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かつての“金妻”にこそ乗って欲しい! 新型アコード登場

掲載 更新 10
かつての“金妻”にこそ乗って欲しい! 新型アコード登場

10代目のホンダ「アコード」が2月20日、発表された。日本仕様は、先代モデルとおなじくハイブリッドのみ。驚くべきことに価格は465万円! 先代アコードが392万1000円~だったから、約70万円の価格アップである。アコードって、これほど高価なモデルではなかったはずだけれど……。

新型は、高度な2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載するし、本革シートやチルトアップ機構付きフロント電動スモークドガラス・サンルーフ、ナビゲーションシステムを標準化している。先進安全装備群「ホンダセンシング」も搭載するから、465万円という価格も当然なのかもしれない。

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【主要諸元(EX)】全長×全幅×全高:4900×1860×1450mm、ホイールベース2830mm、車両重量1560kg、乗車定員5名、エンジン1993cc直列4気筒DOHC(145ps/6200rpm、175Nm/3500rpm)+モーター(184ps/315Nm)、駆動方式FWD、タイヤサイズ235/45R18、価格465万円。レザーシートの表皮カラーは、ホワイトのほかブラックも選べる。フロントシートは電動調整式。リアシートはセンターアームレスト付き。リアのドアウインドウは、サンシェード付き。フロント電動スモークドガラス・サンルーフ。では、465万円前後で購入出来る4ドアセダンは、ほかにどういったモデルがあるのか? 調べると、メルセデス・ベンツ「C180」(463万円)やBMW「320i SE」(461万円)などドイツ製セダンも同価格帯に入ってくる。20~30年前に、アコードと同価格帯で、メルセデスやBMWのセダンが買えてしまうことを誰が予想しただろうか?

たとえば1991年、アコード(4代目)の売れ筋グレードだった「2.0EXL-i」は207万3000円だったのに対し、メルセデス・ベンツ「190E」は491万円、BMW「318i」は360万円だった。アコードより、メルセデスやBMWは約1.5~2倍も高価だったのである。

4代目「アコード」は、1989年に登場。輸入車っぽくて素敵!当時のアコードといえば、かの徳大寺有恒巨匠も著書で述べていた通り、“バタ臭さ”が魅力だったようだ。「欧州製輸入車には価格や世間体の都合乗れないけど、乗りたい……」といったユーザーが多く購入したという。

ホンダの宣伝もうまかったように思う。筆者も5代目「アコード」のCMはなんとなく覚えていて、ステーションワゴンモデルがニューヨークの街中を走る映像を見て「アコードってかっこいいなぁ~」と思った。

5代目アコードは1993年に登場。全車3ナンバーボディ。そういえば子どものころ、筆者の実家周辺(東急田園都市線沿い)にはアコードが多かった。まだ、輸入車のハードルが今ほど低くなかった時代である。輸入車っぽいアコードを(クーペなどは本当に輸入車だったが)購入したのだろう。

そういえば、ドラマ『金曜日の妻たちへIII~恋におちて』(TBS系列・1985年)の劇中で、小川知子がアコード(3代目)を運転するシーンがよく出てきた。運転していたのは東急田園都市線の「つくし野」駅周辺である。

1985年登場の3代目アコードは、リトラクタブルヘッドライトが特徴。ドラマ内の小川知子は、地中海料理店を経営し、自宅には暖炉や“パティオ”を設置……と、そんな“オシャレな田園都市線ライフ”を演出するためのひとつがアコードだったのだろう。もっとも、“オシャレな田園都市線ライフ”だったにもかかわらず、夫役が板東英二だったのは謎であるが……。

ちなみに、『GQ JAPAN』のスズキ編集長も元アコード(2代目)オウナーだった。

かつてWebメディア『OPENERS』のインタビュー(2011年ごろ)で「シトロエン『GS』があんまり故障だらけで、子供がいて奥さんもいるのに、修理代だけで100万円くらいかかちゃって。許してはもらっていたけれど申し訳ないっておもって。それでGSを売ってホンダ『シティ ターボ』に乗り換えました。ハイドロニューマチックがいいとおもっていたから、じつはその前に、ハイドロニューマチックを電子制御でマネした2世代目の『アコード』が出て、それを買ったんですが、それはあまりにも楽しみが少なくて、シティ ターボが出たからシティ ターボに換えたんです」と、述べている。

なるほど。編集長も当初は、アコードの輸入車(シトロエン)っぽいところに惹かれていたようである。

スズキ編集長が所有した2代目アコードは1981年登場。2段階の車高調整機能付きの「オートレベリングサスペンション」も装着出来た。アコードは輸入車そんなアコードも、時代の変化とともに立ち位置が大きく変わってしまった。

大きな原因は、輸入車の台頭だろう。かつて高嶺の花だったBMWやメルセデス・ベンツが、量販効果もあって安価なモデルを市場に投入できるようになった結果、アコードと同価格帯で購入出来るクルマがだんだん増えてきた。

しかも、輸入車の信頼性は向上し、かつ保証システムも拡充し。ディーラー網も増えた。輸入車に対する世間の目もおのずと変わった。

結果、輸入車に憧れた層が、実際に輸入車を購入するようになってしまったのだ。輸入車の代理需要車としてのアコードの存在理由がなくなってしまったのである。

ちなみに実家周辺でも、今ではアコードを見る機会は格段に減り、かわりにメルセデスやBMWを多く見るようになった。

2013年登場の先代アコード(9代目)は、歴代初のハイブリッド専売モデル。くわえて、“セダン冬の時代”である。アコードはモデルチェンジを重ねるたびに販売台数を落としていき、先代モデルは月間販売台数100台前後だった。

にもかかわらず、わざわざアコードを日本市場に投入するのは驚きである。ホンダも、販売台数を多く見込めないのは承知のようで、月間販売計画は、先代の1000台に対し新型は300台でしかない。半分以下だ。

はたして、新型アコードはどういった人が購入するのか? ちなみに海外市場でのアコードのライバルは、メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」、フォルクスワーゲン「パサート」などという。日本市場でも、輸入車からの乗り換えを促したいという。

試乗したわけではないので、新型アコードの印象を述べるには早すぎるかもしれないが、展示車を1月に見たかぎり、伸びやかなデザインやクオリティの高いインテリアは好印象だった。ドイツ製モデルに劣っているとは思えない。しかも、輸入車にはほとんどない2モーター ハイブリッドシステムを搭載するのも魅力。メルセデスやBMWが街中に溢れた今、あえてアコードに乗るというのも、個性が主張出来て良いように思う。輸入車に流れたかつて“金妻”だった人にこそ、あえてオススメしたい。

それでも、「やっぱり輸入車がいい!」と、思う人は相当数いるはず。でも、ご安心を。日本仕様の新型アコードは輸入車です(タイ生産)。

文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

10件
  • ◎カムリ 2.5L・HV(日本製)
    FF :345万6000円~445万0000円
    4WD:365万4000円~464万8000円

    ◎アコード 2.0L・HV(タイ製)
    FF :465万0000円 ※旧モデルは417万5926円で50万円弱の値上げ

    ホンダのことだから、値上げして450万くらいの強気な価格設定で来るだろうと
    考えていたけど、それより更に上を行かれてしまった。
    俺はまだまだ甘かったよ(笑)
  • ジェットで儲かってるから車は売る気無いみたいね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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