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国内試乗 ジャガー初のEV「Iペース」 「エンジン車らしさ」感じたワケ

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国内試乗 ジャガー初のEV「Iペース」 「エンジン車らしさ」感じたワケ

もくじ

ー エレクトリック・ハイパフォーマンスSUV
ー 出力や価格 Iペースの数値情報
ー Iペース 試乗した印象は?
ー スポーティで安定したコーナリング
ー 「エンジン車らしさ」感じたワケ
ー ジャガーIペース・ファースト・エディションのスペック

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エレクトリック・ハイパフォーマンスSUV

Iペースとは何者かというと、「ジャガー初のフルバッテリー電気自動車」、というジャガーの試乗会資料に書いてある表現が、もっともわかり易いと思う。

補助起動用のガソリンエンジンも一切搭載しない、バッテリーと電気モーターだけによるピュアEVで、日本車でいえば日産リーフ、輸入車でいえばテスラの同類、ということになる。

レンジエクステンダーなしのBMW i3、およびフォルクスワーゲンeゴルフというCセグメントの2モデルはあるものの、専用のアーキテクチャーを開発して生み出したヨーロッパ初といえるミドルサイズのピュアEVを、ドイツの御三家に先駆けて日本に送り込んできた、というところにジャガーの本気を見た気がする。

それに加えてIペース、そのボディ形態が興味深い。世の潮流に乗るべく、「エレクトリック・ハイパフォーマンスSUV」と銘打ってはいるが、一般的なSUVのように背が高いわけでも地上高が高いわけでもなく、やや大型のスポーティな5ドアハッチバックというべき斬新なスタイルで登場したところに、ジャガーの柔軟性と機転を感じさせる。

2990mmという長大なホイールベース上に構築されたボディは、前後オーバーハングが切り詰められて、全長4682×全幅2011×全高1565mmという、大きすぎず高すぎないサイズに収められている。

出力や価格 Iペースの数値情報

駆動系はその前輪と後輪に1基ずつのモーターを備えるAWDで、リチウムイオンバッテリーはEVの定石どおり、床下に搭載される。その結果としてボディは、ウエストラインから下が、やや分厚い印象を与えるスタイリングになるわけだ。

車重は仕様や装備によって2230-2250kgの範囲にあり、それを294kW(400ps)/4250-5000rpmのパワーと71.0kg-m/1000-4000rpmのトルクを生み出すモーターで走らせる。代表的な動力性能数値は0-100km/h加速が4.8秒とされ、航続距離はWLTCモードで438km、最長470kmと公表されている。

キャビンは5人乗りで、居住スペース自体が広いのに加えて、リアシート後方のメインラゲッジルームのほか、フロントフード下、センターアームレスト下、リアシート下など、随所にラゲッジや小物の収納空間を設けているのも、Iペースの特徴のひとつだ。

日本で発売されるIペースは、装備の違いによってS/SE/HSEの基本3モデルがあるほか、発売記念モデルとして「ファースト・エディション」が設定されている。プライスは下位のSから順に959万円、1064万円、1162万円、1312万円とされている。

フロントがダブルウィッシュボーン、リアがインテグラルリンクの4輪独立サスペンションには、コイルとエアの2種類のスプリングが用意されている。基本3モデルはコイルサスペンションが標準になり、23万6000円のオプションでエアサスペンションが選択可能だが、ファースト・エディションにはエアサスペンションが標準で備わっている。

Iペース 試乗した印象は?

とまあ、なかなか興味深いコンセプトのIペースだが、走ってみるとどうなのか。オレンジ色のファースト・エディションに乗って、横浜みなとみらいのホテルから首都高経由で大黒方面に向かう。

床下にバッテリーがあるためフロアが高めなキャビンに乗り込むと、そこはスポーティとラグジュアリーが適度にミックスされた、視覚的にも心地好い空間だった。

ブラックをベースに随所にクロームをあしらったダッシュボードやコンソールは、適度に斬新なデザインでまとめられているが、上からD、N、R、Pの順に大き目のボタンが並んだ走行系のコントロールは、最近のクルマとしては異例に使い易い。

試乗車はパフォーマンスシートという名のバケット風シートを備えていたから、そのシートの影響も若干あるけれど、走り始めたときの印象は、スポーティさを実感させるものだった。ステアリングの手応えは重めだし、アクセルペダルもやや重め、ファースト・エディションの脚は前記のようにエアサスペンションだが、これもふんわりとしたものではなく、フラット感の強い硬めの感触を持っている。

