■まるでシューティングブレークのようなクルマを振り返る
以前は世界的に隆盛を誇っていたステーションワゴンですが、現在は日本のみならずアメリカでも激減しています。
ステーションワゴンはセダンを大きく凌駕する積載性がありながら、走行性能はセダンに匹敵することで人気となりましたが、いまはSUVがそのポジションに君臨しています。
一方、かつてステーションワゴンのスタイルに近いモデルで、ハッチバックとして販売されたモデルが存在。
そこで、いま見ても斬新なデザインのハッチバック車を3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラ リフトバック」
現在、トヨタ「カローラ」はセダンとステーションワゴンをラインナップしていますが、かつてはセダンを基本とし、2ドアハードトップ、3ドアクーペ、バン、ステーションワゴンと幅広いボディバリエーションを展開。
そのなかでもユニークなボディタイプとして、クーペと似た外観ながらルーフを伸ばし、なだらかな傾斜角のリアハッチを持つ「カローラリフトバック」がありました。
1979年に発売された4代目カローラは、先代までの丸みを帯びたデザインから直線基調でシャープな外観に一新されましたが、引き続きリフトバックをラインナップ。
2ドアでリアハッチを有するスタイルは、欧州の「シューティングブレーク」を彷彿させるだけでなく、実際に荷物の積載能力が優れており、レジャー用途にも使えるモデルでした。
また、トップグレードの「1600GT」には、「カローラレビン」と同じ最高出力115馬力(グロス)を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、スポーティな走りを実現。
人気は、セダンや2ドアハードトップ、3ドアクーペには届きませんでしたが、現在のスポーツワゴンの先駆け的存在です。
●ホンダ「アコードエアロデッキ」
初代ホンダ「アコード」は1976年に発売され、当初のボディタイプはハッチバックのみでしたが、後にセダンが追加されます。
そして、1985年に登場した3代目では、一般的なハッチバックが廃止され、代わりにステーションワゴンタイプの3ドアモデル「アコードエアロデッキ」がラインナップ。
リトラクタブルヘッドライトを採用したスポーティなフロントフェイスに、キャビンはフロントからリアへなだらかに傾斜するロングルーフデザインを採用した流麗なフォルムを実現。それまでの国産車には無いスタイリッシュな外観となっています。
また、トップグレードの「アコードエアロデッキ 2.0Si」には、最高出力160馬力を発揮する直列4気筒DOHCエンジンを搭載。4輪ダブルウイッシュボーン式サスペンションと相まって、美しい見た目だけではなく優れた走行性能を実現します。
しかし、1989年に4代目へフルモデルチェンジした際に、セダン、クーペ、ステーションワゴンのラインナップとなったため、エアロデッキは消滅してしまいました。
■短命だった美しいハッチバック車とは!?
●日産「ブルーバード オーズィー」
1987年に発売された日産8代目「ブルーバード」は、先進のフルタイム4WDシステムと高性能エンジンが搭載された、革新的な「SSSアテーサ リミテッド」の登場が話題となりました。
発売当初は4ドアセダンと4ドアハードトップだけのラインナップでしたが、モデル末期の1991年に、ステーションワゴンのようなフォルムの5ドアハッチバック「ブルーバード オーズィー」を追加。
車名の「オーズィー」は、生産が日産のオーストラリア工場でおこなわれていたことから、「オーストラリアの、オーストラリア人」という意味を持つ「Aussie(オージー)」に由来しています。
外観は直線基調のスピード感のあるデザインで、ロングルーフの後端に傾斜したリアハッチを配したことで、現代でも通用するようなスポーツワゴンのフォルムを実現。
また、前後にスポイラーを装備し、エンジンは日本仕様専用に2リッター直列4気筒DOHCを搭載するなど、スポーティなイメージに仕立てられています。
使い勝手も性能も良いモデルでしたが、わずか3か月の限定販売だったため販売台数は少なく、いまではかなり貴重なクルマです。
※ ※ ※
近年、ステーションワゴンのラインナップは激減しています。そもそもセダン人気の低迷もあって、ベースとなるモデルが減っているのも理由のひとつです。
しかし、2019年9月に、新型車として「カローラ ツーリング」がデビューするなど、その灯が消えたわけではありません。
ほかにも欧州車では数多くのステーションワゴンが販売されているので、まだまだ選択の余地はありそうです。
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