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最近はシティ派SUVばかり…バブル期に人気の硬派な国産オフロードSUVが激減した理由

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最近はシティ派SUVばかり…バブル期に人気の硬派な国産オフロードSUVが激減した理由

■400万円超の高額オフロードSUVがバンバン売れていた時代があった!?

 最近は、SUVの売れ行きが好調です。大径のタイヤを装着するなど外観に迫力があり、ボディの基本スタイルは5ドアハッチバックやワゴンに近いため、居住性や荷物の積載性も優れています。

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 SUVはカッコ良くて実用的なことから、人気のカテゴリになりました。

 ただしすべてのSUVが好調に売れているわけではありません。乗用車のプラットフォームを使った舗装路重視のシティ派SUVは好調ですが、悪路向けのオフロードSUVはモデル数が大幅に減っています。

 かつて人気だったオフロードSUVは、なぜ廃れてしまったのでしょうか。

 もともとSUVは、悪路を走るためのオフロードモデルとして誕生しました。アメリカが第二次世界大戦に投入した4WD(4輪駆動)のジープは、実質的に最初のオフロードSUVになります。

 終戦後には、日本のメーカーもトヨタ「ランドクルーザー」、日産「パトロール」(後のサファリ)、三菱「ジープ」などを用意。1982年には三菱「パジェロ」が発売され、オフロードSUVでありながら、洗練された内外装などが注目されて人気車になりました。

 1980年代には、トヨタ「ハイラックスサーフ」、日産「テラノ」なども加わり、オフロードSUVが好調に売れています。

 とくに主力商品のパジェロは、1991年に2代目にフルモデルチェンジされると、売れ行きをさらに伸ばしました。

 パジェロは1992年に約8万4000台(1か月平均で約7000台)販売していますが、これは2019年にSUVでもっとも多く販売されたホンダ「ヴェゼル」の5万5886台を上回っています。

 売れ筋となるパジェロのロングボディ(5ドアボディ)に2.8リッターディーゼルターボを搭載した「エクシード」の価格は、370万円前後に達しました。

 そこに各種のパーツを装着して総額400万円以上のパジェロが1か月に7000台も売れたのですから、メーカーや販売会社は大喜びでした。

 ところが、パジェロのようなオフロードSUVの好調な売れ行きは、長く続きませんでした。一番の原因は、クルマの性格と実際の使われ方に食い違いがあったことです。

 オフロードSUVは悪路向けに開発されているので、ボディが重く、重心も高くなります。例えば、大ヒットした2代目パジェロのロングボディは、車両重量が2100kgから2200kgに達して、売れ筋のディーゼルターボは加速が緩慢でした。

 V型6気筒3.5リッターガソリンエンジンは活発に加速しましたが、10・15モード燃費は8km/Lから9km/Lだったので、燃料代が高額になります。

 さらに、高重心の重いボディでは、舗装路の操舵感が鈍くなったり、高速道路や峠道で安定性に不満が生じることもあります。パジェロのロングボディの最小回転半径は、5.9mと大回りで、車庫入れなどもしにくかったです。

■シティ派だけどヘビーに使えるSUVが最近のトレンド

 パジェロに限らずオフロードSUVは、オンロード走行での欠点が多い代わりに悪路走破力がとても高いわけですが、日本では滑りやすくデコボコの激しい悪路を走る機会はほとんどありません。

 SUVを扱う中古車業者は当時を振り返り、次のようにいいます。

「あの頃はオフロードSUVが一種のトレンドでした。一方で、入荷した中古車を点検したら、4WDシステムを使った形跡がほとんどありませんでした。もっぱら後輪駆動の2WDで走っていたわけです」

