戦前は来る日も来る日もレースに明け暮れ、レーシングカーとスポーツカーばかりを生み出してきたイタリアの熱血ブランド、アルファロメオ。時は移り、今は中型サルーンのジュリアと、それをベースにしたSUV、ステルヴィオを中心にラインナップする、FCAのプレミアムブランドと位置づけられている。
したがってそこに、ヨーロッパのメーカーとしては嗜みのひとつといえるディーゼルエンジン搭載車が存在しても、まったく不思議はない。というわけで、先ごろ日本市場にも導入されたディーゼルターボエンジン搭載車を含むジュリアとステルヴィオが箱根ターンパイクに集結、プレスのテストドライブに供された。
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ジュリアとステルヴィオに加わったディーゼルターボ搭載モデルは、いずれも1車種ずつ。ジュリアが2.2ターボディーゼルスーパー、ステルヴィオが2.2ターボディーゼルQ4と呼ばれる。その名のとおり、いずれも排気量2142ccの直4ディーゼルターボで、8段ATを介してジュリアが後輪を、ステルヴィオが4輪を駆動する。
この2.2リッターのディーゼルターボ、クルマに応じてチューンが異なっていて、ジュリア用は190ps/3500rpmのパワーと450Nm/1750rpmのトルクを発生するが、ステルヴィオ用は210psおよび470Nmと、発生回転数は同じまま、パワーもトルクも増強されている。
もうひとつ意外なのがその価格設定で、ジュリアの場合、2.2ターボディーゼルスーパーは556万円と、ガソリンエンジンのスーパー(543万円)より高価なのに対して、ステルヴィオではターボディーゼルQ4は617万円と、素のガソリンモデルたるターボQ4(655万円)よりぐっと安い、最廉価版に位置づけられている。
というところで、箱根ターンパイクを主な舞台とした試乗会で最初に乗ったのは、ステルヴィオのターボディーゼルQ4だった。ジュリアと比べて全長が45mm、全幅が40mm、全高が245mm高いボディに収まると、ダッシュボードのデザインなどはアルファロメオらしいスポーティさを備えている一方で、いかにもSUV風の見晴らしのいいドライビングポジションが提供される。
ボタンをプッシュしてエンジンをスタートさせると、アルファディーゼルターボはスムーズに回りだした。最近の乗用車用ディーゼルエンジンは多かれ少なかれそうだが、このエンジンもアイドリング時の音の面でも振動の面でもディーゼルっぽさをほとんど感じさせないし、踏み込んでもスムーズに回転を上げる。
ステルヴィオターボディーゼルの車重は、意外にもガソリンターボ搭載車より10kgしか重くなっていないが、それでも1820kgはある。したがって、ターンパイクの上りではディーゼルターボらしいトルクに蹴り出されるような感触はあまり明確に味わえなかったが、8段ATを介しての加速はもちろんまったく充分なレベルにある。
だが、そのことにも増して強い印象をうけたのは、ステルヴィオのハンドリングだった。ガソリンの2リッターと10kgしか車重が変わらないことからも想像できたとおり、2.2ターボディーゼルもノーズの重さをまったく感じさせず、ステアリングを切ったとおりの軌跡を描いて、コーナーをハイペースで抜けていく。
のちに乗ったジュリアと比べると、高いところでクルマを操っている実感はつきまとうものの、ステルヴィオがすこぶるスポーティな身のこなしを持つSUVであることは、ディーゼルターボエンジン搭載モデルでも充分に感じ取ることができた。それでいてサスペンションは特に硬くなく、乗り心地も快適なものである。
そこで今度はジュリアのディーゼルターボエンジン搭載モデル、2.2ターボディーゼルスーパーに乗り移る。こちらのエンジンは190ps、450Nmと、ステルヴィオ用に比べるとチューンが低いが、その一方で車重は1600kgとステルヴィオ2.2より220kgも軽い。
したがって、加速はステルヴィオより軽快で、ターンパイクの上りも軽々と駆け上がっていく印象がある。もちろんジュリアの場合も、音や振動に関してディーゼルエンジンらしさは希薄で、回転感もスムーズだったのはいうまでもない。
一方、主にボディの高さの違いによるステルヴィオとジュリアの乗り味の違いも、印象に残った。前記のようにステルヴィオのハンドリングもSUVとしては模範的だが、ジュリアにはさらに着座位置の違いがもたらすよりスポーツライクな感触と、車重の軽さによる軽快感がある。
もちろんコーナリングはノーズの重さを感じさせず、ステアリングも命じるままに向きを変えていく。そこにさらに、AWD=全輪駆動とRWD=後輪駆動に違いに起因する操舵フィールの若干の相違も加わって、ジュリアのドライビング感覚の軽快さ、スポーティさが際立っていたといえるし、乗り心地も快適なものだった。
スポーティなSUVが欲しいならステルヴィオはいい選択に違いないが、そこに拘らないのなら、ジュリアはもっといい選択に思えた、ということだ。
実はこの試乗会ではもう1台、ジュリア2.0ターボQ4ヴェローチェにも乗った。これは、スーパー用の200psと330Nmに対して、280psと400Nmを発生する2.0ガソリンのハイパワー版を積んだモデルで、4気筒系では最も高性能で最もスポーティなAWDモデルだ。
2.2ターボディーゼルと比べると、ヴェローチェユニットはさすがに上の伸びが違うという印象で、5000rpmを超えるトップエンドまで、気持ちよく引っ張り上げていく。AWDとはいえ車重はRWDのヴェローチェより40kgしか重くないのも、加速感の違いに拍車を掛ける。やや締め上げられた脚とひと回りワイドなタイヤの恩恵もあって、ハンドリングも一段と締まっている。
というわけで、ガソリンエンジンの魅力捨て難し、というのも実感ではあったが、逆にディーゼルエンジンのアルファロメオに乗るというある種の違和感にも、そそられるものを感じた。かつてはレースに明け暮れていた熱血ブランドだからこそ、そのディーゼルモデルに乗るという違和感に酔えるのかもしれない。
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