■もっともアイコニックなバットモービル
古今東西、映画やTVドラマに出演する自動車のなかでも、映画『007シリーズ』の「ボンドカー」と同じくらいに存在感の高いのが、TV版/映画版『バットマン』シリーズに、主人公のスーパーウエポンとして登場する、一連の「バットモービル」であろう。
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ギミックの数々を内に秘めつつも、基本は市販車の姿をした「ボンドカー」たちに対して、マンガ発信の「バットモービル」たちは、姿かたちや設定上のスペックも荒唐無稽。
1955年型リンカーン「フトゥーラ」をベースとして製作され、TVシリーズ(1966年から放映)に登場した初代から、「バットマン・ビギンズ(2005年公開)」「ダークナイト(2008年公開)」「ダークナイト・ライジング(2012年公開)」に登場した怪物「タンブラー」に至る歴代バットモービルたちには、強力な武器やガジェットもたくさん仕込まれて、それぞれの時代の少年たち、そしてその記憶を愛する大人たちにも愛されてきた。
そのなかでも、1989年公開の「バットマン」および1992年公開の「バットマン・リターンズ」に登場、主人公バットマン/ブルース・ウェインを演じたマイケル・キートンに因んで、ファンの間では「キートンモービル」と呼ばれている巨大な車両は、バットモービルの象徴的存在として絶大な人気を誇っているという。
そして、キートンモービルはその人気と影響力ゆえに、これまで複数のレプリカが製作・販売されたことでも知られているのだが、2021年3月20日に名門ボナムズ社が英国ビスターにて開催する「MPH March」オークションに、そんなレプリカ車両の1台が出品されることが判明した。ファンの間で、ちょっとした話題を巻き起こしているというのだ。
●1965 フォード「バットモービル・レプリカ」
今や巨匠としての名声を確立したティム・バートン監督にとって、同じくマイケル・キートン主演で制作した「ビートルジュース(1988年公開)」と並ぶ出世作となった「バットマン」と「バットマン・リターンズ」に登場した「キートンモービル」は、歴代のバットモービルの歴史のなかでもっとも人気があり、もっとも影響力のあるモデルといわれている。
のちにバートン監督自身が語ったインタビュー記事によると、映画のために新しいバットモービルを製作しようと試みたとき、映画製作のなかで、それがもっとも困難な課題のひとつになるとは思ってはいなかったとのことである。
彼が初期の作品群で見せるゴシック趣味が投影された原案を、コンセプトイラストレーターのジュリアン・カルドウがレンダリングとして描き、造形作家キース・ショートおよびエディ・バトラーがFRP製ボディパネルを成型。1967年型シボレー「インパラ」のシャシの一部を流用し、実走可能な劇中車両として完成させた。また、ガジェットの数々も実際に機能することを旨としており、その信条はのちの「タンブラー」にも継承されている。
映画のために製作された「ホンモノの」キートンモービルは2台が現存しているとされ、そのうちの1台は北米ロサンゼルスの「ピーターセン自動車博物館(Petersen Automotive Museum)」が所有、一般公開している。そしてもう1台は、この作品のプロデューサーでもあったジョン・ピーターズのもとに引き取られたとのことである。
この「もう1台」の現状について、海外メディアでは「個人コレクターが所有」と記されているが、これは筆者が知る限りでは鹿児島の「ハニ・コレクション」が所蔵し、2010年の「東京コンクール・デレガンス」や、指宿温泉でおこなわれた「スペシャル&ヴィンテージカーフェスタ2012」などにもゲスト出品された個体と思われる。
ただ、一説によると「映画のためのキートンモービルはプロモーション用も含めて6台が製作された」ともいわれているようなので、鹿児島に生息する個体はあるいはそのPR用車両の1台なのかもしれない。
いずれにせよ、3月のオークション出品車については公式カタログ内にて堂々「レクリエーション(RE-CREATION:複製)」と謳われているので、結果として生々しい真贋論争からは超然としていられるに違いあるまい。
■バットモービルは5.7リッターV8を搭載!
