2021年6月10日に中東トヨタが世界初公開した新型ランドクルーザー300。筆者の周りでも評判は非常に高く、普段クルマにあまり興味を持たない友人たちも「詳細はどのくらいわかっているのか?」、「日本はいつ発売? 価格は?」と聞いてくる始末。
そのうちのひとり、友人Aが新型ランクルがとても気に入ったので早速ディーラーに商談しにいったという。
その友人の商談の話を踏まえ、新型ランドクルーザー300の発売時期、グレード展開、価格、販売現場などはどうなっているのか、最新情報をお伝えしていこう。
文/柳澤隆志
写真/トヨタ
【画像ギャラリー】新型ランクルついに世界初披露! 公開された海外仕様車をギャラリーでチェック!!
どのモデルが人気? やはりディーゼルか?
こちらが標準仕様新型ランドクルーザー300。最上級のZXグレードだと思われる
TOYOTAのロゴとブラックアウトされたグリルが特徴のGRスポーツ
友人Aは現在2014年式BMW320dスポーツに乗っていて今年11月に車検を迎える。そろそろ乗り換えるべきかと思って次のクルマを探していたところ、「新型ランクルGR SPORTがカッコいい!」とひと目惚れ。
気に入ったポイントはずばり見た目。ブラックアウトされたフロントグリルとタイヤのアーチ部分。そしてグリルに大きく入ったTOYOTAのロゴ。ひと昔前のランクルやFJクルーザーを彷彿とさせる無骨なデザイン。
友人Aいわく「グリルのカラーと合わせて外装色はブラックもしくはグレーメタリックの濃色系がいいと思いました。ランクル史上最高の悪路踏破能力は私にとって宝の持ち腐れですが、他のグレードはアルファードっぽくてどうも好きになれずGR SPORT一択です」とのこと。
発売タイミングや納期、価格、サイズ等の詳細が知りたくて、いても立ってもいられなくなり、知り合いにトヨタディーラーの営業マンを紹介してもらって早速ディーラーに商談に行ってきたとのことだった。
営業用資料はまだ部外秘のセールスマニュアルしかない
新型ランドクルーザー300のリア回り。200に比べテールランプが横長になった
彼が向かったのは都内某所の幹線道路沿いにあるモビリティ店。平日で他の客はあまりおらず待つことなしに面談コーナーに案内され、さっそく、若くてハンサムでやり手のにおいがプンプンする営業マンと名刺交換。
「いやあ、問い合わせ本当に多いんですよ、先代200系のオーナーからもそうですし、お客様と一緒でドイツ車からの乗り換えの方も多くて」とのっけからうれしい悲鳴を聞かされる。
「現時点で営業用の資料はカタログも何もなく、あるのはセールスマニュアルだけなので、これを一緒に観ながら説明させてください」と言われ、富士通の黒い2-in-1端末にインストールされた30ページ弱の電子ブックが見ながら詳細説明を受ける。外部への情報流出を恐れてか電子ブックには営業マンのIDと思しき電子透かしが入っているのが印象に残ったそうだ。
まずは今回の新型ランドクルーザーが「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」というこれまでの「人の命と生活を守るクルマ」の哲学を踏襲する正統進化であることの説明を聞く。電子ブックページ上には「営業用のビデオを参照すること」という記載があり、営業マンがしっかり事前に情報を頭に入れたうえで顧客にマーケティングを行うよう指示があったが、ビデオ教材はまだ準備できていないらしい。
先日のワールドプレミアでの紹介動画は中東市場を意識して英語でのプレゼンテーションとなっていたが、今回の300系の開発テーマが語られる部分など多くは日本語のままだったので友人Aの頭にはひと通りの知識はインプットされていた。
また彼は直近ロシアのトヨタ公式HPにてGR SPORTの内外装デザインがバッチリ見られる動画も観て予習をしたらしく、営業マンとの会話もスムースに進んだそうだ。
悩ましかったエンジン選択は営業マンからナイスアドバイス!
