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ドゥカティ史上、最も刺激的なスーパーバイクシリーズ──パニガーレV4が日本上陸

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ドゥカティ史上、最も刺激的なスーパーバイクシリーズ──パニガーレV4が日本上陸

ドゥカティからついにV4エンジンを搭載したマシンが発売となった。モトGPマシンのテクノロジーを随所に盛り込みつつ、レースだけに特化しないワイドレンジなマシンがパニガーレV4 Sだ。クルマ好きにとって、走る宝石といえばフェラーリ。そのバイク版ともいうべきスーパーブランドが同じくイタリアンメイドのドゥカティである。

決して大きなメーカーとはいえないものの、バイクレースの最高峰、モトGP(バイク界のF1)ではグリッド最多の8台をエントリーさせるなど、根っからのレーシングブランドであることもフェラーリのイメージとだぶる。しかし、近年ではアドベンチャーマシンやツアラー、スクランブラー等にも力を注ぐ。むしろセールス面ではそれらのジャンルのほうが圧倒的で、レーシングイメージを牽引するマシンがその屋台骨を支えているわけではないようだ。

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とはいいつつも、やはりドゥカティのDNAを一番感じられるのが「スーパーバイク」と呼ばれるレーシングマシン直系のカテゴリーである。ドゥカティのアイデンティティといえば、Lツインエンジンだ。その鼓動感とともに、特徴的なエギゾーストサウンドでもライダーを魅了してきた。しかしここにきてドゥカティは、そのフラッグシップマシンに量産車として初めてV型4気筒エンジンを搭載してきた。

非常にセンセーショナルな出来事ではあるのだが、実はドゥカティはモトGP参戦開始の2002年より、一貫してV4エンジンで戦ってきた経緯があり、その歴史は決して短くない。実際、幾度となく市販モデル登場が噂されたのだが、2007年に限定生産1500台のデスモセディチRRというモトGPマシンレプリカが1度発売されただけで、量産型4気筒エンジンは未発表であったのだ。

そして今回、満を持してのV4誕生となったのである。ちなみにメディアではV4またはL4と表記が異なるのは、もともとシリンダー挟み角が90度のエンジンのことを「L」と表していたドゥカティ。新型も同じ90度ではあるが、エンジンの搭載角度が後方に大きく傾けられ、真横から見ると「V」に見えるため、その呼称が変更になったから。
 
美しいスタイリングはLツイン時代のパニガーレに似ているものだ。しかしながら、ツインからV4エンジンへの換装が簡単にできるはずもなく、シャシーも外装類もすべてがこのマシンのために新設計されている。カウル類も単純に装着するだけではマシンが肥満化してしまうので、分割してスリムに仕上げる。生産性を犠牲にしてまでデザインにこだわるというイタリア人気質が強く感じられる。

いざ、跨ってみる。ライディングポジションは前傾姿勢が強く、腰高なレーシングライクなもの。エンジンを始動すると、刺激的なエギゾーストノートがその気にさせる。低速域はまるで鼓動感もサウンドもLツインエンジンのようである。ただ、市街地をメインに走るとなると、これは正直厳しい面もあるだろう。

トルクは適度に豊かであるし、ライディングモードでストリートを選択すれば電子制御サスペンションにより、それなりにソフトなフィーリングにはなる。しかし根底はレーシングマシンである。やはりレスポンスが鋭いし、なによりライディングポジションが厳しい。エンジンからの熱量もすごく、炎天下のなかノロノロと渋滞路にはまってしまったりすれば、下半身は凄まじい熱気に包まれる。「なんでこんなマシンを買ってしまったんだ!?」と、そんな後悔がちらりと頭をかすめる。

しかし、そこから少しずつ回転数が上がってくると状況が変わってくる。レスポンスもライダーの意志にとても忠実で、車体も少しずつ柔軟性を感じるようになってくる。いや、ここではライダーも受動的スタイルではなく、積極的に操っていく姿勢が求められるということもあるかもしれない。

公道では5000rpmも回せば十分にパワフルでしかも速い。さらに、その先には圧倒的なパワフルゾーンが待っていた。正直、これはサーキットでしか味わえない領域である。それも筑波などの小さなサーキットでは到底使いきれないほどのパワフルさだ。しかも、ブレーキング時のスタビリティも非常に高い。感動的に良く止まり、そして旋回していく。素晴らしく高性能だ!

だがしかし、そんなポテンシャルに感動している余韻はない。すぐさま怒涛の加速が控えている。電子制御技術の進化により、スライドコントロールも素晴しく決めることができるし、ウィリーコントロールに、オートシフターにコーナリングABS……と、ライダーをアシストしてくれる各種電子デバイスも満載である。とはいえ、このエンジンパフォーマンスをしっかり発揮させようとすれば、どうしてもパワーとスピードに身体が遅れがちになってしまう。それほどまでに圧倒的なパワーを誇っているのだ。

そこでちょっとペースダウン。そして回転数を落としてみると、途端に扱いやすく感じられる。けれども、それでも十分以上に速い。余裕が多少できた分、純粋にライディングを楽しめた一面もあった。

ところが、これだけ速くてもレギュレーションの問題もあって、この1100ccマシンではメジャーなレースに出場することすらできない。よって、ドゥカティが市販車で争われるもうひとつの最高峰レース、スーパーバイク選手権にV4マシンで参戦するのは来年、2019年からと言われている(MotoGPはプロトタイプマシンでの参戦)。つまり、今年度末に1000ccのホモロゲーションマシンを発表し、来年そのマシンで参戦する、と。では、なぜこのタイミングでパニガーレ V4 Sは1100ccで登場したのだろうか?

有り余るパニガーレ V4 Sの中回転域でのトルク&パワー。ちょっと回転を落としても十分以上に速い……とのべたけれど、大排気量の1100ccだから可能になった面もある。ホモロゲーションモデルとなる1000ccはきっと、もっとピーキーで速く走ることに特化し、より高度なライディングスキルが求められるのではなかろうかと想像する。

もちろん、どなたにも安易に薦められるマシンでないことは確かであるが、パニガーレV4 Sはもっと幅広いレベルのライダーを許容し、そして掛け値なしの凄さを感じさせてくれる稀有なマシンでもある。

V4エンジンを引っ提げた新たなパニガーレV4 Sは、レーシングマシンのDNAを純粋に受け継いだドゥカティフラッグシップにふさわしい、正真正銘のスーパーバイクなのであった。

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