日本に上陸したシボレーの新型「コルベット」に、小川フミオがひと足はやく試乗した。
新型コルベットは大きく変わった
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シボレーの新型「コルベット」が日本でお目見えしたのは2019年1月。このとき、日本中のクルマ好きの多くが興奮した。なにしろエンジン搭載位置が伝統的なフロントから、後車軸の前に、つまりミドシップへ変わったからだ。実際運転すると、たいへん楽しいスポーツカーに仕上がっている。
日本では2020年7月に発売されたものの、ついにステアリング・ホイールを握ることが出来たのは、1年後の2021年7月初頭である。待ち焦がれたとはこのことだ! と、私は思わずつぶやいた。
新型コルベットのエンジンは、6153ccV型8気筒OHVガソリンで、最高出力は369kW(502ps)、最大トルクは637Nm。8段ツインクラッチ変速機を介しての後輪駆動である。エンジンをかけても、すこし前のモデルのようにエンジンは低いうなりを連続的に発したりしない。シュンシュンと、どちらかというと静かだ。
ドライビングポジションは、脚を前に投げ出す姿勢。これがまず嬉しくなる。ステアリングホイールはレースカーのように滑らない人工スエード巻きで、意表をつくのは、小さな四角ばった形状だ。そしてなにより右ハンドルである。ミドシップと右ハンドル。新型コルベットは大きく変わったのだ。
ギアセレクターは「D」とか「P」とか書かれたスイッチを一本の指で押したり引いたりする。電子制御なのでたんに信号用のスイッチだから、斬新なデザインになったのだ。そのとなりに、ロータリー式のドライブモードセレクターがそなわる。
悪路モードからトラック(レース場)モードまであり、ふだんは「ツーリング」か「スポーツ」で事足りる。というか、じゅうぶんに楽しめる。私なら常時「ツーリング」でも充分だった。
サスペンションは意外なほどしなやかに動き、段差で不快な突き上げを食らうことはない。コルベットってよく出来ているなぁと、感心させられたほどだ。
「レース」モードは、かなりヤバい
いっぽう、「スポーツ」に変更するとコルベットのもうひとつの面を味わわせてくれる。アクセル・ペダルへの反応がよりダイレクトになりエンジン回転マナーはシャープになる。じつは私は、このモードは、街中で楽しむのにいいのではないか? と、思っている。
新型コルベットの魅力は、加速感だ。ぱっとアクセルペダルを踏むと、車両はすかさず加速する。後ろからバンッと押されたように前に飛び出していく、この感覚こそすばらしい。高速を街中で楽しめないかわりに、ダイレクトな反応ゆえ、たとえ50km/hでも楽しいのだ。
「ツーリング」モードを選択していると、印象は、あつかいやすいエキゾチックなルックスのスポーツカー、というものだ。ゆっくりと流すのも悪くないし、ステアリングスピードといって、ステアリング・ホイールをまわしていくときの車体の反応は早いので、取りまわしも楽なのだ。
コルベットのオールマイティなドライブ感覚は、ギンギンのスポーツカーを期待していると、拍子ぬけするほどだ。からだにすぐになじんで、特別なクルマを操縦しているなんて感覚はどこかに消し飛んでしまう。
そういえばBOSEの「パフォーマンスシリーズ」という14スピーカーから構成されるオーディオは、GM製品の例にもれず、たいへんニュアンスに富んだ再生能力で、コルベットの楽しさを倍加していると思う。ただし、「スポーツ」モードでとばすと、エンジン音のほうに注意がいってしまう。スポーツカーなんだからしようがないか。
「レース」モードは、一瞬だけ体験したかぎりでは、かなりヤバい。なにしろモータースポーツにいまも熱心なだけある。ドライブしている自分とぴったり合った感覚で操縦できる。
「レース」モードでは、アクセル開度に対する加速のするどさなど、街中ではコントロールしきれないかもしれない。あまりおおっぴらに勧められないモードだ。ただし、そんなレーシーなモードをそなえているところが、コルベットのファンにはうれしいのも事実である。
コルベットにはコルベットの世界がある
コルベットというと、つい私たちは、フェラーリを比較対象として考えてしまう。フェラーリのミドシップ(たとえばF8トリブート)と比較してどうなんだろう? といったぐあいだ。
じっさい、コルベットはV8エンジン搭載の初代から、フェラーリとの因縁がある。シボレーの親会社ゼネラルモーターズは当時、フェラーリの牙城に食い込めばすばらしい宣伝になると、1960年のルマン24時間レースに「BSカニンガム」のチームでコルベットを走らせた。
結果は、上位7位をフェラーリ250系(優勝は250 TR 59/60)が占め、唯一、ジム・クラークらのアストンマーティンDBR1/300が3位に食い込んだ。コルベットは8位。イアン・ベイリのアストンDBRやポルシェ718を抑えての快挙である。
そのあともコルベットは今日にいたるまでモーターレース活動には熱心だ。ル・マン24時間レースのGTクラスの常連だし、GTLMレースで今回のミドシップモデルをベースにした「C8.R」は常勝。「ロードカーとレースカーの境目をなくした」というシボレーのうたい文句により高い信ぴょう性を与えてきているのだ。
ロードカーのミドシップ・フェラーリは、コルベットとはべつの存在だ。価格をみても、コルベットが1180万円からなのに対して、フェラーリ・F8トリブートは3328万円と約3倍。だけど、コルベットの魅力が3分の1なわけではない。
たとえばマツダ「ロードスター」は約260万円と、コルベットの5分の1程度なのに、りっぱなスポーツカーの楽しさを持っている。それと同様に、コルベットにはコルベットの世界がある。
スポーツカー好きは、二項対立的に選択するのではなく、フェラーリもマツダも、そしてシボレー・コルベットも、とそれぞれの個性を楽しんでほしい。期待にじゅうぶん応えてくれる出来だと思う。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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ガタガタ言う前に、高い安いも含めて先ず乗ってから評価したいと思います。