GR SPORTは5人乗りディーゼルと7人乗りガソリンエンジンが選択可能という
発表されたエンジンはガソリンが3.5L、V6ツインターボ(415ps/650Nm)、ディーゼルが3.3L、V6ツインターボ(309ps/700Nm)の2種類で、現時点ではハイブリッド仕様はラインナップされないことが判明している。
GR SPORTは5人乗りディーゼルエンジンと7人乗りガソリンエンジンが選択可能。どちらもV6ツインターボ、TNGAプラットフォームで開発されたラダーフレームとともに軽量化・低重心化に貢献し、その結果燃費も改善している。「200系のZXでは実燃費がリッター4kmほどの極悪燃費だったが改善が期待される」と営業マンが説明してくれたそうだ。
先代200系は4.6Lの大排気量ガソリンエンジン搭載とはいえ、スーパーヘヴィ級の車体を押し出すには低回転域でのトルクがやや不足して出足が鈍いところがあり、300系へと乗り換えを検討しているオーナーのなかには700Nmの強大なトルクで2.5トンを超えるクルマを引っ張るディーゼルエンジンに期待する声が大きいとのこと。
またガソリンエンジンの7人乗りはこれまでは3列目シートを横に跳ね上げて収納していたのに対し、新型は床面に収納される形に改良。「大型スーツケースが5個積めるようになるなど積載性が向上したのがセールスポイントです」との説明を受けたという。
GR SPORTは新設定のグレードなのでどれぐらい200系ZXオーナーがGR SPORTに流れるかは予測できないけれど、それでも相当の人気を集めるに違いないということだった。
その話を聞いて友人Aは「やはりGR SPORTの5人乗りディーゼルエンジン一択」と思ったそうだ。確かに彼は独身なので7人乗りのクルマが必要とはとうてい思われないし、仮に燃費が悪くてもディーゼルであれば若干経済的な負担も軽減されるだろう。
ディーゼルは3.3L、V6ツインターボで309ps/700Nmを発生。ディーゼルエンジン仕様に人気が集中しそうだ
外装色・内装色はどう選ぶ?
トヨタSUVのフラッグシップとして豪華かつクオリティの高いコクピット
ZXの外装色一番人気はアルファード同様、ホワイトパールクリスタルシャインになるだろうとの予想。GR SPORTのホワイトは、それとは異なるプレシャスホワイトパールだそうだ。直近のクラウンから採用された新色で、「ホワイトパールクリスタルシャインよりもさらに黄色みが少なく白さが引き立つ色」とのこと。友人Aが色見本を見た限りではそこまで違いは明白ではなかったそうだ。
GR SPORT向けに用意される外装色はほかにはブラックとグレーメタリック、ダークレッドマイカメタリック。「ブラックはメタリックではなくソリッドカラーで磨き傷が目立ちやすいので濃色系だとグレーメタリックがいいかもしれないですね」と、営業マンからのワンポイントアドバイス。
GR SPORT専用内装色はブラックとブラック・レッドのコンビの2種類。「コンビの内装はおそらくGRのロゴデザインを意識したもので専用のスポーツシートなどではないのでは」とのことだった。
カーナビやそのほかのオプションはどうなっている?
