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ロードテスト DS7クロスバック ★★★★★★★★☆☆

掲載 更新
ロードテスト DS7クロスバック ★★★★★★★★☆☆

もくじ

ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
ー内装 ★★★★★★★☆☆☆
ー走り ★★★★★★★★☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆
ー乗り味 ★★★★★★☆☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★☆☆☆

新型 トヨタRAV4 XSEハイブリッド 試乗 TNGAベースですべてを一新

はじめに

DSというブランドが誕生したのは2014年。DSオートモビルズは、わずか数年の間に、その立ち位置を確立するべく模索しているようだ。PSAグループのラグジュアリー部門として、アウディやBMW、メルセデス・ベンツ、ジャガーなどと並ぶ、顧客やモータージャーナリストなど、すべてのひとが納得できるクルマ作りを目指している。しかし、欧州の重鎮ブランドと、同じ輝きを得ることはたやすいことではない。

DS7というコンパクトSUVは、このフランスの自動車メーカーにとって、ブランドをワンランク上のものに位置づける、大切な役目を担っている。DS3、DS4クロスバック、DS5など、シトロエンから分離するかたちで、DSという名前を掲げたクルマはこれまで幾つかあった。そんな中で、DS7クロスバックは、DSブランドのために生まれた初めてのモデルとなる。

DSブランド初のクルマがSUVだった、ということは、今の時流に合わせたもの。CセグメントのSUVは、最も収益の面で可能性が高く見込まれるためだ。もちろん今後のモデル展開はSUVに限定するつもりはなく、今後6年間の間にリリースされる、6種類のモデルの1台目となる。そしてフルEVモデルが、ブランドの一番重要な位置に据えられている。

DSの主なターゲットは比較的若い世代となっており、それはPSAグループに属している、ということが大きい要因だろう。DS7クロスバックは、プラットフォームとパワートレインをPSAグループの既存モデルと共有し、様々なガソリンエンジンとディーゼルエンジンがラインナップされる。プジョーやシトロエン、ボクソール(オペル)など、選択肢は豊富だ。

果たして、PSAグループのコンポーネンツをパッケージングし直したようにも思える、DS7クロスバックは、ラグジュアリーなDSのフラッグシップとして、ふさわしい完成度を得ているのだろうか。気になるところだ。



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

AUTOCARの英国編集部では、DS7クロスバックをハンサムだと感じているひとが多いようだ。読者の皆さんはいかがだろう。ラグジュアリーブランドのクルマに対して期待することのひとつに、いかに独自性のあるデザイン、スタイリングをまとっているか、という点も含まれているはず。

DS7の場合、特にフロント周りのデザインは、印象的だったコンセプトカー「DSディヴィーヌ(写真)」の面影を見ることができる。しかし、ウインドウ周りは目を引くスタイリングをまとっているものの、他の部分からは、さほど新鮮味は感じられない。マットペイントのアウディA5よりは、少し冒険しているし、ライト類の処理も特徴的ではあるけれど。

箱型のフォルムで実用性も求められるSUVをデザインする上で、デザイナーはあまり挑戦的なことができないという理由もあるだろう。しかし、競争の激しいセグメントにおいて、DSというブランドを目立たせる上で、クロスバックのアピアランスは、どこかありきたりで既視感のあるものだと思う。

ボディサイズは、Cセグメントに属するSUVとしては、かなり大きな部類に入る。全長は4570mmもあり、フォルクスワーゲン・ティグアンやアウディQ3、セアト・アテカやBMW X1よりも大きい。むしろ、ひとつ上のセグメントに近い。その分、車内空間は大きく取れているはず。

DS7クロスバックのボディの内側は、比較的に馴染みのあるハードウエアが隠れている。ベースとなっているのはPSAグループのEMP2プラットフォームで、プジョー3008と5008、ボクソール・グランドランドXなどと共通。テスト車両に搭載されていたエンジンは、横置きの1.6ℓ4気筒ガソリン・ターボエンジン。最大出力224psを5500rpmで、最大トルク30.4kg-mを1900rpmで発生させ、すべてのモデルで8速ATを介して、前輪を駆動する。

