述べ2万台をデリバリー
text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ベントレー・ベンテイガが登場したのは、2016年。世界的に大きな成功を収めているものの、フラッグシップSUVとして、スタイリングの評判を当初からベントレーは気にかけてきた。
長い歴史を有するベントレーとして、最も順調に販売台数を伸ばしているベンテイガ。4年間で4000台から1万1000台以上へと、3倍近い市場規模へ膨らんだ高級大型SUVの中で、強いポジショニングを築いている。
ベンテイガの直接的なライバルとして、ロールス・ロイス・カリナンやランボルギーニ・ウルスも目立った存在感を持っている。どちらも、ブランドとして成功を収めていることは読者もご存知だろう。アストン マーティンDBXも、ここへ参戦することになった。
述べ2万台のベンテイガがオーナーへと渡り、デザインへの批判的な意見は、だいぶ小さくなりつつある。しかし、なくなったわけではない。競争の激しい世界でライバル以上の戦いをするには、常に最新のマーケティングを取り込む必要がある。
2020年のモデルイヤーに向けて、ベントレーはベンテイガへ全面的なアップデートを施した。合計で1000項目以上の手直しを受けたという。
アップデートの中心の1つは、スタイリング。最新のコンチネンタルGTやフライングスパーなど、今のベントレー像を反映するデザインが、細部にまで与えられた。
最新のベントレーらしさを得たデザイン
特にフロントグリルは、他モデルとの共通性を感じる部分。大型化され、角度は起こされた。
グリルへ引っ張られるようにヘッドライトも角度が起き、エキゾチックな楕円形に。ガラス製カバーの内側で、クリスタルカットのリフレクターが強い眼光を生んでいる。
片側48灯のLEDが内蔵されたマトリックス・ヘッドライトで、対向車のドライバーに配慮する、ハイビーム機能を内蔵する。ワイパーは、フロントガラスの拭き取り効果を高めるため、ウオッシャー液の噴出口が22個も並ぶ。
リア周りでは、デザインし直されたテールゲートに、楕円形のスリムなテールライトがスッキリと収まる。整理整頓されたレイアウトだと思う。バンパーの下部には、テールライトと呼応する形状のマフラーが顔を出す。
リアのナンバープレートの取り付け位置は、バンパーの下側へ移動。はるかに見た目が良い。
ボディ全体では、地面と近い位置にキャラクターラインが入り、より多くの光を反射させる。リアスポイラーも大型化された。
ホイールとボディとの位置関係も見直されている。新デザインの22インチ・ホイールが、フェンダーにバランス良く収まる。リアトレッドは20mm広げられ、操縦性も高められている。
ボディデザインをまとめるJPグレゴリーによれば、大径ホイールを履く、より大胆で現代的なマシンに仕立てたとしている。ボディは大きいもののプロポーションが良いから、離れた位置から見ると、ひと回り小さく感じられるほど。
技術面もアップデートされたインテリア
ボディの見た目と違って、インテリアに関しては、当初から不満をいうオーナーはほとんどいなかった。それでも2020年に向けて、大幅にデザインの変更がされている。
センターコンソールのエッジの立ち上がりが大きくなり、見た目も良くなったほか、操作系のレイアウトも見直されている。ベントレーのトレードマークでもあった、円形の2つの送風口は、ベントレー・バカラルのような翼を開いた形状へ変更された。
ドライバーは、ヘッドアップ・ディスプレイに加え、モニター式のデジタルメーターを獲得。表示スタイルは従来的なアナログ・タイプだ。上部中央に鎮座する、時計は残されている。
センターコンソールのスイッチパネルも一新。大型化され、反応も良くなったタッチモニターの下には、物理的なボタンやスイッチ類が並ぶ。
コンチネンタルGTやフライングスパーと同様に、ベンテイガにも独自のSIMカードを内蔵。クルマから離れても、常にドライバーのスマートフォンとつながる状態にある。
インテリアデザインの責任者であるダレン・デイによれば、コネクティビティは実際の環境で利便性を向上させることが、調査で示されたという。
シートも完全に新しくなった。座面や背もたれのパンチングはサイトサポート部分にまで施され、冷却機能はより効果的に働く。ベントレーの特徴でもある、キルティング加工されたステッチは二重に入る。
この続きは後編にてご紹介したい。
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