発表されたマルチテレインモニター
GR SPORTにはメーカーオプションで12.3インチの大型モニターのカーナビがJBLプレミアムサウンドシステムとセットで用意されるとのこと。「これはハリアーのナビと一緒なんですが、エアコン操作部分との2分割表示で地図が全画面表示されないのがあんまり評判良くないんですよね」と営業マンがボソリ。
ムーンルーフは標準装備でレス仕様も選べる。ルーフレールもメーカーオプションで用意されるとのことだがサーフボードが車内に入れられるぐらい積載能力が高いので別にいらないのでは、とのことだった。
盗難対策については指紋認証のスタートスイッチが標準装備される以外の細かい情報はわからないとのこと。やはり情報セキュリティは相当厳しいようだ。
サイズはやはり大きかった
200系ZXの全長4950mm、全幅1980mm、全高1870mmと比較すると300系ZXはそれぞれ4985mm(+35)、1980mm(変わらず)、1925mm(+55)、GR SPORTは4965mm(+15)、1990mm(+10)、1925mm(+55)と全長・全高がサイズアップしているとのこと。
ただし300系のルーフの高さは1880mmとセールスマニュアルに説明されており、シャークフィンアンテナの高さが45mmあるのではとのことだった。
友人A宅のマンション駐車場はやや狭く、大きなランクルが駐められるかどうかが決定的に重要なポイント。営業マンは親切にも200系ZXの試乗車でマンションまで来てくれて駐車場に入るかどうか確認してくれたそうだ。
写真でご覧の通り、全高が超ギリギリ。そこから新型はさらに5.5cmの高さがあるわけなのだから、これは本当に実車が来て入れてみないとわからないレベル。かなり厳しいハードルになりそうだ。
ルーフレール付きの200系ZXだと友人Aのマンション駐車場に本当にギリギリのサイズ。おそらく新型300系にも油圧式車高調整機能が備わると思われるがそれがないと相当厳しい
また友人Aは残念ながら(?)アウトドア派ではなく、新型ランドクルーザーを都内の足として使おうと思っていたようだが、このサイズ感だと一昔前の設計の駐車場には入らない可能性が高く、買い物に使うのもやや苦労しそう。やはりグローバルなクルマのサイズ感なので仕方ない部分もあるかと思うが、日本では足グルマとしての使い勝手は思いやられる。
納期は最速2021年末? 価格は1000万円オーバー!?
世界初公開となった新型ランドクルーザーのラインナップ。左からU字型のグリルを持つ最上級グレードのZX、中央がグリルと一体化したデザインのVX、AX、GXグレード、右がGR SPORTグレードとされる
さて、新型ランクル300の納期や価格はどうなっているのか? 営業マンから聞いた話では、2021年7月上旬~中旬ぐらいから先行受注開始され、8月には正式発表し、生産開始。
納期は受注生産なので最速でもその2、3ヵ月後ぐらいになるのではとのこと。2021年の3月発表予定が半導体不足のせいもあり、後ズレしたこと、問題が解決に向かうというよりはヤリスなどでも納期が伸びていることなどを考えると、さらに納期が後ろ倒しされる可能性があるとも釘を刺されたそうだ。
気になるお値段は200系のZXがオプションをいろいろ付けて乗り出しで800~900万円程度だったところから価格アップが予想され、おそらくGR SPORTで1000万円を超えてくるのではないかとのこと。
ただしそれでもメルセデス・ベンツのGシリーズのエントリーグレードG350dよりも200万円ほど安く、「世界最高の走破性を持つトヨタのランドクルーザーの最上級のグレードのGR SPORTがこの値段で買えるのであればむしろお買い得なのでは?」との営業マンの説明に、友人Aは思わず深く頷いてしまうほど営業トークだった。
すでにたくさん見かけるGクラスよりも注目を集めること間違いなし
GR SPORTグレードに人気が集中するのか? 白以外のボディカラーも見たいところだ
都内ではメルセデス・ベンツGクラスもかなり目につくようになってきたが、新型ランドクルーザー、特に初期に納車されたクルマは相当注目度が高くなるものと思われる。
いまどき「生きて帰れるクルマ」というセールストークのクルマもトヨタのランドクルーザーならでは。そのなかでも史上最高の悪路踏破性能を持つGR SPORTは海外、特に中東やロシアなどの市場からの引き合いも強く、リセールバリューも期待できるはず。そのぶん、盗難リスクも高くなるはずだから友人Aが屋内駐車場を見つけられることを筆者は祈っている。
200系ZXでも500万円の残価設定で買ったユーザーの大半がそれより高い下取りになっているとの情報もあり、14年ぶりのモデルチェンジかつ半導体不足もあり品薄な300系、それも希少グレードであれば下手すればプレミアム価格で取引されるのでは? などと妄想が膨らむばかりだ。
また本格クロカンならではの4輪それぞれの足回りの柔軟性と、電子制御でスタビライザーを効かせオンロードでの高速域で安定した乗り心地の良さを両立させるための世界初導入のE-KDSSも、現行メルセデス・ベンツGクラスのサスペンション/乗り心地対比でキラーウェポンとなりえるのではないかと考える。
煽るつもりは全くないが、話を聞く限り、どうしてもすぐに欲しい人は今すぐディーラーに行かないと納車は1年後、と言われても違和感ない気がしてきている。
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