この記事をまとめると
■大阪オートメッセ2024が開催
3~400万円のクルマに載るシロモノじゃない! 量産だけど高精度なGRヤリスの「エンジン」の生産に迫る
■TOYOTA GAZOO Racingがブースを構えている
■最前列に展示された2台のヤリスに注目
WRCドライバー監修のヤリスを展示!
2024年2月10日から、関西で最大級の自動車イベントである「大阪オートメッセ2024」が開催されました。1月におこなわれた「東京オートサロン2024」に引き続き、主要な自動車メーカーがブースを構える一大イベントです。
「TOYOTA GAZOO Racing」のブースには、1月のオートサロンで展示された車両がずらりと顔をそろえましたが、そのなかに、ここ大阪で初お目見えする2台の車両が最前列に展示されました。
その車両というのは、東京オートサロンで発表された「進化型GRヤリス」をベースにして、WRCのドライバーズタイトルを獲得したふたりのトップドライバーが監修した「WRCドライバー監修特別仕様車」です。2023年のオートサロンでプロトタイプが展示されていましたが、その完成形がついに発売されます。
ベースとなるのは「GRヤリスRZハイパフォーマンス」です。最高出力224kW(304馬力)、トルク400N・m(40.8kgf/m)という特盛りの動力性能を発揮する3気筒1.6リッターのターボエンジンを搭載、ドライバーがシートに背を預けたままで操作ができる専用のインパネを採用。カテゴリーを超えて最速クラスのパフォーマンスを発揮する、まさにハイパフォーマンスなモデルです。
その「GRヤリスRZハイパフォーマンス」の6速MTモデルをベースにして、ふたりのトップドライバーの要望を盛り込んで形にしたのが、今回発表された2台の特別仕様車というわけです。
1台は「GRヤリス RZ“High performance・Sébastien Ogier Edition(セバスチャン・オジエ・エディション)」です。
この「オジェ・エディション」でまず注目してしまうポイントは、そのカラーリングでしょう。この不思議な質感の渋いたたずまいを見せるメタリック色は「マットステルス・グレー」と名付けられた、このエディション専用の新色です。シルバーのようで、ツヤがなく、妖しくにぶい輝きを見せるこのカラーは、カスタムペイントでも流行しそうな気配を感じます。
フロントグリルやブレーキキャリパー、ホイールのリム部分、ステアリングホイールのステッチなど各所には、オジェ選手の母国であるフランスのトリコロールカラーがあしらわれています。
そして、リヤセクションで真っ先に目に飛び込んでくるのはこの大型リヤスポイラーです。これはこの特別仕様車のために新たに開発されたものです。CFRPで軽量に作られていて、車両の空力特性を大幅に向上できるアイテムです。カーボンブラックで存在感は抑えられていますが、ボディ色に塗られていたらかなり目立つサイズで、カラーリングとともにこのエディションのアイコンになるでしょう。
運動性能の向上にいまや必須の装備となった感のあるドライカーボン製ルーフは塗装が施されず、カーボンの素地をアピールする仕上げとなっています。
機能面でのモディファイは、オジェ選手の要望に応じたプログラムの四駆制御モードを搭載している点で、ベース車のドライブモード「SPORT-TRACK / PUSH NORMAL」に換えて、「NORMAL – MORIZO / PUSH SEB.」となります。
「SEB.」モードは、前輪の旋回力を維持しながら、後輪寄りの前後駆動配分にすることで、積極的な姿勢コントロールをしやすくする特性が与えられたモードです。「MORIZO」モードは、加速時には前後の駆動を直結に近い状態にしてトラクションを稼ぎ、減速時にはその強さに応じて制限のききを弱くして、旋回性を高めるというモード。モリゾウさんが導き出したプログラムをオジェ選手が気に入って採用されたそうです。
ラリーの雰囲気が見事に表現されたモデルも
もう1台は「GRヤリス RZ“High performance・Kalle Rovanperä Edition(カッレ・ロバンペラ・エディション)」です。
こちらの「ロバンペラ・エディション」も、やはりボディカラーが真っ先に目に付くポイントです。この派手なレッド/ホワイト/グレーの3色のカラーリングは、ロバンペラ選手の友人のデザイナーによるグラフィックを実車に落とし込んだもので、ラッピングではなく塗装による仕上げとのこと。ラリーの雰囲気が見事に表現されています。
こちらの「ロバンペラ・エディション」もリヤに大型のスポイラー(ウイング)が装着されます。こちらのスワンネック・タイプのスポイラーは「GRMNヤリス」と同じもので、角度が可変式となっています。
細身のスポークが精悍な印象の鍛造ホイールは、BBS製の「GAZOO Racing」モデルで、リム部にロゴが入ります。「ロバンペラ・エディション」のブレーキキャリパーは赤色に塗られます。
内装は基本的にベースの「GRヤリスRZハイパフォーマンス」に準じますが、ドライブモードのスイッチと、ステアリングホイールのステッチ色が異なります。「ロバンペラ・エディション」が母国スウェーデンをイメージした青/白(ライトグレー)で、「オジェ・エディション」はトリコロールの赤/白(ライトグレー)・青のステッチがあしらわれます。
助手席の正面とリヤゲート左下には「オジェ・エディション」のプレートが装着されていて、さりげなく特別感を裏付けます。
「ロバンペラ・エディション」の四駆制御モードは「NORMAL–DONUT / PUSH KALLE」となります。
「KALLE」モードは、「ロバンペラ・エディション」に新たに追加される「等速リヤデファレンシャル」のリニアな駆動特性を最大限発揮できるように設定されたプログラムで、コーナーの進入時にリヤを外に振り出して、コーナーの脱出では前輪にぐいぐいトラクションを振り分けて速い脱出を実現するというロバンペラ選手の走りに向いた特性が与えられています。「DONUT」モードは、ドリフトやドーナッツターンが好きだというロバンペラ選手の好みに合わせて、前後の駆動をロック状態に近づけ、スライドのコントロールをしやすくする特性となっています。
この2台の特別仕様車は、今年(2024年)の春に抽選申し込みにより100台限定で発売されるとのこと。購入者には2024年WRCラリージャパン会場でのチーム交流の機会や、ピットの見学、実際に出走するマシンに名前が掲示されるなどの特典があるそうです。
ラリーファンのみならず、国産最高峰の性能を発揮するハイパフォーマンスな車両ですから、購入の争奪戦は必至でしょう。
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