街乗りでは凡庸な小型車に思えたけれど、箱根の山道にまでやってくると、そうではないことがわかった。これはいいクルマである。中低速域での街中での乗り心地はフワフワしていて、腰が定まらないような印象を受けた。別に悪いわけではないけれど、細かい振動を伝えてくる。タイヤがオプションの18インチの45であるのも影響しているかもしれない。
それが首都高速に上がり、速度を出すにつれ、いい塩梅に変わってくる。シャシーと足まわりがやっぱりタダモノではない。
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【主要諸元(B180欧州参考値)】全長×全幅×全高:4419mm×1796mm×1562mm、ホイールベース:2729mm、車両重量:-kg、乗車定員:5名、エンジン:1332cc直列4気筒DOHCターボ(136ps/5500rpm、200Nm/1460~4000rpm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:FF、タイヤサイズ:205/55R17、価格:384万円(OP含まず)。1331ccの直列4気筒ターボ・エンジンは最高出力こそ136ps/5500rpmと凡庸ながら、最大トルクは1460rpmの低回転から200Nmを軽々と生み出す。車重はカタログ上で1480kgある。ボディ違いの兄弟車のA180は1360kgだから100kgほど重い。
そのせいか、6500rpmから始まるレッドゾーン近くまでエンジンをまわす機会が増え、そうすると、ブウウウウウンという蜂の羽音みたいなメカニカル・ノイズをやや大きめに発する。ちょっと室内にこもる傾向もある。一所懸命走っている感があって、小型車の、というか4気筒のクルマのいいところである。元気があって、よろしい。そう肯定的に捉えることもできる。
搭載するエンジンは1332cc直列4気筒DOHCターボ(136ps/5500rpm、200Nm/1460~4000rpm)。Aクラスとは、2730mmのホイールベースはおなじで、4430mmの全長と1795mmの全幅もほぼ同じ。Bクラスは全高だけ130mmほど高くなっている。その分、上に室内面積を稼いでいるわけである。おかげで、なるほど室内は広々としている。ということは、どうしたってその分、重心は高くなっている。
しかし、山道で、そういう重心の高さを微塵も感じさせなかったのはやっぱりたいしたものである。街中でのフワフワ感がいつのまにか消えて、コーナリング時の姿勢がピッとしている。ロール・スピードもゆっくりで、極めて安定している。
新型Bクラスのボディは全長×全幅×全高:4419mm×1796mm×1562mm。ボディ形状はハッチバックのみ。ダッシュボードのデザインはAクラスと少し異なる。メルセデス・ベンツといえば安心感、というのが常套句だけれど、新型B180もまたそれがピッタンコに当てはまる。真綿で締め上げるがごとくに速度を落とすブレーキもいい。メルセデス・ベンツの面目躍如である。
ややスローなステアリングもまた“大人の態度”というべきで、クイックではないからイイわけである。安心感のもとになっている。飛ばしてもコワくない。実用車にとって最も重要なことである。人間、いつ何時、急ぎたくはないのに、急がなくてはならない状況に陥るかわからない。
ステアリングはパドルシフト付き。オーディオコントロール用のスウィッチなどはスポーク上にある。エア・アウトレットはジェットエンジンのタービンもモチーフにしたという。もし、山道においての小さな不満をあげるとすれば、7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)がシフトダウン時、ブリッピングを豪快に入れてくれないことだけれど、フツーのBクラスにそれを望むのはフツーのボンカレーに「Theボンカレー」の味わいを求めるようなものであるに違いない。
どんな人が買うの?ちなみに、東京都港区青山から神奈川県箱根の大観山まで往復しての燃費は、車載コンピューターの計算によると18.8km/リッターだった。ディーゼル並みの低燃費である。
「OK Google」みたいな機能の対話型インフォテインメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」に、「ハロー、BMW」と呼びかけると、「おもしろいことをいいますね」と答えた。基本的にはたいへんマジメなクルマだけれど、ユーモアもある。
メーターパネル用の液晶ディスプレイと、インフォテインメント用の液晶ディスプレイが横に並ぶインパネ・デザイン。インフォテインメント用の操作スウィッチはセンターコンソールにある。360°カメラはオプションの「アドバンスパッケージ」に含まれる。さて、このBクラス、日本市場では2019年6月6日に販売開始され、1カ月で600台を超える受注を得たという。
Aクラスは販売開始後のおなじ期間で1000台の受注だそうで、その背の高いバージョンであると考えると、好調な出足と捉えることができる。Aクラスより室内もラゲッジ・ルームも広い。価格はA180の328万円に対して、60万円高の384万円である。
メモリー付きフルパワーシートは標準。オプションの「アドバンスパッケージ」装着車両は、オーディオ・システムがアップグレードされ、スピーカー数が6個から10個に変わる。いったいどういうひとが買っているのか? ドイツではお年寄りに人気が高いそうだ。試乗車は、12万5000円の「レーダーセーフティパッケージ」、18万4000円の「ナビゲーションパッケージ」、25万5000円の「AMGライン」、20万4000円の「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」、おなじく20万4000円の「アドバンスドパッケージ」、16万3000円の「パノラミックスライディングルーフ」が装着されていた。これらオプション総額は141万1480円。車両価格と合わせると、525万1480円!
ここから導き出される真実はひとつである。いいクルマは高い。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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