9月8日から走行セッションが始まったWEC第6戦富士。今季、ハイパーカークラスにデビューしたポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのポルシェ963はここまで苦しい戦いが続いているが、ドライバーはどう感じているのだろうか。日本でもおなじみのフレデリック・マコウィッキに話を聞いた。
マコウィッキは2013年と2014年にホンダからスーパーGT・GT500クラスに参戦。その後日本を離れ、ポルシェのGTレースを中心に活躍したが、2019年にはニッサンから再度GT500に参戦している。
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マコウィッキはまた、2022年1月にポルシェ963のシェイクダウンを担当するなど、今年デビューした新型LMDhマシンの開発の初期段階から関わってきたキーパーソンでもある。2023シーズンに向けてはデイン・キャメロン、ミカエル・クリステンセンとともにポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ5号車のドライバーとして起用され、WECにフル参戦。久々の来日となった。
日本に戻ってきた感想を聞くと、「最高だね!」と一言。
「ピュアな競争があるスーパーGTのおかげで、僕はレースを愛するようになったんだ。政治的な要素はなく、ただ純粋に自動車メーカーとタイヤメーカーの争いがあるだけ。僕は毎年勝利を挙げることができたから、スーパーGTでのキャリアはハッピーなものだった。もっと長くここで戦っていれば、タイトルを争うチャンスがあったかもしれないけどね」
WECで富士を走るのはGTクラスに出場していた2017年以来のこととなるが「素晴らしいレーストラックだし、セクター3ではいつも素晴らしいファイトが見られる。楽しみだよ」と知り尽くしたコースでの一戦に希望を口にする。
しかし、今季ここまでのポルシェ963の戦績を見てみると、第2戦ポルティマオでこそケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントール組の6号車が3位表彰台に登ったが、これがここまでの最上位。75号車を加えワークス3台体制で挑んだル・マン24時間では全車にトラブルが発生するなど、トヨタGR010ハイブリッドやフェラーリ499Pら上位勢と互角に戦うには至っていない。
「僕らは、(トヨタなどと比べると)WECのプログラムをスタートさせたのはかなり遅かった」とマコウィッキはここまでを振り返る。
「でも面白いもので、レースごとに進歩は見られるし、実際に改善もされているんだ。開幕戦のセブリングではかなり遠いところにいたけど、レースを重ねるごとに強くなっている。ポルティマオでは姉妹車が表彰台に登ったし、スパとモンツァでは4位に入賞している。だからいま、表彰台に近づき始めているんだ。ル・マン・ハイパーカー(規定のマシン)はやはり速いけどね」
「だけど、僕らの主な目標は力強いレースをすること。それができれば、あとは最終的に自分たちがどこにいられるか、だよ」
マコウィッキは現実的なターゲットとして同じくLMDh規定のマシンで今年デビューしたキャデラックに「挑みたい」と語る。
「もちろん、ル・マン・ハイパーカー勢にもできるだけ近づきたいよ。今週末も、どうなるか見てみよう」
マコウィッキは開発の初期段階からポルシェ963に関わっていることについて、「責任は重大だよ」と認識している。
「誰もが良い地点からスタートしたいと考えるものだけど、どんどん良くしていくことこそが重要なんだ。僕が思うに、僕らはいま、少しずつ良くなり始めているところだ」
取材はダンプコンディションとなったFP1の直後に行ったが、マコウィッキは「僕らに競争力はあると思う」と不安定な天候の富士におけるポルシェ963の立ち位置を語った。
「重要なのは適切な瞬間に適切なパッケージがあるかどうかだと思う。つまり、いいタイヤをいいタイミングで使えるかどうかということ。とりわけ、こういったコンディションならね」
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