また来年には、EMP2プラットフォームを採用するクルマとしては初めて、DS7クロスバックにプラグインハイブリッドが登場する予定。その場合、四輪駆動モデルとなるそうだ。

サスペンション形式に関しては至って標準的で、フロントがマクファーソン・ストラット式、リアがマルチリンク式となるが、乗り心地を大きく左右する、新しい技術が盛り込まれている。それが、フロントウインドウ上部に搭載されたカメラで車両の前方20mの路面状況をスキャニングし、サスペンションを制御する「DSアクティブ・スキャン」と呼ばれる機能。クルマが通過する路面状態に合わせてサスペンションの硬さを調節し、どんな起伏やうねりでも柔軟に処理することが目的だ。

すべてのDS7クロスバックに標準装備されるわけではないが、今回のテスト車両、プレステージ・グレードには搭載されていた。



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



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内装 ★★★★★★★☆☆☆

エクステリアの印象とは異なり、DS7クロスバックのインテリアデザインは、ブランドイメージの通り、アバンギャルドな雰囲気にあふれている。「インスピレーション」と呼ばれるインテリアトリムの設定には、バスティール、パフォーマンスライン、リボリ、オペラの4種類があり、それぞれ個別の配色と素材がコーディネートされる。

われわれのテスト車両のインテリアは、「リボリ」仕様で、ルーブル宮殿やラグジュアリーな店舗が並ぶ、パリの地区名にちなんだ名称とのこと。最も目を引くのが、シート表面やダッシュボードの前面パネル、ドアパネル上部などに用いられた、ダイヤモンド・キルティングが施されたセミグロスのレザー。スタイリッシュなエアベントは、グロスブラック仕上げのパネルで縁取られ、組紐状の装飾を意味する「ギロシェ」と呼ばれる、細かいエッチングの付いたアルミニウムパネルがセンターコンソールを覆っている。ダッシュボードの中央にはB.R.M.社の時計が埋め込まれ、レザー張りの内装と合わせて、DSの掲げるラグジュアリーな雰囲気を上手に具現化していると思う。

ただし、あまり車内の下の方は見ないほうが良いだろう。安っぽいプラスティック製のパーツも、ふんだんに使用されていることに気づいてしまう。せっかくのフランス仕込みの高級感も台無しに感じるはず。

実用性の面では、その大きなボディサイズを活かし、ライバルと比較して余裕のある車内空間を生んでいる。CセグメントとDセグメントの境界に属するだけのことはある。リアシートも膝周りや頭上空間にも余裕があり快適。ラゲッジスペースも、BMW X1の505ℓやアウディQ3の420ℓよりもだいぶ大きい、555ℓの容量がある。一方、フォルクスワーゲン・ティグアンは、615ℓとワンランク上となる。

指摘するならば、ドライビングポジション。掛け心地の良いシートもステアリングコラムも、充分な調整しろを備えているにも関わらず、ペダルの位置をちょうど良い位置にすると、ステアリングホイールが遠すぎるのだ。古いフランス車に見られがちな、人間工学的悪癖の名残なのだろうか。



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



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走り ★★★★★★★★☆☆

DS7クロスバックに搭載される、PSAのピュアテックと呼ばれるガソリンエンジンは、メカニカルの部分で優れた洗練性を備えている。フルスロットルで加速する際も、レッドゾーン間際ではかなりうるさいノイズを発するものの、それ以外は穏やかなハミングを響かせる程度。タコメーターの針は鋭く回転したがるわけではなく、5000rpm以上の回転数では、力を出し切った状態になる。

われわれが計測した1.6ℓエンジンの場合、3速でレッドゾーンまで回した状態での車内の騒音レベルは78dB。適正なギアでの112km/hでの低速走行時は、68dBだった。ちなみに、2016年にテストしたトヨタC-HRハイブリッドでは、同じ条件で73dBと67dBだったから、C-HRがハイブリッドシステムを搭載していることを考えると、DS7は健闘しているといえるだろう。

