今回試乗したスピードファイト125 R-CUPは、プジョーが手掛けた4スト124ccのスクーター。レーシングカーのプジョー308TRCにインスパイアを受けたグラフィックの採用や、リヤの片支持アーム、リザーバータンク付きリヤショックなど、スポーツスクーターらしい装備を奢る。REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
プジョー スピードファイト125 R-CUP ……360,720円
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プジョーと言うとフランスの自動車ブランドとして良く知られている。台所用品のペッパーミルでも有名だが、二輪分野に関して日本では意外と知名度が低い。しかしそのルーツをひもとくと現存中のモーターサイクルブランドの中で世界最古の歴史を誇っていた。同社初の製品は1898年に登場。20世紀初頭~第二次世界大戦前までプジョーは、マン島TTレースや世界最高速記録の樹立。ボルドール耐久レース等、モータースポーツの分野でも大活躍していたのである。
1953年に初代スクーターS55 が登場。そして今回試乗したスピードファイトの初代モデルは1997年に登場。当時はイタリアを中心に各社が競うようにニューモデルをリリースした時期だが、エキサイティングなスポーツスクーターとして斬新な製品が注目を集めたのだ。その頃のプジョーブランドを代表し主に欧州市場で人気を集めたモデルがこのスピードファイトである。
シングルアームサスペンションや、プロジェクター式ヘッドランプをダブルで装備するなど、このスピードファイトはフランス流の最先端デザインを誇った。当初モデルは2ストロークエンジンを搭載していたが、第4世代となる現在は4ストロークエンジンを搭載している。
既に見慣れた印象もあるが、スポーティな外観デザインは今も健在。エアロタイプ・ステーを採用したバックミラーも含め、スポーツスクーターとして精悍かつエキサイティングな雰囲気を放っている。全長1895mm、軸距1296mm、乾燥車重116kgという車体サイズは、現行モデルのヤマハシグナスX とほぼ同じ。ただ決定的に違うのはシグナスXが前後12インチなのに対して、こちらは130/60-13インチの同寸タイヤを前後に採用している点だ。
早速跨がると、当然のことながら軽くて親しみやすい。通勤手段としても、特に窮屈な乗り味はなく絶妙のサイズ感から来る程良い機能性が期待できそう。それでいて走り始めると常にシットリとした挙動が伴う落ち着きのある乗り味が好印象。軽快感有り有りなのに、適度な安定感を覚え安心して走れるのがとても良い。
水冷4ストロークSOHC2バルブの単気筒エンジンは、8.1kW/7400rpmの最高出力と最大トルクは10.8Nm/5600rpmを発揮。決してパンチがある感覚ではなく、穏やかな出力特性ではあるが、発進から最高速域までしっかりとトルクを感じながら、スムーズな加速性能を示す乗り味は気持ち良い。
左手のレバー操作で前後連動するブレーキSBC(シンクロ・ブレーキング・コンセプト)はフロントの効きが若干強めのバランスを示し、意識して初期の旋回性を強める操作にも活用できる感じ。右手レバーはフロントの効きをさらに増強できるのでいざと言う時の安心感も高い。
滑り止め加工付きパネルが施されたステップボードは、足の置き場に前後方向への自由度がある。ボード位置が高めな為、シートまでの寸法が少なく膝は直角になる。そのため太ももとシート先端両脇との接点が少なくなってしまう点が惜しいが、シート自体のデザインと座り心地は良かった。
ディスクローターをセンターに納めるようオフセットされた専用デザインのキャストホイール。リヤの片支持アームやバリアブルレシオスプリングを採用したリザーバータンク付きモノショック等、ユーザーのこだわりを主張できるアイテムの存在もなかなか魅力的だった。
ディテール解説
足つきチェック(身長170cm)
カラーバリエーション
主要諸元
全長×全幅×全高1,895mm × 700mm × 1,150mm
ホイールベース1,296mm
シート高800mm
乾燥重量116kg
エンジン水冷4ストローク SOHC2バルブ単気筒
排気量124.6cm³
内径×行程52.4mm × 57.8mm
最高出力8.1kW/7,400rpm
最大トルク10.8Nm/5,600rpm
燃料供給方式インジェクション
始動方式セルフ式
燃料タンク容量8ℓ
変速方式オート
サスペンションフロント : 油圧式テレスコピック リヤ : 油圧式ショックアブソーバー
タイヤフロント : 130/60 – 13″ リヤ : 130/60 – 13″
ブレーキフロント : ディスク リヤ : ディスク
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