやマセラティMC20、派手なシェルターのようなウラカンに比べれば、普通な感じがしてしまう。
とはいえ、スーパーカーとしては斬新なくらい大人っぽく、エルゴノミクスは真っ当だ。疑問を覚えるクロームトリムがひとつふたつあるが、贅沢なレザーも用いられ、質感は高い。ラグジュアリーとスポーティの絶妙な境界線上にあり、不便さを強いることなくエキサイティングさを醸し出している。
もちろん、好みに合わせて手を入れることは可能だ。アセット・フィオラノ仕様ではカーボン剥き出しのドアパネルや、サイドサポートの高いレーシングバケットシート、アルカンターラのダッシュボードや、ステアリングホイールのLEDシフトアップライトが備わる。タンレザーやアルミを用いた仕様よりかなりスパルタンになるが、296GTBはどちらのアプローチもしっくりくる。
どちらを選んだにしても、リアウインドウ越しの視界はすばらしく良好だ。ドライビングポジションはもう少しステアリングコラムのテレスコピック量がほしかったものの、快適な姿勢をとるのは容易で、常に四輪の正確な位置を直感的に把握できる。
気になる点はふたつ。まず、操作系をステアリングに集中させようとするフェラーリの傾向には、相変わらずいらだちを覚える。とくに、無駄を一切排したアルトゥーラのステアリングホイールを見た後では、余計にそれを感じる。
もうひとつが、室内の収納スペースが少ないことだ。とはいえ、これはスーパーカーの部類に入るクルマであり、SF90にはなかったフロントトランクも備わる。
走り ★★★★★★★★★★
フェラーリのミドシップモデルは、ハイブリッド化によってパフォーマンスを大きく高めたわけではないが、多少ながら向上をみている。じつにわずかなものにすぎないかもしれないが。0-161km/h加速は5.1秒で、これは猛烈に速くアグレッシブなサーキットスペシャルの488ピスタを0.5秒凌ぐタイムだ。
48-113km/hの中間加速は1.9秒で、1000psで4WDのPHEVであるSF90に0.1秒、1200psのブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツに0.2秒遅れるのみだ。つまるところ、中速域の加速性能は、世界最速レベルでもっとも高価な類のクルマが見せていた強烈さが、いまやV6を積むフェラーリのエントリーモデルでも得られるということだ。
しかも、それは広範囲にわたって一貫している。6速ギアで50km/h程度から300km/hオーバーまで衰えることなく加速し、48-80km/hは3秒ジャスト、209-241km/hはたったの2.6秒だ。この一貫性は、じつにみごとなものだ。
そのパフォーマンスの規模は並外れているが、同じくらいみごとなのが電動化要素との統合ぶりだ。単体で166psを発生する電気モーターは、エンジンとギアボックスの間に配置され、シャープでナチュラルなスロットルレスポンスを生む。
このモーターと、高回転型ターボとのコンビネーションで、296GTBはこれまでのV8フェラーリには期待できなかった、精密でリニアな感覚を得ている。ブースト圧は素早く高まり、しかし爆発的なトルクが勝手に駆動輪を圧倒してしまうことはない。これは、じつに巧みなチューニングを施されたシャシーの電子制御によるところもあるが、過剰に依存することはまずない。
実際、秀逸なトラクションと予測性は、この荒々しいまでにパワフルなフェラーリにおけるふたつの美点だ。しかも、新型エンジンのサウンドは、V6ターボという前提を抜きにしてもこの上なくすばらしい。高周波と過給器の叫びがブレンドされ、まるで自然吸気ユニットのように8500rpmまで回るのだ。
しかしながら、パワートレインのモードをパフォーマンスやクオリファイングに入れて攻めたり、鞭打つように素早いシフトアップをすることがなければ、一般的なスポーツクーペのような運転のしやすさも見せてくれる。ハイブリッドモードでは、必要に応じて電動走行も使用する。
予期せずペースを上げる必要が生じたときに、もう少しスロットルペダルの踏み込みが少なくてもエンジンがかかってくれたら、申し分ないのだが。それが、唯一の不満らしい不満だ。
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
インフォテインメント
現行世代のフェラーリは、鮮明な16.0インチ画面が全面をカバーするフルデジタルメーターで、ステアリングホイール越しに隅々まで視認できる。
操作は、ステアリングホイールに設置されたタッチ式パッドを、親指でスワイプして行う。直観性やレスポンスは最高レベルとは言えないが、ナビゲーションやメディア、コミュニケーションのメニューをスクロールするのはやりやすく、すぐに慣れる。
