■唯一の輸入プレミアムブランドのミニバン
メルセデス・ベンツの「Vクラス」は現時点において日本へ正規導入されている唯一の、輸入プレミアムブランドのミニバンです。
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ボディは「標準」「ロング」「エクストラロング」の3タイプあり、全長は4895mmから5380mm。全幅1930mmの堂々とした風格に、最高出力163ps、最大トルク380Nmの4気筒2リッターディーゼルエンジン搭載。9速ATを組み合わせます。
そんなVクラスが大規模なマイナーチェンジを受けました。そのメニューの中心となるのは内外装。
大きく整形したエクステリアの注目はフロントグリル(グリル中心に大きなスリーポインテッドスターを置いたタイプとボンネットマスコットを組み合わせるクラシカルなデザインの2タイプがある)です。
グリルは大型化されるとともに、同ブランドのハイエンドセダンである「Sクラス」をイメージさせる立派な雰囲気となり、刷新されたヘッドライトやバンパーとあわせて上質感はお世辞抜きに「従来比200%増し」といったところ。
メルセデス・ベンツらしい高級なオーラが漂うようになりました。
新たに設定されたディッシュホイールも、メルセデスっぽい雰囲気でよく似合います。
いっぽうのインテリアは運転席回りのデザインを刷新。メーター&センターディスプレイとして、12.3インチのディスプレイがふたつ並ぶ、メルセデスの最新インターフェイスとなりました(先代はメーター5.5インチ+センター10.25インチ)。
従来は電子キーを捻るタイプだったエンジンスターターが新型ではプッシュ式となったり、アンビエントライトの色が3色から64色へと大幅拡大。
それにデジタルルームミラー(後方視界が大きく拡大)やステアリングヒーターの採用など装備も大きくアップデートされています。
ベーシックタイプの「V220d」を除き、乗り心地向上に貢献するエアサスペンションが採用されたのも大きなトピックといっていいでしょう。
そのうえで、最上級グレードとして用意される「エクスクルーシブ」(「V220d エクスクルーシブロング プラチナムスイート」と「V220d エクスクルーシブ エクストラロング ブラックスイート」はさらなる上質なインテリアが見どころ。
全席がナッパレザー張りとなり、2列目には電動式の調整機能を組み込み固定式の大型アームレストを備えてみるからに立派なシートを搭載。
まるでトヨタ「アルファード」や「ヴェルファイア」の上級グレードのような高級感を手に入れたのです。アルミ風のインテリアトリムも上質感にあふれるものです。
これまで「Vクラスもいいけど、快適装備や雰囲気を考えるとアルファード/ヴェルファイアのほうが魅力的」と考えていた人も少なくないかもしれません。でも、新型の「エクスクルーシブ」系なら納得できる人も多いのではないでしょうか。
ところでアルファード/ヴェルファイアといえば、新しいVクラスがそれと比べて勝っているのはどんな部分でしょうか。
筆者(工藤貴宏)はVクラスが優れているポイントは4つあると考えます。
まずは見た目の上質感。
デザインは主観的なことなので、あくまで個人の印象の域を出ませんが、新型Vクラスのスマートな顔つきは上質感と威厳を兼ね備えたもので、「Sクラスのミニバン」といってもおかしくないほどの風格。
ラグジュアリーホテルに乗りつけても馴染める佇まいと言っていいでしょう。筆者は実車を見てプレミアムな雰囲気が大きく高まっていることを実感しました。
ふたつめは実用的なシートアレンジ。
室内空間はパッケージングの違いから、2列目や3列目の広さでいえばアルファード/ヴェルファイアに分があります。しかし、Vクラスは2列目や3列目を取り外すことが可能。
たとえば2列目と3列目をすべて外して広い荷室を用意したり、2列目を前後逆向きに取り付けて新幹線の対面シートのようなアレンジにしたり、3列目を取り外して2列目を車両後部へスライドして足元ゆったりの“リムジン状態”のアレンジも可能。
そういった幅広いアレンジはアルファード/ヴェルファイアでは用意されておらず、Vクラスのアドバンテージと言っていいでしょう。シートが取り外せるのがポイントです。
室内では、エクスクルーシブ系のグレードに用意される2列目用のテーブルが秀逸。
アルファード/ヴェルファイアの「エグゼクティブラウンジ」にも格納式のテーブルが用意されていますが、それに対して「サイズ」と「剛性感」の2つの点でリードしています。
アルファード/ヴェルファイアのエグゼクティブラウンジに用意されるテーブルはアームレストに格納されるタイプで、飛行機でいえば非常口席やバルクヘッド席に組み込まれるのと同じタイプの折り畳み式。
シートスライド位置を問わず、常に乗員の近くにあるのはメリットですが、サイズは小さく、Vクラスに比べると天板の安定感も不足気味です。
いっぽうでVクラスのエクスクルーシブに組み合わせるのは、1列目の背もたれに組み込まれていて、アルファード/ヴェルファイア用とは比較にならないほど大きく、ノートパソコンを置いても安定します。
そのうえ大きく頑丈なヒンジのおかげで、天板の安定性も見事なもの。ちょっとどころかかなり力を掛けてみてもまったくグラつきません(もちろん座ったりするのはNGです)。
車内をワークスペースとして使うひとにとって、新型Vクラスのエクスクルーシブに組み込まれる特大のテーブルは大きな魅力となることでしょう。
そして、Vクラスには動的性能にもアドバンテージがあります。
それは高速域のスタビリティ。高速道路をハイスピードで駆け抜ける際の安定性が抜群にいいのです。
アルファード/ヴェルファイアも新型になって走行安定性はかなりレベルアップしました。しかし高速域におけるVクラスの安定感はそれ以上で、さすがアウトバーン(速度無制限の高速道路)のある国で作られたクルマだと納得せずにはいられません。
正直なところエアサスペンションを装着した新型であっても、Vクラスの乗り心地には堅さがあり、純粋な快適性でいえばアルファード/ヴェルファイアが優勢です。しかし、それも高速走行時の安定性を高めていると考えれば、納得できるのではないでしょうか。
Vクラスと比べると、快適性、装備の充実度、床の低さに起因する乗り降りのしやすさ、(ハイブリッドモデルの)燃費、ターボエンジン搭載車の動力性能、そして乗り心地など多くの面でアルファード/ヴェルファイアにはアドバンテージがあります。
しかし、威厳とスマートさを程よくバランスしたスタイル、シートアレンジ、テーブルの実用性、そして高速域のスタビリティなどに魅力を感じたら、Vクラスを選ぶ理由が十分にあるのもまた事実なのです。
特に、ハイスピードで長距離移動するシーンが多い使い方であれば、Vクラスは魅力的なパートナーとなるでしょう。
すなわち、高速巡航することが多い国のクルマは、やはりその国らしいシーンで使うと良さをしっかり感じられるということなのです。
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みんなのコメント
て↓この違いは覆せないから。
>それは高速域のスタビリティ。
>高速道路をハイスピードで駆け抜ける際の安定性が抜群にいいのです。
それとメルセデス買う層はトヨタなんかと比べたりしない。
ユーザー見れば分かるだろ。
間に合わせでやるにはVクラスでやるしかなかったのだろうけど、もしメルセデスがアルヴェルを意識した日本市場をVクラスで狙うなら次期型は基本から見直してやってるだろうから次期型が本当の勝負になるだろうね