しかも試乗車は、選択できるなかで最大の22インチ径ホイール&タイヤを装着していたから、舗装の継ぎ目などでは若干バネ下の重さを感じることもあった。

しかしそれでも、不快なショックがボディに伝わってこなかったのは、ジャガー史上もっとも高いねじり剛性を実現したという、EV専用アルミニュームアーキテクチャーが強固な証拠だろう。

エアサスペンションは、乗降時には車高が40mm下がり、オフロード走行時には50mm上げられるというから、Iペースにクロスカントリー的用途を想定している向きは、それをオプション装着するといいかもしれない。

その一方で、のちに試したコイルスプリング仕様も、乗り心地に不満はなかった。フラット感はエアサスペンションほど明確ではないものの、装着タイヤが20インチだったこともあって路面の当たりは適度にソフトで、前期のようなオフロード走行などを想定しない一般的な用途であるなら、これで充分に快適だといえる。

スポーティで安定したコーナリング

Iペースでもうひとつ特徴的だったのは、ハンドリングがスポーティなことである。ステアリングの手応えが締まっていて、レスポンスも素早いから、切り込むと同時にほとんどロールを感じさせぬまま、ノーズの短いボディがスッと向きを変えていく。

ただしこのステアリング、レーンキープアシストが悪さをするのか、ときたま予想外の反応が返ってくるのが、少しだけ気になったが。

ではコーナリングはというと、着座位置は高めではあるが、床下に収まったバッテリーの恩恵で重心は低く、しかも前後重量配分は50:50に設定されているから、ロールもアンダーステアも軽い、スポーティで安定したコーナーワークを味わわせてくれる。今回はそういうセクションはなかったが、ワインディングでも愉しめるEVに違いない。

という風に、シャシーがスポーツライクなキャラクターを持つIペースだが、EVとしてのパフォーマンスはどうか。車重は2250kgとけっこう重いが、400psと71.0kg-mを生み出すモーターはそれを力強く引っ張り上げる。

0-100km/h加速4.8秒の実力は充分で、電気モーターお得意の発進加速はもちろん、高速道路での追い越し加速も意のままに決まる。

回生の強さは2段階から選択可能で、強にセットすると強いエンジンブレーキが掛かり、最終的にはクルマを停止させることができるから、シングルペダルドライビングも可能になる。

ただし、そういう反応に違和感を抱かせないためか、アクセルペダルのストロークは長めの設定で、加速にもブレーキングにもややオーバーな右足の動きが求められる。

「エンジン車らしさ」感じたワケ

というわけで、Iペースの挙動はまぎれもなくピュアEVのそれなのだが、しかしなぜか僕はその走行感覚に、エンジン車らしさを感じた。

あまりモーターっぽい音がしないパワートレーンもその一因かもしれないし、パワートレーン以外の部分、すなわちシャシーのもたらす挙動がそう感じさせるのでは、と思われる部分もある。いずれにせよIペースのドライビングフィールは、いい意味で自動車らしい。

そういう運転感覚を好むかどうかも「買い」の判断要素のひとつではあるが、しかしやっぱりEVの場合、一充電での航続距離が自分の用途にマッチしているかどうか、そこがとても重要なポイントではないか。

カタログ上の航続距離はWLTCモードで438km/最大航続距離470kmというものだが、実際に使った場合のそれがどのくらいまでいくのか、今回の短い試乗ではデータは得られなかった。それを確認したうえでの決断が望ましいだろう。

いずれにせよ、Iペースが大きすぎず、実用的な居住空間を持ち、しかも快適でドライビングの愉しいクルマであることは、たしかに実感できた。だから、航続距離さえ自分のニーズに合えば「買い」に値するクルマだろう。

ただし、もうひとつ考えねばならない要素があるとすれば、959万円から1312万円という範囲にあるプライスかもしれない。

ジャガーIペース・ファースト・エディションのスペック

価格:1312万円
全長×全幅×全高:4682×2011×1565mm
最高速度:200km/h:
0-100km/h加速:4.8秒
航続距離:438km
CO2排出量:0g/km
車両重量:2250kg
パワートレイン:モーター
使用燃料:電気
最高出力:400ps
最大トルク:71.0kg-m
ギアボックス:-

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