加速テストでは、メーカー値とわれわれの計測結果とで、大きな開きはなかった。0-100km/h加速では、メーカー値が8.3秒で、ドライコンディションで2名が乗車した状態でわれわれが計測した結果は、8.6秒となっている。

クロスバックの積むピュアテック・エンジンはある程度回転数を上げればたくましく、235/50というタイヤサイズながら、フル加速時は瞬間的にスリップする場面もあった。ディーゼルエンジンのボルボXC40 D4と比較すると、ガソリンエンジンならではの強みが発揮され、48km/hから112km/h加速ではDS7クロスバックの方が0.5秒速く、0-160km/h加速ではほぼ5秒も速い数字を出している。

現状では、クロスバックにハイブリッドなどの電動のアシストは入らないものの、充分に活発で、高速道路への合流や、登りの追い越し車線でも、不満を感じることはないだろう。スロットルレスポンスも悪くなく、ATの変速も全般的にスムーズで変速時間も短い。ただし、低速域で減速する場面では、ATがやや躊躇する振る舞いが見られた。

積極的に運転したい場面では、ATはマニュアルモードも選択でき、ステアリングコラムに取り付けられたパドルを用いて任意に変速も可能。といっても、ATの反応はおっとりした性格で、パドルの操作感も薄味なものだから、変速が楽しいと感じられることはないかもしれない。

ブレーキは、フロントがベンチレーテッドディスクで、リアがソリッドディスクとなる。112km/hから静止するまでに要した距離は46.5mで、SUVの中では優れた結果だといえる。強いブレーキング時には、脚まわりがソフトで背の高いSUVからイメージできる範囲で、フロントへ荷重が移動し、ノーズダイブも見られる。しかし減速時の安定性は高く、不安感をあおるようなことはない。

テストコース

スポーツモードも存在するが、積極的な走りを身上としたクルマではないことは明らか。しかし、柔らかい設定のサスペンションは、起伏や轍などを完全にいなせるわけではないようだ。おなじみミルブック自動車試験場の丘陵ルートのきついコーナーでは、重心高の高いSUVが故に、カーブのきつさを強調して感じられた。

脚が引き締まるドライビングモードを選択しても、ステアリングホイールの重さは増すものの、スローなステアリングのギア比設定自体に変化はない。つづら折りの道では、思った以上に大きなステアリング操作を求められることになる。また、頑張ってペースを速めていっても、グリップ力が充分ではなく、ややトリッキーな挙動を露呈してしまう。

T1セクションの大きな起伏では、クロスバックの柔軟なサスペンションが効果的に活かされ、滑らかにいなすことができていた。T2セクションの急カーブへ突っ込む際、かなりノーズダイブしたが、荷重が前に移動しアンダーステアを軽減していた。シフトパドルを用いた変速で、T5セクションの上り区間でも、4気筒エンジが生む30.4kg-mのトルクを、上手に発揮させることが可能だ。

発進加速

DS7クロスバック・ピュアテック225プレステージ
テスト条件:乾燥/気温21℃
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:145.8km/h)
0-1000m発進加速:29.1秒(到達速度:187.3km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:10.1秒

ボルボXC40 D4 AWD(2016)
テスト条件:湿潤/気温5℃
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:135.3km/h)
0-1000m発進加速:30.3秒(到達速度:172.6km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:9.7秒

制動距離

DS7クロスバック・ピュアテック225プレステージ
テスト条件:乾燥/気温21℃
97-0km/h制動時間:2.89秒

ボルボXC40 D4 AWD(2016)
テスト条件:湿潤/気温5℃



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆

DS7のインフォテインメント・システムやエアコンなどの操作を行うのは、ダッシュボード中央に浮いたかたちで取付けられた12.0インチのタッチモニター。ダイヤモンドの形状を反復したグラフィックが、プジョーやシトロエンと共有するシステムでの差別化になっているが、プレミアムブランドとして、システム全体にも手を加えたほうが良いだろう。

