■SEMA会場唯一のミニバン? 「LM風シエナ」とは
トヨタのミニバンといえば「アルファード」や「ノア/ヴォクシー」「シエンタ」がイメージしやすいですが、米国では「全長5mを超える「シエナ」が販売されています。
そんなシエナをレクサスの高級ミニバン「LM」風に仕立てたカスタムが世界最大級のSEMAショー2022でお披露目されました。
【画像】アルファード超えた! 全長5m超えの「LMシエナ」が凄い! 公開された実車を見る!(46枚)
アメリカでは現在、新車として販売されているミニバンはトヨタ「シエナ」、ホンダ「オデッセイ」、クライスラー「パシフィカ」、キア「カーニバル」などがあります。
2021年の販売ランキング1位はシエナでシェア34.4%。2位はオデッセイとパシフィカが同率で28.8%となっており、ミニバンが生まれたアメリカで日本ブランドのミニバンが半数以上のシェアを獲得していることがわかります。
しかしアメリカにおける自動車販売台数のミニバン販売シェアはわずか2%にも満たない数字で今や軽自動車を入れると半数近くがミニバンという日本の新車販売状況に比べると大変少ない状況になっています。
また、日本とアメリカで異なるミニバン事情としてもうひとつ特筆すべきことがあります。
それは、日本ではミニバンにエアロパーツを装着したり、足回りやホイールを交換したりして乗る人が大勢いるのに対して、アメリカではほとんど見かけることがありません。
アメリカにミニバンが誕生して40年が経過していますが、「サッカーマム(サッカー場へ子どもたちを送迎するためのクルマ)」というミニバンをわざわざカスタムして乗る、という発想がそもそもアメリカ人にはないのかもしれません。
その証拠に近年のSEMAショーでもカスタムミニバンを見かけることはめったにありませんが、2022年のSEMAショーで筆者が認識できたのは、シエナのカスタムモデルただ1台だけでした。
しかしこのシエナは、希少性もさることながらなかなか強いインパクトがあります。
まずはその見た目です。
フロントグリルをレクサスが中国をはじめアジアの国々で販売している高級ミニバン「LM」(風)のグリルにスイッチされているほか、エンジンルームにはHKSのスーパーチャージャーの姿を見ることができます。
細かい点にもこだわりがあり、後ろのエンブレムはなんと、トヨタマークではなくネッツ車種につけられていたエンブレムがついています。
もちろん、シエナが日本で正規販売されたことはないうえ、ネッツ店で販売されていた車種でもないです。
トヨタのエンブレムを外してあえてネッツのエンブレムを付けるところにオーナーのこだわりが見て取れます。
ぜひとも詳しい話を聞きたいと思い、調べたところシエナが展示されていたのは「SPYDER 」の屋外ブースでした。
SPYDERとはカスタムライト類(ヘッドライト、テールライト、フォグランプなど)の超有名メーカーです。
LM顔のシエナはSPYDERブースのデモカーとして展示されていましたので担当者に聞いてみたところ、このシエナはオーナー車両とのこと。SEMA 最終日の搬出のタイミングを狙ってオーナーに話を聞くことができました。
■同じ個体(ボディカラー黒)を2019年SEMAにも出展していた!
LM顔の2014年型シエナSE。オーナーはMaui Berganioさんという人で、同じシエナを2019年のSEMAにも出展していたことがわかりました。
2019年はマッキン・インダストリーズというレイズ、ヨコハマ、プロジェクトμなどの日本ブランドを中心に扱う輸入代理店のブースでの出展だったとのこと。
筆者は2019年にSEMAを取材した際、マウイさんのシエナの存在に気づいており、このときも「会場で唯一のミニバン」として記事を書いていましたが、その3年後に再びSEMAの会場で「再会」することになったのです。
しかし、今回のシエナのボディカラーは赤。2019年のSEMAに展示されたシエナは確か黒だったはずですが、Mauiさんにいろいろと話を聞いてみました。
―― 2019年は黒いシエナでしたよね?
そうです。このシエナは2015年に買いました。
独身時代はスポーツカーをカスタムしてチューニングして乗っていましたが、結婚して子どもができたのでファミリーカーであるシエナを買ったのです。
買ったときは黒で2019年のSEMAに展示した際には黒いボディでしたが、その後、塗り替えて現在の赤いボディになっています。
―― アメリカではミニバンをカスタムする人は少数派だと聞きましたが…。
確かに少数派ですね。というよりかなりレアだと思います。だからSEMAに出したときも反響がすっごく大きくて、たくさんの人が見に来てくれました。
皆さん驚かれるんですよ。「ミニバンでここまでの改造をするのか!」ってね。
だけどそのおかげで、いろいろなカスタムカーコンテストで入賞するようになりました。
また、SEMAにもパーツメーカーの依頼で展示させていただくことができています。
―― LM風のグリルがかなりまた珍しいですね
今、はやりのLM風にするとウケるかなーと。これはバンパー一体型で取り付けるタイプです。
2020年モデルまでのシエナ用として開発されたものなので、ぴったり収まっていますね。ミニバンの外装をいじるのはあまりほかに選択肢がないのでやってみました。
――エンジンもいじってますか?
HKSのスーパーチャージャーを入れて400馬力までアップしています。結構速いんですよ。
――ところで、シエナはファミリーカーということですが普段のアシとしても使っているのですか?
いえ、実はシエナは「ショーカー」として所有しています。だから、距離も1.1万マイル(約1万7600km)程度しか走ってないんですよ。
ほかにもクルマがあって、家族で遠出をするときはレクサス「470GX」の「オーバーランド」仕様で出かけます。
こちらもオフロードを安心して走れるよう、ドレスアップと実用を兼ねてさまざまなパーツを装着しています。
※ ※ ※
シエナとGX470いずれもトヨタのクルマですが、さらにマトリックス、ハイランダーの合計4台を所有しているそうです。
では、最後に「なぜトヨタ車が好きなのか?」をMauiさんに聞いてみました。
「私のクルマは全部、トヨタ車です。
好きな理由は第一に信頼性が高いことです。また、私の妹と義理の弟、そして私の母と父もトヨタ製のクルマに乗っています」
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中国に資本移してるからそんなもんか