また、目的地近くで静かに走りたいときに備えて、走行中にバッテリーを充電できるメニューを選択することもできる。ディスプレイ表示は3つのモードから選べる可能が、われわれとしては回転計が真正面に大きく陣取る標準レイアウトがベストだと思う。盤面のカラー変更も可能だ。
英国仕様は、Apple CarPlayが標準装備されるのがありがたい。というのも、過去のフェラーリはこの機能にかなり高いオプション価格を付けていたからだ。ワイヤレス充電も標準装備しているが、Android Autoの設定はない。
燈火類
マトリックスLEDヘッドライトは標準装備だが、自動ハイビームはオプション。クリアに、遠くまで照らしてくれる。
ステアリングとペダル
左ハンドルのテスト車は、ペダルが想像以上に右へオフセットされていたが、問題になることは決してない。ただし、左足ブレーキを使うドライバーは、アルトゥーラのほうが好ましいだろう。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★★
フェラーリはこれまで、自社のスーパーカーにおいて自由に流れるような走りに磨きをかけてきたが、それは296GTBでも続いているばかりか、よりいっそう増している。
ハイブリッドが可能にした、自然吸気の458イタリア以来のスロットルレスポンスと、最新世代のサイドスリップコントロールを得た296GTBは、マラネロの最高傑作だとさえ言えるのではないだろうか。少なくとも、ハンドリングに関しては。
公道上で、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sを履いての走りでは、シャシーはハイレベルなスリルを感じさせながら、いかなる価格帯にもこれに匹敵するミドシップカーはないと思えるほど扱いやすいスロットルオンでのアジャスト性も持ち合わせている。
これは、莫大なパワーの蓄えを取り扱うのに注意を要するようなマシンではないが、その蓄えをあまり使わないときに持ち味が輝き、しばしばマネッティーノをCTオフモードにすると理想的になる。そして、296GTBのマジックの大半は、ドライバーにそうした走り方をする自信を、いかにたやすく与えてくれるかという部分に見出せる。
軽い電動アシストステアリングは、必要とされるだけのクイックさとデリケートさを備えているが、それ以上のやり過ぎはまったくない。ターンインでのグリップは並外れて強力。クルマの鼻先がどこへ向かうかに疑いの余地は一切なく、そこから走りの中心がリアの駆動輪へと移る動きはみごとなまでにシームレスだ。
たしかに、本当の意味でのロードフィールやステアリングの手応えの変動は、ポルシェ911GT3やマクラーレン・アルトゥーラほどではない。また全般的に、路面をダイレクトに捉えるという点でもライバルたちに及ばず、路面の感触はフィルターがかかった感じが強い。
しかし、操縦性にはほぼケチのつけようがなく、スロットルとバイワイヤのブレーキのペダルはすばらしい調整が施されている。ストリートファイターではなく、高級車のようななめらかさで、それでもやはり魅力的だ。
そのため、ドライビングはほぼ直観的で、晩秋の路上でもフロントのグリップは秀逸。パワーやスピードが勝ったときにも、きわめてわずかなアンダーステアは出るものの、すぐに安定して旋回をはじめる。すべてはドライバー次第だ。
296GTBには、シンプルな繊細さがある。そこに遊び心が上乗せされ、ピッチやスクワット、ロールはほぼ完璧に抑え込まれている。その結果、おそらくいま新車で買えるなかでは、もっとも扱いやすい上に走らせ甲斐もあるスーパーカーとなっている。それでいて、奥の深さもまた兼ね備えている。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
英国の路上において296GTBが、V12スーパーGTモデルの812スーパーファストより優れた追従性を発揮するケースがある。もちろんそれは、A級道路ではるかになめらかな走りを見せるということでもある。それは、お好みのしなやかさが選べる標準装備の磁性流体ダンパーを、よりソフトなモードにした場合だ。
そうでなくても、このクルマは総じて無駄な神経質さがなく、路面をなぞりながらも不整の為すがままになることは決してない。走行中の静粛性はアルトゥーラに一歩譲るが、長距離を走る際には興奮や動揺を感じさせず、並外れて速いスーパーカーに乗っていることを忘れてしまいそうになるくらいだ。マクラーレンでは、そうはいかない。
日常的に乗りたいのなら、シート選びは念入りに行ったほうがいい。カーボンのバケットは見た目こそファビュラスだが、硬いうえにランバーサポートがないので、長く座っていると身体にこたえる。標準仕様のシートならばすっぽり包み込んでくれて、街乗りなら十分以上のサポート性があり、しかも長時間乗っていても快適だ。
