■現行ハイエースは16年目を迎える超ロングセラーモデル
個人使用ではミニバンスタイルが主流となった現在でも、最大限荷室を確保したキャブオーバー型は、趣味を大切にするファンから根強い人気を誇っています。そのなかでも常に人気の高いのがトヨタ「ハイエース」です。
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その昔流行した、「バニング」と呼ばれるさまざまな突起物を装飾したド派手なカスタムのベースとして一世を風靡しただけでなく、近年ではキャンピングカーのベースモデルとして使われるケースもあります。
ハイエースの歴史は古く、初代がデビューしたのは1967年。当時販売されていた小型トラック「トヨエース」の後継モデルとして、FR方式を採用したキャブオーバー型トラックが起源になっています。
同年にワンボックスボディの「ワゴン」や翌1968年にスライドドア搭載の「デリバリーバン」が登場し、その丈夫さと信頼性の高さで商用車として人気になりました。
その後世代を重ね、現行モデルの5代目がデビューしたのは2004年。それまでは小型車枠でしたが、全長4.7m以上のモデルはすべてワイドボディを採用しており、居住性が大幅に向上したことで商用だけでなく個人ユースでの人気が確立しました。
現在では乗用車登録の「ハイエースワゴン」と商用車登録可能な「ハイエースバン」があり、先進安全技術「トヨタセーフティセンス」も搭載。ロングセラーモデルらしく中古車市場も高値安定で推移しています。
長い間愛され続けるハイエースは、どのようなところが魅力なのでしょうか。現行モデルを個人で所有するオーナーに話を聞いてみました。
●光学メーカー勤務:Yさん(40代男性・神奈川)
某有名光学メーカーに勤務するYさん。現在は神奈川県の海沿いに一軒家を購入した理由は、ズバリ「サーフィン」です。
ハイエースの「グランドキャビン」を選んだ理由も「家族全員(大型犬も含め)が一度に乗れる」「サーフボードなどが楽々積める」というのが購入した最大の理由だといいます。
「ハイエースを購入したよかったところは、スクエアで車内が広いので、家族が全員乗ってもたくさんの荷物を載せられるところです。
全長は約5400mmとかなり大きいのですが、見切りの良いボディなので、意外と取り回し性にも優れています。そして、着座位置が高くて見晴らしが良いので、渋滞にはまってもストレスが少ないです。
残念なところは、リアアンダーミラーが商用車っぽいところです。あとは意外とヒンジなどがサビやすいように思います。また、車重が2トン以上あるので、上り坂でスピードが落ちてしまうことがあります」
ハイエース(スーパーロング)のサイズは、全長5380mm×全幅1880mm×全高2285mmで、個人用としては最大級の大きさです。
サイズは大きいものの、見切りのいいスクエアなボディと高い着座位置のおかげで、意外に運転がしやすいといえます。
また、とにかく広い車内も特徴で、室内長3540m×室内幅1730mm×室内高1635mmと車内サイズが小型車に匹敵するのです。
一方、もともと商用でスタートしたハイエースだけに、視界確保のため標準装着されているアンダーミラー類を、個人ユースに似合わないと取り外す人が多いようです。
ハイエースのカスタムではボディ表面の突起物をできるだけ減らす「スムージング」も定番になっており、その場合、後方視界はオプション設定される「バックモニター内蔵自動防眩インナーミラー」で対応するケースが多いとされています。
エンジンは、2.7リッターガソリンエンジンと2.8リッターディーゼルエンジンが用意されており、平坦な道ではパワフルに走行できても、2トン以上のグレードは上り坂での動力性能不足に陥ることもあります。
■自由に使えるスクエアで広い車内が最大の魅力
●会社員:Oさん(50代男性・栃木)
栃木県宇都宮市在住のOさんの趣味は、アウトドア全般です。キャンプはもちろんウインタースポーツも楽しむそうで、遊びを充実させるために選んだのが、トヨタのカスタムブランド「モデリスタ」が販売している「ハイエース MRT(マルチロールトランスポーター)」です。
荷室スペースをフラットフロア化させたコンプリートカーで、1ナンバー/4ナンバー登録になります。このハイエース MRTには専用のオプションが豊富なのも魅力だったといいます。
「ハイエース MRTのフロアはフラットなので、アウトドアなどに出かけた際に車中泊がしやすいです。また、カスタムパーツが多いので、自分好みに仕上げられるのも魅力です。
私はまだ当分乗るつもりですが、人気車種ということもあり、下取り価格も高いのではないかと期待しています。
その一方で、車高が高いので、木にぶつけやすいところが難点です。また、エンジンが前席の下にあることから振動が気になるのと、燃費があまりよくないところが残念なところです」
トヨタ直系のカスタムブランド「モデリスタ」が手がけたハイエース MRTは、エンジンや足回りなどはノーマルのままですが、あまり大げさなカスタムは好きじゃないけど、個性的なハイエースが欲しい人にはぴったりだといえます。
ハイエース MRTはオプションも豊富で、Oさんは荷室サイド部分にビルトインされる補助バッテリーを装備しているといいます。
それ以外にも社外ブランドで数多くのハイエース用カスタムパーツが販売されているので、キャンパー仕様にもスポーティ仕様にも幅広くカスタムすることが可能です。
また、ハイエース自体がブランドになっており、中古車市場でも高値安定傾向で、普通のミニバンより下取り査定が高いこともあるようです。リセールバリューが高いのも、ハイエースの魅力のひとつだといえます。
ハイエースは全高が高く、運転席からの見晴らしは抜群ですが、高さ制限のある駐車場に駐められなかったり、アウトドアでは樹木と接触に注意が必要です。
またキャブオーバー型のハイエースのエンジンは、前席と2列目シートの間に設置されていることから、長距離走行すると熱と振動に悩まされることもあります。
JC08モード燃費は、2.7リッターエンジンは9.8km/L、2.8リッターディーゼル12.2km/Lですが(いずれも2WD車)、実際はそこまでの燃費は期待できないようです。
※ ※ ※
ハイエースのオーナーは、趣味を充実させたライフスタイルのためにクルマを選んでいるようです。
フラットでスクエアな室内をカスタムして、「移動するプライベート空間」を作りあげたり、多人数乗車でワイワイしながら出かけたり、さまざまな使い方ができるのがハイエースの人気が高い理由だといえます。
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