12月10日、第42回 2021 – 2022 日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考結果が発表された。選考委員ではない今尾直樹の分析とは?
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日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)が今年も発表になった。結果は以下の通りである。
1位 日産「ノート」/「ノート オーラ」/「ノート オーラNISMO」 /「ノート AUTECH CROSSOVER」 335点
2位 トヨタ「GR86」/スバル「BRZ」 264点
3位 ホンダ「ヴェゼル」 227点
4位 三菱「アウトランダー」 206点
5位 フォルクスワーゲン「ゴルフ」/「ゴルフ ヴァリアント」 168点
6位 トヨタ「MIRAI」 104点
7位 シボレー「コルベット」 81点
8位 メルセデス・ベンツ「Cクラス」 51点
9位 トヨタ「ランドクルーザー」 45点
10位 BMW「4シリーズ」(クーペ/カブリオレ/グラン クーペ/M4クーペ) 19点
得点結果からすると、日産ノートは2位の86/BRZに71点の大差をつけての圧勝だった。けれど、60人の選考委員の採点表と選考理由を拝見すると、そうともいえないようにも思える。むしろ、トヨタGR86/スバルBRZ、そして4位の三菱アウトランダーは、選考委員の一部からきわめて高く評価されていたことがわかるのだ。
日本カー・オブ・ザ・イヤーというのは、日本COTYのホームページによると、「日本国内で発表される乗用車の中から、年間を通じて最も優秀なクルマを選定」する、「日本を代表する“クルマの賞典”」である。
その選考基準は、「選考委員は対象車についてコンセプト、デザイン、性能、品質、安全性、環境負荷、コストパフォーマンス等を総合的に評価して選考する」とある。つまり、「総合的に評価」するのは選考委員に委ねられている。内実は知りませんけれど、もちろん選考員としても、せっかく選考委員をつとめるのだから、一任させてもらわないことには意味がない。
しかしながら、もしも、ま、いらん心配ですけれど、筆者がCOTYの選考委員になったりしたら、悩むだろうなぁ……。日本レコード大賞とか日本アカデミー賞とかミシュラン日本版とかプロレス大賞とか、あるいはGQ Men of The Yearとかの選考委員並みに。夜も眠れず、10円ハゲもできちゃうかもしれない……。
というのも、詳細は、日本COTYのホームページを見ていただくとして、60人の選考委員の方々はノミネートされたその年の新型車からまず10台を選ぶ。今年のノミネートは29台で、つまり、選考委員は第一次選考会でほぼ3分の1に絞り込まなければならない。
この段階で、ホンダ「シビック」やアウディ「e-tron」やメルセデス・ベンツ「Sクラス」や同「EQA」は落ちている。Sクラスなんて、メチャクチャいいクルマなのに……。ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーだと、コスパ重視でメルセデスのような高級車が受賞することは珍しいけれど、そういう考え方が日本でもあるのかもしれない。ともかく今年はSクラスが第1次選考会で落ちちゃうぐらいレベルが高かった。選考委員各氏も悩ましかったにちがいない。
この一次選考の集計の上位10台が「10ベスト」となり、このなかから1台を選ぶ第2次選考会が開かれる。ここでは、「各選考委員が25点の持ち点を対象車10車(10ベスト)のうち5車に配点する。そのうち最も高く評価するクルマに対して、必ず10点を与える」ことになる。いわば、今年の“推し”の1台が各選考委員に求められ、各選考委員は残りの15点を4台に割り振ることになる。
“日本スポーツカー・オブ・ザ・イヤー”という賞があれば……
なので、公開されている採点表で10点の獲得人数を比較してみることには意味がある、と筆者は考え、数えてみた。
すると、ノートと86/BRZは、得点差は71点あるけれど、“推し”に選んでいる委員はどっちも14人でおなじなのだ。ノートがより多くの委員から広くポイントを稼いでいるのは、コンパクト・ハッチバックというクルマの成り立ちからして当然で、対して後者はスポーツカーだから、おのずと好きなひとと、そうでもないひとに分かれるのも理屈であろう。
