危険性や安全性に対する重要性も知れる
『レーシングカート』ってなに?と聞かれることがある。以前は”ゴーカートの速いやつ”と説明すれば大体理解されていたが、最近はゴーカートすら知らない世代がいるのも事実。主に訪日外国人を対象としたマリオカートを現実化したマリカー(最近は著作権問題から「ストリートカート」と名称変更して運営しているようだ)と言えばわかってくれるだろうか。このマリカーの本格版というと理解してもらえるのかも。
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さて、ストリートカートでは公道を走るため運転免許が必要だし、指定速度など道交法を守らなければならない。一方のレーシングカートはサーキットで本当の速さを競う。モータースポーツの立派な入門カテゴリーとして世界中で認知されているもの、それがレーシングカートなのだ。
レーシングカートでレースを初め、世界最高峰のモータースポーツであるF1にまで登り詰め活躍したレーサーは多い。故・アイルトン・セナもミハエル・シューマッハもそう。日本人ドライバーでも鈴木亜久里氏や高木虎之介氏、小林可夢偉選手などもそうだ。僕自身もレーシングカートからこの世界に入った。
ドライビング向上のための技術を学ぶ
一般的なレーシングカートは簡単なスチール鋼管フレームにシングルシートをセンターに配置し、多くは100ccの単気筒2サイクルエンジンを搭載して後輪を駆動し走らせる。シングルシーターのフォーミュラカーの原型ともいえるようなレイアウトだから、ドライビングテクニックの基本を習得することができるのだ。
最高速度はコースにもよるが100km/h前後。しかし、路面から2~3センチの高さに着座するため視線が低く、体感スピードは200km/hを超える。コースは国際ルールに準じた構成がなされ、コーナーストーンが描かれピットロードもありルールもしっかりと定められている。
コースを走るラインどりの”アウト・イン・アウト”、”スロー・イン・ファーストアウト”の基本的な走法やドリフト、カウンターステアを習得。スリックタイヤを使用することからタイヤ特性にも造詣が深くなり、走りでラップタイムを向上させてゆく際にマシンの足回り調整をするが、キャンバーやトーインといったマシンアライメント、トレッド特性などセッティングの基本も身に付く。
なお、今年デビューしたトヨタ・スープラの開発責任者である多田哲也氏は「スポーツカーに必要なのは低い重心とショートホイールベース、ワイドトレッドだ」と語るが、レーシングカートの走行性能からもこの着想を得たのだという。
レーシングカートは重量が60kg(クラスにもよるが)ほど。そのほぼ中心にドライバー(カーターと呼ぶ)が乗るので人馬一体感が強く、操舵しているカートのヨー(鉛直軸周りの回転)をダイレクトに感じ取る事ができる。それを「1対1」でタイヤと直結しているステアリングと、ハイパワーなエンジンでパワーコントロールしながら操るのだ。ここにはドライビングの基本が全て詰まっているだけでなく、コンペティションも体験でき、危険性や安全性に対する重要性まで知る事ができる。
レーサーを目指していなくても、レーシングカートを知り体験することは自身のドライビングスキルの向上に大きく役立つということを知っておいてほしい。
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