世にいう「キートンモービル」はもっとも人気が高く、もっとも影響力の大きなバットモービルであるというのは前述のとおり。そのうえ、後世に作られたレプリカ車両の多さでも、1966年版TVに登場した元祖バットモービルに並ぶという。
●1965 フォード「バットモービル・レプリカ」
このほど、ボナムズ社「MPH March」オークションに出品されるキートンモービルについて、公式カタログでは「1965 FORD “BATMOBILE” RE-CREATION」と銘打っている。
競売まで1か月を切った2月下旬現在では、まだ内容についての正式な解説は添えられていないのだが、海外メディアの情報によると本物のキートンモービルが1967年型シボレー・インパラをベースとするのに対して、このレクリエーション車両は1965年型のフォード初代「マスタング」のコンポーネンツを用いて、イギリス国内で製作されたものとのことである。
GM式のフレーム/ボディ別構造をとるシボレー・インパラは、この種のカスタマイズには比較的向いているかに思われる。しかしフォード式「ユニボディ(モノコック)」のマスタングは、きっとフレームを新規に起こすくらいの大改造が必要だったことだろう。
実際、ボナムズ社から提供される写真を見ても、カウル下に確認できる構造体は鋼管スペースフレームばかりである。さらにエンジンも、初代マスタングで選択できる最大のエンジンだった289立方インチ(約4.7リッター)V8から、同じフォードの350立方インチ(約5.7リッター)V8に換装されているとのこと。つまり、実質的にはフルスクラッチに近いカスタムカーというべきかもしれない。
このレクリエーション車両が製作されたのは、実は意外にも最近のこと。完成は2016年という。そして、完成するとすぐに英国内のスペシャリストを介して、ヒリンドンの「ロンドン・モーターミュージアム」が購入。アメリカのクラシックカーや「ホットロッド」たちとともに一般公開に供され、来場者の人気を博していたといわれる。
ところがこの博物館は地元の自治体とトラブルを起こし、2018年夏をもって閉館。この驚異的なバットモービルレプリカを含む所蔵車両たちは、別の場所に臨時避難することになる。その後、なんとかミュージアムの再起を目指してはいたのだろうが、やはり新型コロナ禍の現状においてはその夢もかなわなかったようで、ついにオークションに出品された……、というのがここまでの経緯のようである。
今回のオークション出品車両は、FRPの繊維がブラックのペイント下に透けてしまうような、ちょっと「ご愛嬌な」コンディションではある。一方、英国の某タブロイド新聞がボナムズ社のスペシャリストにおこなったインタビューによると、現状でも「KBY 411C」のナンバーとともに正規登録されており、公道で走らせることは「合法である可能性がある」という、奥歯にものの挟まったような返答があったとのことだ。さらに、走行のための機能も一応は完備しているそうである。
とはいえ、全長7m近い巨体と相当にプリミティブな造りを思えば、公道を走行するにはちょっとした勇気が必要であることもまた、容易に想像できるだろう。
この壮大かつ大らかなキートンモービル・レクリエーションに、RMボナムズ社が設定したエスティメート(推定落札価格)は、2万-3万ポンド。現在の為替レートで日本円に換算すれば、約295万-約442万円となる。リザーブ(最低落札価格)の設定はないとのことで、もしビッド(入札)が伸びなければもっと安価な落札価格に終わる可能性も充分にあり得る。
近年、バットモービルのレプリカ製作は「バットマン」の版権を持つ「DCコミックス/ワーナーブラザーズ社」によって事実上の禁止とされていることから、今後このような車両が新たに生み出される可能性は限りなく低い。そう思えば、熱心なファンにとっては条件つきながらもリーズナブルといえるかもしれない。
注目のオークションは、3月20日に開催される予定である。
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