見方を変えると、2代目86/BRZを熱烈に支持する選考委員が14人もいたのに注目すべきで、もしも“日本スポーツカー・オブ・ザ・イヤー”という賞があれば、確実に受賞していただろう。いや、もちろん、わかりませんけどね。そんな賞、ないし。
ではあるものの、86/BRZは得点以上に高く評価されていることを確認しておきたい。それと、日本COTYには、ドライビングによる精神の解放、いわゆる“走り”こそ自動車のキモなのだ、と考える選考委員が一定数存在していることも。
4位の三菱アウトランダーも、 “推し”の選考委員は12人と突出している。みなさん、三菱のあたらしいPHEVの技術を絶賛しておられることも注目に値する。採点方法が違っていたら、3位になっていた可能性だってある。逆に3位のホンダ・ヴェゼルに10点を入れた選考委員は5人しかいない。それなのにアウトランダーより21点も多いのは、日産ノート同様、それだけ幅広い層から愛されるキャラクターだということだ。
水素で走るFCV(燃料電池車)のMIRAIを7人が“推し”に選んでいるのも興味深い。このクルマに投じた委員の選考理由を読むと、未来につながる新技術を高く評価しておられる。実際、700万円台でこれほど高性能なFCVの4ドア・セダンを実現しているのはMIRAIだけなのだから、称賛に値する。
現状では水素ステーションの数が少なすぎる。少ないのはFCVの個体数が少ないからだ。MIRAIをCOTYに選ぶことで、水素社会に向けての推進力にしよう。という選考委員たちの意図は明快で、『トヨタイムズ』はこの前向きでマジメな方たちを顕彰すべきではあるまいか。
日産へのエールかもしれない
外国勢は、フォルクスワーゲン・ゴルフとメルセデス・ベンツCクラスの新型がノミネートされていたのに、どちらもその得点は意外なほど低かった。
けれども、これがそのまま、両車の実力を示しているわけではない、と筆者は考える。この2台のドイツ車は、長年にわたって、それぞれのクラスの基準車になっているベテランの優等生である。いまさら評価しなくても……と思っちゃうほどに、よくて当たり前の存在になっている。やっぱりサプライズがないと、COTYのようなコンテストはむずかしいのである。たぶん、ですけど。
もうひとつ、採点結果を見ていて思うのは、2021年のトヨタの充実ぶりだ。10ベストに3台も入っている。それもスポーツカー、FCVのセダン、本格SUVとバラエティに富んでいる。しかもスポーツカーはスバルとの共同開発である。芸が広い上に深くもある。10ベスト以外にも、アクアとカローラ・クロスというヒット作を送り出してもいる。
ちなみに、2021年4月~9月のブランド通称名別の販売台数は、1位トヨタ「ヤリス」、以下、「ルーミー」、「カローラ」、「アルファード」と続く。5位の日産ノートと9位のホンダ・「フリード」以外は、「ライズ」、「アクア」(先代含む)、「ハリアー」、「ヴォクシー」と、トップ10のうちトヨタが8台を占めている。
結局、筆者はなにがいいたいのかというと、2021年のニッポン自動車界は、トヨタ一強がさらに進んでいる、ということだ。そういうなかでの、日産ひさびさの新型車の日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞は、もちろん、新型ノートとその派生モデルたちの出来がよかったこともあるけれど、同時に自動車専門メディアを中心に組織されている日本カー・オブ・ザ・イヤーからの日産へのエールかもしれない。
まったくもってCOTYとは縁もゆかりもない筆者がこんなことを申し上げるのもなんですけれど、古関裕而作曲の『栄冠は君に輝く』、あるいは『六甲おろし』みたいに、日産のみなさん、および日産ファンのみなさんに響くといいですねぇ。
最後に。聞かれてないけど、筆者が今年のクルマを1台選ぶとすれば、シボレー・コルベットでしょうか。COTYでも“推し”の選考委員は3人いらっしゃいます。伝統ある量産スポーツカーをミドシップに踏み切った勇気、アメリカン・スピリットを筆者も讃えたい。86も日産「フェアレディZ」もマツダ「ロードスター」も、いずれミドシップ化を考えねばならない。いつやるのか? いまでしょ。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
イヤーカーに0点の配点の審査員がいた。
イヤーカーを大外ししたのだから、評論家の価値無し。
即刻、来年の審査員を辞退すべきと思う。