控えめなボディには多くの強み
フォルクスワーゲンTクロスを若干伸ばし、クーペ風に仕立てたクロスオーバーが、新しいタイゴ。その最上級仕様になるのが、今回試乗した1.5TSI 150 Rラインとなる。
【画像】クーペ風クロスオーバー VWタイゴ 欧州の競合モデルと写真で比較 全140枚
このクラスは人気で、競合モデルも少なくない。スポーティな走りが魅力のフォード・プーマから、彫刻的なスタイリングが目を引くプジョー2008まで、選択肢には事欠かない。だがタイゴは、デザインや走り、ブランド力などで好バランスにあるといえる。
多くのフォルクスワーゲンのモデルと同様に、見た目で沢山の視線を集めることはないかもしれない。しかし、その控えめなボディには多くの強みが詰まっている。
ルーフラインはクーペライクに傾斜しているものの、そこまで大胆なフォルムではない。競合するクロスオーバーと比べれば、車内空間や荷室容量は有利だし、インテリアもスマートに仕立てられている。
コンパクトで比較的手頃な価格設定ながら、装備は充実していて、運転支援システムなど最新の技術もしっかり網羅されている。英国では、エンジンのラインナップもライバルより幅が広い。
今回試乗したタイゴはそのトップに位置し、最高出力150psを発揮する1.5L直列4気筒ガソリンターボを搭載。トランスミッションはデュアルクラッチ・オートマティックの7速DSGで、内外がスポーティに仕立てられるRライン・グレードでもある。
もし特別なバンパーやインテリアが必要なければ、英国ではスタイル・グレードも選べる。装備は同等で、同じ1.5LのTSIエンジンが搭載される。
LEDヘッドライトに運転支援など装備も充実
Rラインでもスタイルでも、タイゴにはLEDマトリックス・ヘッドライトが標準装備。駐車を半自動でこなすパークアシストも付いている。衝突被害軽減ブレーキなど、運転支援システムもワンクラス上の機能が実装されており、強みの1つといっていい。
必要ならレベル2に準拠した半自律運転機能、トラベルアシストもオプションで追加できる。高速道路で自律的な走行が可能で、渋滞や車線変更にも対応。速度標識を読み取り、状況に応じて調整もしてくれる。
タイゴの装備を並べ出すと、長い一覧ができてしまう。今回はこの辺りにしておこう。
クーペ風クロスオーバーのタイゴは角の取れた性格を持つ、実用性に優れたコンパクトモデルだ。SUVというカテゴリーに該当し、スタイリングもオフロード感が演出されているものの、さほどゴツい見た目ではない。
僅かに持ち上げられた容姿通り、ドライビングポジションも高め。だが、ドアを開いてみても乗り降りしやすい。
車内には大きなタッチモニターなど、デジタル技術も取り入れられている。色使いがモノトーンのインテリアデザインは個性的とはいえないものの、前後の席や荷室は充分に広く、少し高めの視点に惹かれるユーザーも多いはず。
内装の質感は、全長4.2m前後のクロスオーバーとしては平均以上。Rラインということで、さらに通常より仕立てはいい。随所がソフトタッチ加工されており、プラスティックが露出した部分は限定的。
ライバルよりゆとりのある車内とトルク
ダッシュボードにはデジタルコクピットとフォルクスワーゲンが呼ぶ、10.3インチのモニター式メーターパネルと、その横に大きなインフォテインメント用タッチモニターが据えられる。エアコンは、2ゾーンタイプとなる。
前席側は、よほど身長の高い大人でない限り、快適に座れる空間がある。後席側も、小柄な大人ならゆったり過ごせるし、子供から不満は出ないはず。ホイールベースは、Tクロスより長い。
荷室はフロアの高さを2段階に調整可能で、驚くほど広い。低く設定すれば、440Lの容量が得られる。1サイズ大きいハッチバックのゴルフより2割ほど広く、家族で週末を楽しく過ごすための荷物も、不足なく積めると思う。
1.5L TSIエンジンにはマイルドハイブリッドが組み合されておらず、燃費効率が驚くほど良いわけではない。運転を楽しみたくなるほどの動力性能も得てはいない。それでも、トルクとレスポンスは上々。走りは平均以上といえる。
25.3kg-mという豊かな最大トルクを1500rpmから発揮するため、7速DSGはテンポ良くシフトアップ。発進からストレスフリーに、リラックスしたクルージングへ短時間で移行できる。都市部の交通でも、洗練した印象を味わえる。
ただし、DSGは軽負荷時には上質なものの、高負荷時の振る舞いはやや不器用。マニュアルモードで変速も可能だが、ドライバーによってはキックダウンの反応が鈍いと感じることもあるだろう。
常に余裕感があり日常的に運転しやすい
1.5L TSIエンジンは、積極的に走らせると少し張り詰めたノイズを放つ。軽快に吹け上がる性格でもなく、4000rpm以上まで回して楽しいと感じるユニットではない。
そのかわり、150psというクラス上のパワーを備えるだけあって、日常的な運転はしやすい。常に余裕感が伴う点は、エントリー・グレードにはない魅力といえそうだ。
燃費は現実的な条件で、市街地中心なら13.5km/L前後。高速道路や郊外の長距離なら、17.5km/Lくらいまで伸びる。
ステアリングホイールやペダル類の重み付けは、軽すぎず重すぎず。操舵時の反応は予想しやすく、乗り心地も快適。姿勢制御はゆったり気味だが、安心感は高い。フォルクスワーゲンらしい個性といってもいいだろう。
コンパクト・クロスオーバーのタイゴは、フォード・プーマのように運転へ惹き込まれることはないかもしれない。しかし、一貫した特徴がある。運転しやすく快適で、気張らずに高めの速度域で移動できる。
見た目以上の車内空間を備え、見た目はスマート。装備は充実している。運転が退屈ということはない。そして、2022年らしいモダンさもある。
ゴルフサイズのハッチバックに代わる、新しいスタイルのクルマとして選ぶのもいい。もちろん、シトロエンC3 エアクロスのような、BセグメントのSUVとして選ぶのもいい。
ただし、1.5TSI 150 Rラインの英国価格は3万270ポンド(約505万円)から。筆者が自分のために選ぶなら、もう少しお手頃なグレードにすると思う。
フォルクスワーゲン・タイゴ 1.5TSI 150 Rライン(欧州仕様)のスペック
英国価格:3万3525ポンド(約559万円/試乗車)
全長:4271mm
全幅:1757mm
全高:1515mm
最高速度:212km/h
0-100km/h加速:8.3秒
燃費:16.5km/L
CO2排出量:138g/km
車両重量:1304kg
パワートレイン:直列4気筒1498ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5000-6000rpm
最大トルク:25.3kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
やはり円安を痛感させられる。