ソフトウエア自体は直感的に操作でき、モニターの下に並んだタッチセンサー式のスイッチが、使いやすさをサポートしている。モニターの表示は鮮明ながら、グラフィック自体はベーシックなもの。メニュー操作した時の、反応するまでの待ち時間も気になる。エアコンの操作をする際も、メニュー操作が必要で煩雑に感じた。

インスツルメントパネルは12.3インチモニターによるもので、表示内容のカスタマイズも可能。ステアリングホイールに搭載されたコントローラーで切り替えられるが、インフォテインメント・システムと同様に、入力から表示までにタイムラグがある。またスピードメーターなどの計器類の表示も、グラフィックに凝りすぎたところがあり、可読性の面では優れているとはいい難い。

ラゲッジスペースの床面は高さが調整でき、一番高くすると開口部とフラットになる。60:40に分割できるリアシートバック倒せば、ラゲッジスペースは1752ℓまで広げることが可能。通常の大きさでは、狭いところで幅が1130mm、奥行きが940mm、高さが570mmとなっている。

視界

着座位置が高いおかげもあって、前方視界は優れている。リアビューカメラも搭載され、駐車する際には重宝する。

燈火類

アクティブLEDヘッドライトには、オートハイビーム機能も搭載。明るく視界も広い。ハイビームとロービームの切り替えも素早い。

ステアリングとペダル

やや左側によったブレーキペダルは、SUVとしては珍しい。しかし、左足でブレーキを踏むぶんには特に不都合は感じられない。



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



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乗り味 ★★★★★★☆☆☆☆

DS7クロスバックの洗練され、落ち着きがあり、ラグジュアリーな雰囲気すら感じられるドライビングは、コンパクトSUVの中でもかなり特徴的な存在だといえる。最近このセグメントでは、ダイナミクス性能を高める傾向があるからだ。

フランス製のプレミアムブランドが生んだ大きなファミリーカーとして、路面をカメラで読み取る「DSアクティブ・スキャン」機能を備えたサスペンションは、イメージ通りの乗り心地を提供してくれるだろうか。以前テストしたDS5が備えていた、大きなフランス車でありながらも、どこかダイナミックな性格も忘れられないものだったけれど。

DS7クロスバックの乗り心地は全般的に優れていたものの、やや不自然さも垣間見れた。挨拶がわりとなる初めの50m程の走りは、充分に好印象なものだった。ステアリングは適度に軽く、穏やかなギヤ比設定ながら、アシスト量も過剰ではない。前輪駆動でありながら、余計な感触も伝わってこず、かといって路面と隔離された間隔もない。

乗り心地は柔らかく、低速域では不満のない快適性を備えている。しかし、サスペンションはロードノイズを車内に届けてしまう様子。大きくなだらかな窪みや轍は、充分滑らかに処理してくれるものの、19インチに扁平率が50というタイヤサイズもあって、鋭い路面の剥がれや凹凸には、やや手を焼いている状態だった。

DS自慢の画像認識を用いた「DSアクティブ・スキャン」アダプティブ・ダンパーは、残念ながら英国の道では上手に機能できない印象だった。市街地でも郊外の道でも、疑問が残った。そもそも、前方の路面状態を反映させるアクティブ・スキャン機能は、コンフォートモードを選択したときのみ有効となるようなのだ。

コンフォートモード以外では、アダプティブダンパー独自のプログラムが有効になり、センターコンソールに備わる大きなトグルスイッチで選択した、ドライビングモードに応じた硬さに設定される。スポーツモードではボディコントロールは引き締まるが、かなり快適方向に味付けされたDS7クロスバックを、積極的に運転したいと思えるほどの変化は起きない。コンフォートモードがDS7には合っているように思うが、期待したほどの快適性は備えていないといえるだろう。