また、アセット・フィオラノパッケージの固定式マルチマティックダンパーについても、よくよく必要か考えたほうがいい。たいていの場合には、驚くほど楽に乗りこなせるのだが、路面が荒れた場所では乗り心地がキツく、盛大にノイズや振動を伝えてくる。
購入と維持 ★★★★★★★★★☆
296GTBの価格は、アルトゥーラやウラカン・テクニカを優に超えるが、それを正当化できる要素は見出せる。パフォーマンスのレベルはライバルたちより上だし、距離無制限の7年保証も標準で付く。
また、最近のフェラーリは残価がかなり高い傾向にある。マクラーレンでは、必ずしもそういうわけにはいかないところだ。296GTBを手に入れることができさえすれば、3~5年間所有しても、通算してみたコストは悪くない。
さらに、F8トリブートの中古車を購入する場合と比較してみても、さほど高い買い物ではないと言える。最後のV8ミドシップは、1万km近く走った個体でも、22万ポンド(約3542万円)くらいするのだから。
使い勝手に関しては、スーパーカーとしては日常使いに不満のないクルマだと言える。もちろん、アセット・フィオラノパッケージではない仕様の場合だが。電動走行は走りはじめと目的地周辺くらいでしか使えないが、そんな使い方を歴代ピッコロ・フェラーリでは夢にも望めなかった。
テスト時のツーリング燃費は13.4km/Lと、新型V6はなかなかの経済性を発揮してくれる。911ターボや、フロントエンジンのローマほどではないが、視認性に優れ運転しやすいクルマだ。新車で今買える本格スーパーカーとしては、おそらくもっとも扱いやすいものだろう。
スペック
レイアウト
フェラーリは今のところ、通常生産モデルにコンポジット素材のモノコックを採用していない。296GTBも、素材はアルミだ。前後重量配分は実測40:60で、フロントに駆動用モーターを積んだSF90よりもリア寄りだ。
296のパワートレインはすべてリアミドシップにマウントされ、電気モーターはV6エンジンとギアボックスの間に挟み込まれている。
エンジン
駆動方式:リアミドシップエンジン/モーター縦置き後輪駆動
形式:V型6気筒2992ccツインターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ88.0×82.0mm
圧縮比:9.4:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:585ps/-rpm
最大トルク:59.6kg-m/-rpm
エンジン許容回転数:8500rpm
ハイブリッドアシスト:同期アキシャルフラックスモーター
モーター最高出力:-ps
モーター最大トルク:-kg-m
システム総合出力:830ps/8000rpm
システム総合トルク:-kg-m/-rpm
馬力荷重比:565ps/t
トルク荷重比:-kg-m/t
エンジン比出力:221ps/L
ボディ/シャシー
全長:4565mm
ホイールベース:2600mm
オーバーハング(前):1150mm
オーバーハング(後):815mm
全幅(ミラー含む):1958mm
全幅(両ドア開き):3840mm
全高:1187mm
全高:(両ドア開き):1187mm
足元長さ(前席):最大1060mm
足元長さ(後席):-mm
座面~天井(前席):960mm
座面~天井(後席):-mm
積載容量:202L+112L
構造:アルミモノコック
車両重量:1470kg(公称値・乾燥重量・最軽量オプション装着時)/1648kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前/後:9.0Jx20/11.0Jx20
タイヤ前/後:245/35 ZR20 95Y/305/35 ZR20 107Y
ミシュラン・パイロットスポーツ4S
(サーキット走行時:ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2R)
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:8速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:3.46/8.7
2速:2.26/13.4
3速:1.65/18.2
4速:1.29/23.3
5速:1.03/29.3
6速:0.84/36.0
7速:0.67/44.7
8速:0.48/62.6
最終減速比:4.51:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:9.4km/L
ツーリング:13.4km/L
動力性能計測時:2.5km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:15.6km/L