 そして雪道程度なら、ワゴンやミニバンの4WDでも十分に安定して走行できます。わざわざオフロードSUVを選ぶ必要はありません。

 カッコイイ外観に魅力を感じてオフロードSUVを購入したものの、日常的に使いにくくムダも多いことが分かり、次第にユーザーは減り始めました。

 このタイミングを見計らうように登場したのが、前輪駆動の乗用車系プラットフォームを使ったシティ派SUVです。

 1990年代の中盤から後半に掛けて、トヨタ「RAV4」や「ハリアー」、ホンダ「CR-V」、スバル「フォレスター」などの初代モデルが登場して人気を高め、2000年に発売された日産「エクストレイル」も売れ行きを伸ばしました。

 これらの車種は、外観がカッコ良く、車両重量はオフロードSUVに比べて軽いのが特徴です。

 とくにRAV4やCR-Vの初代モデルは、サイズもコンパクトで運転しやすく、乗用車と共通部分が多いために価格は200万円前後と割安でした。400万円を超えるパジェロに比べると、半分の価格です。

 悪路走破力はオフロードSUVに負けますが、オフロードSUVが力を発揮するような極悪な道路環境は日本にほとんどなく、雪道ならRAV4やCR-Vでも余裕で走破できます。

 その結果、2000年以降に登場したSUVは、大半がシティ派となりました。近年では、RAV4やCR-Vは初代モデルに比べて大型化しましたが、比較的コンパクトなヴェゼルやトヨタ「C-HR」、日産「ジューク」、スバル「XV」などが加わって、好調に売れています。

 シティ派SUV人気とは対照的に、後輪駆動をベースに、悪路走破力を高める副変速機を備えたオフロードSUVは、次々と姿を消しています。このカテゴリを築いたパジェロまで、2019年夏に国内販売を終えました。

 いまでは日本車だけでも30車種以上のSUVが販売されていますが、後輪駆動ベースの国産オフロードSUVは、「ランドクルーザー/ランドクルーザープラド」、レクサス「LX」、スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」しかありません。そのほかはすべて4WDが前輪駆動ベースになり、副変速機も装着していません。

 シティ派SUVとして人気の高いトヨタ「ライズ」・ダイハツ「ロッキー」、RAV4、エクストレイルなどを見ると、意外にオフロードSUVの持ち味も含んでいることがわかります。

 ワイルドなデザインに、汚れを落としやすい素材の荷室など、ヘビーな使われ方をイメージさせます。

 このような車種が人気を得ている理由は、SUVの本質がいまでも悪路走破力にあるからでしょう。

 ランドクルーザーでは悪路指向が強すぎますが、だからといってC-HRやCR-Vでは、ワゴンに近すぎて物足りないと感じるユーザーも少なくないわけです。

 SUVの人気と売れ行きには、このシティ派とオフロード派の比率が影響を与えます。日常的な不満を生じさせない範囲で、アウトドアのツールであることを表現することが大切です。

※ ※ ※

 2020年1月20日に新型が発売された軽自動車のスズキ「ハスラー」も、基本部分や居住性を「ワゴンR」と共通化しながら、余裕のある最低地上高や汚れを落としやすい荷室でオフロードSUVに通じる機能と雰囲気を備えています。

 人によっては、SUVを何車種も乗り継いだ結果、悪路の走破に行き着くこともあるでしょう。輸入車のジープディーラーの担当者は「生粋のオフロードSUVとされるジープ『ラングラーアンリミテッド』が、新車、中古車ともに人気を高めていて、下取査定も高額です」といいます。

 スズキのディーラーからは「ジムニーが相変わらず人気で、納期は発売当初と相変わらず1年と長いです」という話が聞かれます。

 ジムニーシエラの全長を伸ばした5ドアボディが登場したら、より息の長い人気を博すモデルになると思います。

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みんなのコメント

3件
  • ジムニー、シエラ以外は酷道、険道、腐道…などでは大きすぎて通れないのもあるかも?
    日本の山道は狭い。
  • 悪路はほとんどないし、重量税や燃費もあってシティ派の方が売れますよね。記事の通りだと思います。好きな人は乗る。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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