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



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購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

DSオートモビルズ初のフラッグシップ・ファミリーカーには、プレミアムブランドのクルマに備えているべき、アクティブセーフティや優れた機能性を備えている。車線維持支援や、ブラインドスポットモニタリング、交通標識の読み取り機能などが、中上位のプレステージグレードのテスト車両に搭載されており、どれもうまく機能していた。また、コネクテッド・パイロットと呼ばれる運転支援システムも備わり、アダプティブ・クルーズコントロールと、車線維持支援機能を組み合わせ、発進から停止までを補助してくれる。

クルマの価格は、ボディサイズなりのもので、プレミアムSUVのボルボXC40やBMWX1などが属するCセグメントと、アウディQ5やアルファ・ロメオ・ステルビオが属するDセグメントの中間。Cセグメントで見るとやや高く感じられるが、標準装備は充実している。

上級グレードのクルマの場合、残存価値も悪くなく、残価設定の月払い契約にも影響を与えそうだ。エントリーグレードのディーゼルエンジンの場合、二酸化炭素の排出量は101g/kmで、180psの2.0ℓディーゼルエンジンでも128g/kmと、英国の環境税の面では有利だといえるから、ひとつの人気グレードにはなるだろう。

全般的に高価なフランス車は中古車価格も値落ちが大きい傾向があり、DS7も同様の結果となりそうだ。



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



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スペック

レイアウト

DS7クロスバックは、プジョー5008などと同じPSAグループのEMP2プラットフォームを使用している。エンジンはフロントに横置きされ、前輪を駆動する。追って追加予定のプラグイン・ハイブリッドモデルは、四輪駆動となる見込み。サスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット式で、リアがマルチリンク式。テスト車両の前後重量配分は、56:44だった。

エンジン

駆動方式:縦置きフロントエンジン/フロントドライブ
形式:直列4気筒1598cc ターボ
燃料:ガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム/アルミニウム
ボア×ストローク:φ77.0×86mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブ
最高出力:224ps/5500rpm
最大トルク:30.4kg-m/1900rpm
許容回転数:6500rpm
馬力荷重比:158ps/トン
トルク荷重比:21.5kg-m/トン
エンジン比出力:141.0ps/ℓ

シャシー/ボディ

構造:スチールモノコック
車両重量:1425kg/1616kg(実測)
抗力係数:計測なし
ホイール:(前)8.0Jx19/(後)8.0Jx19
タイヤサイズ:(前)235/50 R19/(後)235/50 R19
タイヤ銘柄:コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5
スペアタイヤ:スペースセイバー・タイヤ

変速機

形式:8速オートマティック
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
(1)5.25/4.5 (2)3.10/7.7 (3)2.00/11.9 (4)1.52/15.7 (5)1.82/18.6 (6)1.04/22.6 (7)0.84/28.3 (8)0.70/34.0
最終減速比:3.53:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:12.2km/ℓ
ツーリング:15.7km/ℓ
動力性能計測時:6.9km/ℓ

メーカー公表値:消費率
市街地:11.9km/ℓ
郊外:20.0km/ℓ
混合:16.9km/ℓ

燃料タンク容量:55ℓ
現実的な航続距離:674km
CO2排出量:135 g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング/ダンパー/アンチロールバー
後:マルチリンク/コイルスプリング/ダンパー/アンチロールバー

ステアリング

形式:ラック&ピニオン(電動アシスト)
ロック・トゥ・ロック:3.1回転
最小回転直径:10.5m

ブレーキ

前:φ304mmベンチレーテッド・ディスク
後:φ290mmソリッド・ディスク

静粛性

アイドリング:43dB
3速最高回転時:78dB
48km/h走行時:59dB
80km/h走行時:64dB
113km/h走行時:68dB

安全装備

ABS/EDB/EBA/ESC
Euro N CAP:★★★★★(1.5 Blue HDI/2017年)