EV航続距離:5.3km
燃料タンク容量:66L
駆動用バッテリー:7.5/-kWh(総量/実用量)
現実的な航続距離(モーターのみ):-km
現実的な航続距離(エンジンのみ):約-km
現実的な航続距離(エンジン+モーター):612km
CO2排出量:149g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー
後: マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動油圧、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:1.9回転
最小回転直径:-m
ブレーキ
前:398mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
後:360mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
制御装置:ABS、EBD、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、ステアリングコラム右側にスイッチ配置
静粛性
アイドリング:61dBA
全開時(3速):89dBA
48km/h走行時:66dBA
80km/h走行時:72dBA
113km/h走行時:75dBA
安全装備
ABSエヴォ/ESC/EBD/eSSC/eTC/eデフ/SCM
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温14℃
0-30マイル/時(48km/h):1.4秒
0-40(64):1.8秒
0-50(80):2.3秒
0-60(97):2.7秒
0-70(113):3.3秒
0-80(129):3.8秒
0-90(145):4.4秒
0-100(161):5.1秒
0-110(177):5.9秒
0-120(193):7.0秒
0-130(209):8.0秒
0-140(225):9.2秒
0-150(241):10.6秒
0-160(257):12.3秒
0-170(273):14.2秒
0-402m発進加速:10.2秒(到達速度:236.9km/h)
0-1000m発進加速:18.1秒(到達速度:298.4km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
マクラーレン・アルトゥーラ
テスト条件:乾燥路面/気温17℃
0-30マイル/時(48km/h):1.7秒
0-40(64):2.2秒
0-50(80):2.7秒
0-60(97):3.2秒
0-70(113):3.8秒
0-80(129):4.5秒
0-90(145):5.3秒
0-100(161):6.3秒
0-110(177):7.4秒
0-120(193):8.6秒
0-130(209):9.8秒
0-140(225):11.5秒
0-150(241):13.2秒
0-160(257):15.3秒
0-170(273):18.1秒
0-402m発進加速:10.9秒(到達速度:220.5km/h)
0-1000m発進加速:19.4秒(到達速度:280.5km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.0秒(2速)/1.4秒(3速)/1.8秒(4速)
30-50(48-80):1.0秒(2速)/1.3秒(3速)/1.6秒(4速)/2.2秒(5速)/3.0秒(6速)
40-60(64-97):0.9秒(2速)/1.2秒(3速)/1.6秒(4速)/2.0秒(5速)/2.7秒(6速)
50-70(80-113):1.2秒(2速)/1.3秒(3速)/1.5秒(4速)/1.9秒(5速)/2.5秒(6速)/6.1秒(7速)/6.6秒(8速)
60-80(97-129):1.2秒(3速)/1.5秒(4速)/1.9秒(5速)/2.3秒(6速)/6.1秒(7速)/6.1秒(8速)
70-90(113-145):1.1秒(3速)/1.4秒(4速)/1.8秒(5速)/2.3秒(6速)/5.9秒(7速)/5.9秒(8速)
80-100(129-161):1.2秒(3速)/1.4秒(4速)/1.8秒(5速)/2.4秒(6速)/5.5秒(7速)/5.5秒(8速)
90-110(145-177):1.5秒(4速)/1.8秒(5速)/2.4秒(6速)/5.3秒(7速)/5.3秒(8速)
100-120(161-193):1.7秒(4速)/1.8秒(5速)/2.4秒(6速)/5.3秒(7速)/5.5秒(8速)
110-130(177-209):2.0秒(5速)/2.5秒(6速)/5.6秒(7速)/5.7秒(8速)
