V8は5.0Lから7.4L 馬力は年式で大きく異る
ミドシップになった新しいシボレー・コルベット C8は、正式に英国上陸を果たした。だが、それ以前のモデルもグレートブリテン島のアスファルトは走ってきた。登場から50年以上が経過した、C3型もその1つ。
【画像】コークボトルのスティングレイ シボレー・コルベット C3 前後のC2とC4、最新C8も 全98枚
ダイナミックなアメリカン・スタイリングに包まれた、象徴的なクラシック・スポーツカーを、英国なら1万2000ポンド(200万円)程度から探すことができる。気軽な気持ちでは、手を伸ばしにくいとはいえ。
クーペのほかにコンバーチブルも用意されていたC3型コルベットには、1968年から1982年という14年の生産期間に、様々なV8エンジンが搭載されてきた。5.0Lのスモールブロックから、7.4Lのビッグブロックまで。
前期型には、最もパワフルな7.4L V8で最高出力460psを発揮したものもあった。しかしモデル中期を迎える頃、アメリカでは排気ガス規制が強化。無鉛ガソリンに対応し、触媒が追加され、5.7Lから引き出せた馬力は165psに落ちてしまった。
アメリカ車に期待するようなパワフルさと、ラリー・シノダ氏が仕上げた本来のスタイリングを求めるなら、アイアンバンパーの付いた初期型を選びたい。1970年代初頭までのC3なら、0-97km/h加速5.5秒という俊足を叶えたビッグブロックを選べる。
ただし、アメリカの道路は広くまっすぐ。英国や日本のように、幅が狭くカーブが多い道は少ない。舗装も状態は良かった。一気呵成に加速するアメリカ車は、弱気なドライバーには向いていない。もちろん燃費も良くない。
基本的な知識と道具でメンテナンス可能
とはいえ、コルベットを維持する難しさは同年代のスポーツカーと同等。メカニズムは比較的単純で、メンテナンス部品も海外のサプライヤーを通じて簡単に入手できる。英国にもクレアモント・コルベット社など、専門店が複数存在する。
何か問題を抱えたら、クラシック・コルベット・クラブUKというサイトが心強い。オーナーだけでなく、購入を考えている人にとっても有用な情報源になるだろう。英語ではあるけれど。
C3型でもボディパネルはFRP製だし、電気的なトラブルも少なくない。だが、基本的なメカニズムの知識と道具があれば、多くの整備は自宅でも完了できる。
コレクターからの注目も高いコルベット C3だが、英国の中古車市場には走り込まれた後期型のTトップから、ショールーム・コンディションの前期型まで、様々なクルマが流通している。価格の幅も広い。
欧州本土にも、多くのC3が生き残っている。英国の場合は、アメリカから輸入するよりコストは抑えられるし、リスクが少ないというメリットがある。
もし前向きに考えているなら、見た目には惑わされない方が良い。スチール製フレームが錆びている可能性がある。詳しく状態を判断するには、入念な調査が欠かせない。ちなみに、スティングレイというエンブレムは1976年以降のモデルには付いていない。
「焦ってはいけません。走らない、真っ赤なコルベットを買うことになり得ます」。とは、コルベットの専門書の言葉だ。
専門家の意見を聞いてみる
マット・イーグルストーン氏:サンダー・ロード・クラシックス社
「ビッグブロックのV8エンジンにMTの組み合わせを除いて、基本的には素直で乗りやすいクルマです。ノーマルのスモールブロックにATなら、パワステとアシスト付きブレーキが装備され、運転しやすいと感じるはず」
「ただし、欧州車や日本車では馴染みのないシステムが実装されています。メンテナンスが難しいと思う人もいるでしょうね」
「例えば、リトラクタブル・ヘッドライトの開閉は空気圧が担っています。バキューム・タンクとアクチュエーター、ホース類など、部品は少なくありません。ワイパーを隠しているフラップも、バキューム・システムで動いているんです」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
排気ガスに白煙が混ざっていたり、回転数が安定しなくても、過度に恐れる必要はない。シボレーのV8エンジンはシンプルで、専門的な知識と技術があればリビルドは難しくない。英国では、新品エンジンを2500ポンド(約42万円)程度で探すこともできる。
ビッグブロックは冷却系が課題。ラジエーターとファンシュラウド、ホース類の状態は良く確認したい。
ボディとシャシー
C3型コルベットのボディはFRP製。見えないところに大量の錆が隠れていることがある。ドアの開閉がぐらついたり、きれいに閉まらない場合は、シャシーの状態が怪しい証拠といえる。
チェックポイントはリアのトレーリングアーム付近。また、キャビンのシェルを構成するバードゲージと呼ばれる構造も重要。外部からの確認は難しいが、クルマの重要な部分であり、致命的な問題に繋がりかねない。
インテリア
内装は耐久性が低い。レザーとビニールのシートは比較的長持ちするものの、ダッシュボードとセンターコンソールにはヒビが入りやすい。ドアパネルも傷みやすく、交換部品は驚くほど高価だ。
電気系統
すべての配線が傷んでいないか、アースが正常に取られているか確かめたい。ボディはグラスファイバー製でアースが取りにくい。
スイッチ類も破損しやすい。一部の部品を除いて、今でも専門のサプライヤーから入手はできる。
ステアリングとサスペンション
ステアリングホイールを回して、大きいノイズが聞こえたり不自然に重い場合は、パワーステアリングのフルード不足の場合がある。エンジンの回転数上昇で不自然にステアリングが軽くなる場合は、パワステポンプの劣化が疑われる。
パワーステアリング・シリンダーをシャシーに固定する、ブラケットが駄目になりやすい。リア・サスペンションのアライメントや調整は重要。専門ショップに確認してもらった方が良いだろう。
英国ではいくら払うべき?
1万2000ポンド(約200万円)~1万4999ポンド(約249万円)
調子や状態が芳しくない、後期型でプラスティック・バンパーのC3型コルベットが英国では出てくる価格帯。
1万5000ポンド(約250万円)~1万7999ポンド(約299万円)
1970年代中期くらいまでのクーペとコンバーチブルを、英国では購入できる。
1万8000ポンド(約300万円)~2万4999ポンド(約416万円)
錆のない、レストアされたC3型コルベットを英国では狙える。年式や走行距離はまちまち。
2万5000ポンド(約417万円)以上
走行距離が短く、状態の良いアイアンバンパーを選ぶならこの価格帯から。珍しい限定モデルも含まれる。
英国で掘り出し物を発見
シボレー・コルベット C3(英国仕様) 登録:1978年 走行距離:2340km 価格:3万2995ポンド(約551万円)
1978年のインディ500でペースカーを務めたC3型コルベットにちなんで、特別塗装された1台。当初は限定モデルという計画だったが、結果的にC3の15%がペースカー・レプリカとして仕立てられたという。
英国の専門ディーラーが取り扱っているクルマで、走行距離は驚くほど短い。オリジナルのアルミホイールもきれいな艶を保っている。
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みんなのコメント
同時にアメ車なのに意外と小さいサイズで驚いた。
しかもあのドロンドロンというアイドリングの際にもV8音響かせる存在感は圧倒的だった。
個人的には伸びやかなC4が好き。ボンネットがガバッと開くやつ。
性能的にもかなりこの世代から近代化されて速かった。
友人がヤナセ物の初期型C4に乗っていたが、テールランプがトヨタか日産のトラックの物を流用し、ミラーもなんか四角い格好の悪いのが付いていた。並行車の方がデザインはよかった。