発進加速

実測車速mph(km/h)秒
30(48) 3.6

40(64) 5.1

50(80) 6.8

60(97) 8.6

70(113) 10.6

80(129) 13.2

90(145) 16.3

100(161) 20.2

110(177) 24.9

120(193) 32.2

130(209) –

140(225) –

150(241) –

160(257) –


中間加速〈秒〉

中間加速mph(km/h)2速3速4速5速6速7速8速
20-40(32-64) 2.9 4.1 – – – – –
30-50(48-80) 3.1 3.8 5.0 6.2 – – –
40-60(64-97) – 3.8 5.1 5.8 7.5 11.8 –
50-70(80-113) – 4.1 5.1 6.2 7.7 10.3 15.1
60-80(97-129) – – 5.3 6.3 8.2 11.3 14.8
70-90(113-145) – – 5.9 6.5 8.7 13.1 17.0
80-100(129-161) – – 7.3 7.2 9.5 – –
90-110(145-177) – – – 8.9 – – –
100-120(161-193) – – – – – – –
110-130(177-209) – – – – – – –
120-140(193-225) – – – – – – –
130-150(209-241) – – – – – – –
140-160(225-257) – – – – – – –


各ギアの最高速

1速 46.6km/h 6500rpm
2速 80.4km/h 6500rpm
3速 123.9km/h 6500rpm
4速 164.1km/h 6500pm
5速 194.7km/h 6500rpm
6速 226.9km/h 6161rpm
7速 226.9km/h 4976rpm
8速 226.9km/h 4146rpm(メーカー値)





▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

結論 ★★★★★★★☆☆☆

フラッグシップモデルとして競争力は低くはないが、もう少しの面白みもほしい

PSAグループに誕生したブランドとして、まだ新興時期にあるDS。モデルそれぞれの乗り味があり、明確な軸というものはまだ確立していないようだ。大きな売上が見込めるCセグメントのSUVというファミリカーには、過剰な大胆さは必要ないとは思う。実際、DS7クロスバックは、どちらかといえば、一般的な性格を持ったクルマとして誕生したようだ。恐らく読者の中にも、興味を持っているひとがいるだろう。

その結果、エクステリアデザインとインテリアデザインとを比較すると、少し異なるテイストに仕上がっている。走りは控えめで、特に指摘するほどの特徴もない。新しい技術が投入されているが、うまく使いこなせているわけではない。一見すると興味がそそられそうだが、プレミアムブランドとしての価格を正当化できるほど、魅力では及ばないように思う。

6年前に登場したDS5は、やや際どい特徴を備えていたが、DSオートモビルズは、フラッグシップのために、その性格付けや味付けを変えたのだろう。明確な欠点は殆どないが、DSというブランドを象徴する、アバンギャルドな精神はだいぶ薄れてしまった。

ファミリカーとしてのDS7クロスバックは、充分楽しめる、悪くない完成度を得てはいる。しかし、DSというブランドのシンボルとして考えると、もの足りなさは否定できない。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイビス ナビゲーションの音声ガイド機能をオフにしても、数分後にはなぜか復帰してしまい、困らせられた。

マット・ソーンダース インテリアに用いられている上質な素材と、プラスティックなどの安価な素材との組み合わせが、今ひとつ馴染んでいない。スイッチ周りのデザイン処理は良いと思うが、ここまでひとつひとつが大きい必要はない。クルマのサイズを考えると、もっと沢山レイアウトできると思う。

オプション追加のアドバイス

今回のテスト車両、プレステージグレードの場合、ほとんど必要な装備が備わっているが、価格もそれなり。ベーシックなガソリンモデルでも、3万7530ポンド(544万円)はする。

改善してほしいポイント

・もっと独創的なエクステリアデザインの方が良い。セールスポイントにもつながるはず。
・柔らか過ぎる乗り心地は、やや古臭い印象がある。また価格相応の乗り心地も得られていない。
・インフォテインメント・システムのグラフィックはよりシンプルに、より読みやすくしてほしい。



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

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