3月18日、MAZDA SPIRIT RACINGは三重県の鈴鹿サーキットで開催されているENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Powered by Hankook第1戦『SUZUKA S耐』の会場内で、2023年のスーパー耐久参戦を通じた取り組みについて説明を行った。今季もバイオディーゼル燃料を使用して参戦するMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptの新たな取り組み、さらにST-Qクラスに登場が予告されたロードスターについて説明が行われた。
2021年最終戦からモータースポーツへの参戦を開始し、2022年はシーズンでスーパー耐久への取り組みを行ってきたMAZDA SPIRIT RACINGは、すでに発表されているとおり2023年のスーパー耐久ST-QクラスにMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept、そしてST-5クラスにはグラスルーツからの挑戦を後押しする倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERを投入。2台体制で挑戦している。
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2022年最終戦鈴鹿から登場したMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptについて、MAZDA SPIRIT RACINGの前田育男代表は「どんなところにも持っていけるように、なるべく自分たちの技術で、いろいろは人たちの力を借りながら、なんとか徐々に一流にしていきたい」と、今季も熟成を進めていきたい意向を示した。
今シーズンも車両はバイオディーゼル燃料である『サステオ』を使用するが、「レースという閉じた環境だけで使えるものではなく、市販化に向けて多くの人に使ってもらえるような状況にしたい目標をもっています」という。
具体的には、この車両は3.3リッターのSKYACTIV-D直6ディーゼルエンジンを使用しているが、カーボンニュートラルに向けた取り組みがマツダの中にも培われている。また、今季の『サステオ』については、昨年までのものとは製法が異なるという。次世代バイオディーゼル燃料であることは変わらないが、水素化植物油(HVO)と呼ばれるもので、すでにヨーロッパでは販売もスタートしているものだ。
すでにHVOを使用しても、通常ディーゼルに使用される軽油に対し、制御など同じエンジンでも軽油と同等の効率、パワー、エミッション性能なども実現。耐久レース参戦を通じて、信頼性などの向上も進めていくとしている。
また、2021年の参戦当初は研究用で非常に高額だった燃料費も、ユーグレナ社の取り組みを通じ、「10分の1以下」まで減ったという。ユーグレナでは次世代バイオ燃料普及拡大のため、マレーシアでバイオ燃料製造プラントを建設、運営するプロジェクトを海外エネルギー企業大手2社と共同検討しており、ユーグレナが発行する無担保転換社債型新株予約権付社債をマツダが引き受けることが決定しているが、このプロジェクトを通じて、将来は非常に現実的な価格でバイオディーゼル燃料が販売されることもありそうだ。
さらに、MAZDA SPIRIT RACINGでは今シーズン夏ごろから、カーボンニュートラル燃料を使うマツダ・ロードスターを投入することが発表しているが、この参戦について前田代表は「もちろん(燃料の)選択肢を増やしていくことがありますが、(カーボンニュートラル燃料を使用する)GR86とBRZの戦いがあまりに楽しそうで(笑)。我々もそこに入りたいという思いがあり、我々もより盛り上げたいと思っています」と語った。
このロードスターについては今後詳細が発表される予定だが、「とにかく軽いクルマにしたい」と前田代表。2リッターエンジンを搭載するというが、それでもパワーの面ではGR86とBRZに太刀打ちするのは難しい。「限界はあるので、2台と勝負しようとすると、どこまで軽くしなければいけないのかというのは今やっているところですし、マツダの将来の開発技術に寄与するものが生まれてこないか……ということも期待しています」と語った。
また、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptも、「GR86とBRZの戦い」に入りたいという目標から生まれたクルマだ。ただ、ラップタイムではまだまだ2台には及ばず、「あと2~3秒速くしなければいけませんので、そこは目指しています。またパワートレインの特性で、どうしたら勝利できるのかについてやっていきたいです」と前田代表は語った。
スーパー耐久参戦を通じて、日本の他の自動車メーカーの仲間とともにカーボンニュートラルフューエルに向けた技術を実証し、さらにグラスルーツからの挑戦を支えるなど、さまざまなモータースポーツ活動が本格化しているMAZDA SPIRIT RACING。今季もシリーズを盛り上げてくれる存在なのは間違いなさそうだ。
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