F1第5戦木曜会見：「勝つための要素が揃ってきている」アストンマーティンと“最後の契約”を結んだアロンソ。決断に満足

　2019年以来、5年ぶりの開催となるF1中国GP。このイベントの復活を最も待ちわびていたのは、いうまでもなく地元上海出身、そして中国人初のフル参戦F1ドライバー、周冠宇（キック・ザウバー）だ。

Q：中国にF1が戻ってくるのが、さぞ待ち遠しかったでしょうね。
周：僕がF1デビューしてからの2シーズン、中国でレースがないことが本当に残念だった。待ち切れない思いをようやく解消できる。言葉にできないくらい嬉しいよ。

Q：昨日、ひとりの中国人の女の子が、あなたのことを尋ねてきました。彼女はF1についてはほとんど知りませんでしたが、あなたのことは何でも知っていました。自分がここでどれほど有名だという自覚がありますか？
周：ご存知のように中国では、F1は最も人気のあるスポーツとは言えない。それどころか卓球やサッカー、バスケットボールに比べれば、とるに足らないといっていい。でもそれにもかかわらず、コロナ禍でも僕を応援してくれる人たちが毎年のように増えていった。それは本当に嬉しかったし、驚きだったね。今年こうしてサーキットで彼らのエネルギーを感じるのは素晴らしいよ。

　周以外の5人のドライバーは、上海インターナショナルサーキットでグランプリを戦った経験がある。

Q：久しぶりにここに来たみなさん、忘れられない思い出、あるいは特徴はありますか。
ニコ・ヒュルケンベルグ：いい流れで走れるので、大好きなサーキットだね。

フェルナンド・アロンソ：非常にチャレンジングなコースだよ。特にターン1、ここは24戦のなかでも、最も特別なコーナーのひとつと言っていい。そして追い越しのチャンスがたくさんある。そこもとてもいい点だね。

エステバン・オコン：僕は、長いストレート終わりのフルブレーキングだね。あそこは本当にクールだよ。でも長い間ここでレースをしていないし、グランドエフェクトカーでどんなフィーリングなのか。とにかくいまはFP1が待ち遠しいよ。

シャルル・ルクレール：僕はここで2回しかレースをしていない。でもいつもとても走りやすいコースで、特にターン1、2、3では、多くの違うラインでアプローチできる。コーナーの攻略方法がまったく異なるということで、本当にエキサイティングだよ。問題は予選前のフリー走行が1回しかないことだね。

ランド・ノリス：僕は1回しかレースをしていないし、しかも完走できなかった。でもサーキット自体に悪い印象はない、今週末の再挑戦でどこまでいけるか見てみよう。

　そしてもうひとつの大きな話題が、日本GP終了後に発表されたフェルナンド・アロンソ（アストンマーティン）の契約延長だった。

Q：フェルナンド、今回のアストンマーティンとの契約、2025年以降もチームに残るという決断は、簡単なものでしたか。
アロンソ：いや、決してそうじゃなかった。特にこれは、おそらく僕にとって最後の契約になるだろうからね。まず何よりもF1でレースを続けることが正しい決断なのか確認したかった。もしそうだとして、あと数年間続けられる強さとモチベーションはあるか。そして最後に、チームがどれほどの野心と可能性を持っているか。でも最終的には、幸せな決断だったと思う。今後数年間アストンマーティンを代表できることを非常に誇りに思うよ。

Q：チームの将来について最も興奮していることはなんですか？
アロンソ：僕たちはホンダと提携し、ホンダ製パワーユニット（PU）を搭載する唯一のチームとなる。これは明らかに、今のメルセデス製PUのカスタマーであることとは全然違う。さらにチームは新しい施設、風洞を稼働させる。勝つための多くの要因がどんどん揃ってきている。興奮するしかないよ。

Q：では若いドライバーにとって、フェルナンドが40代になっても現役を続けることはどれほど印象深いことでしょう？　自分自身は何歳までレースをしたいですか。
ノリス：すべてのスポーツをひっくるめても、フェルナンドほど長く努力を続け、超一流のレベルを維持しているアスリートは本当に稀だよ。僕が20年後にそれをやりたいかどうか、正直わからない。今は間違いなく、この場所が大好きだけどね。

ルクレール：15年とか18年後に、僕が現役でいることを想像するのは難しい。フェルナンドのモチベーションの高さ、パフォーマンスのレベルの高さを目の当たりにしているだけになおさらだ。ただ僕の場合、もし現役を続けられたとしても、F1だけじゃなくル・マンとか、いろいろなカテゴリーを経験してみたいね。

オコン：フェルナンドを心から尊敬しているよ。子供の時、ミハエル（・シューマッハー）が対決するのを見て育った。彼らふたりは、僕にこのスポーツへの愛を与えてくれた人たちだ。だから今もフェルナンドとレースを続けているというのは、本当に信じられないことだよ。

Q：フェルナンド、彼らのコメントをどう聞きました？
アロンソ：褒めすぎだよ。この週末の僕がどんな調子か、見てみようじゃないか（笑）。