120-140(193-225):2.2秒(5速)/2.5秒(6速)/6.0秒(7速)/6.1秒(8速)
130-150(209-241):2.7秒(5速)/2.6秒(6速)
140-160(225-257):3.0秒(6速)
140-170(225-273):3.6秒(6速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温14℃
30-0マイル/時(48km/h):7.5m
50-0マイル/時(64km/h):19.9m
70-0マイル/時(80km/h):38.9m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.34秒
ライバルの制動距離ポルシェ911ターボS
テスト条件:晴天/気温20℃
30-0マイル/時(48km/h):7.4m
50-0マイル/時(64km/h):20.1m
70-0マイル/時(80km/h):38.3m
各ギアの最高速
1速:74.0km/h(8500rpm)
2速:112.7km/h(8500rpm)
3速:154.5km/h(8500rpm)
4速:197.9km/h(8500rpm)
5速:249.4km/h(8500rpm)
6速:305.8km/h(8500rpm)
7速:329.9km/h(7378rpm)
8速:(公称値):330.0km/h(5265rpm)
8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1789rpm/2055rpm
結論 ★★★★★★★★★★
F1では、ルールブックに勝るものはない。その改訂で、勝者が地位を追われることもある。マラネロでは、それを重々承知しているはずだ。対して市販車の世界では、そこまで明確に状況が変わることはないが、いまはそれが起きている稀有な時期だ。
そのことこそ、最新のフェラーリをほかには真似ができないほどみごとなものにした理由だ。458イタリア以来、フェラーリはカテゴリーのトップにあり続けた。その後もミドシップスーパーカーを投入し続けてきたが、守備範囲の広さも、魂の込もり具合も、比類なき走りのポテンシャルも、クラスをリードしてきた。
しかし今、F1のレギュレーション並みの変革に直面し、フェラーリはダウンサイズユニットの6気筒ターボを積んだプラグインハイブリッドの296GTBを送り込んできた。先の見えない、やや議論の余地もあるテクノロジーの時代へ突入したわけ、なにが犠牲になるのかもまだわからないくらいだ。
今回のテスト結果を見る限りなら、その犠牲はあったとしてもほんのわずかなものだといえる。この新型フェラーリはすばらしい。V8の系譜の終着点から、電動化のアドバンテージへとシームレスにバトンタッチしていて、懸念していたような欠点は見受けられなかった。
穏やかで、適応性があり、しかも激しく速くて表情豊かな296GTBは、壮観な走りと、魅力的なサウンドのV6を備えている。使い勝手にも優れるがスペシャルで、複雑なメカニズムでありながらわかりやすい。フェラーリは、ここでもベンチマークであり続けている。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンフェラーリが今後どこへ向かうのか、疑問に思える。というのも、296のレシピに必要ないもののひとつは、さらなるスピードだからだ。おそらくはピスタやスペチアーレといったような仕様が登場するだろうが、それらはパワーアップより、軽量化やもうちょっとアグレッシブな制御による根本的なアジリティの改善を追求するだろう。
マット・ソーンダースこれが秀逸なクルマであることに疑いの余地はない。個人的には、操縦系にもう少し手応えがあって、低い速度域でも楽しめたらうれしい。アルトゥーラは、そのどちらも備わっていた。この2台、好みは分かれるだろう。どちらも好きということにはならないはずだ。
オプション追加のアドバイス
サーキットを走る気がないなら、レーシーなシートにありがたみを感じることもないだろう。オールラウンドな使い勝手という観点では、マイナスとなるアイテムだ。カーボントリムも少ないに越したことはないだろう。ただし、カーボンディフューザーだけは見栄えがいい。
改善してほしいポイント
・カーボンファイバーシートに、もっと出来のいいランバーサポートをつけてもらいたい。
・296GTSのように、リアウインドウが開くといいのに。
・レッドラインが8500rpmというのはおみごと。しかし、もう500rpm回ればいうことないのだが。
・コクピットのタッチ式スイッチは、反応しないことが多すぎる。
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