「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、レクサス RX270だ。
レクサス RX270(2010年:車種追加)
最近(編集部註:2010年)のレクサスは、ニューモデルのCT200hのデビューを控えているだけでなく、既存のモデルにも新たに魅力的なグレードを追加して、そのラインアップの魅力を倍増大しようという動きがある。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
以前にはスポーティセダンのISに追加設定された「Fスポーツ」を紹介したが、今回はプレミアムSUVのRXに新設定された「RX270」に試乗することができた。
日本では販売網の関係で、レクサス ISの初代が「トヨタ アルテッツァ」としてデビューしたように、レクサス RXも「トヨタ ハリアー」として1998年にデビューした。2009年に発表された3代目からは、日本でもレクサス RXを名乗るようになった。
ライバルひしめくプレミアムSUVの中でも人気を集めているRXだが、今まではハイブリッドのRX450hとV6のRX350が設定され、駆動方式はどちらも4WDとFFが選べたのだが、このRX270はFF専用だ。後輪への駆動系を持たない軽さを活かして、北米から導入が開始された2.7Lの4気筒エンジンを搭載しているのだが、このモデル、なかなか良い仕上がりだった。
使い方次第だけれど4気筒&FFでも十分イケる
まず、静粛性が高い。そのため4気筒というネガを感じさせない。加速時などにアクセルを深く踏み込んだときはそれなりの音は発するが、アイドリングやパーシャル領域で速度を調節して走っている時は、本当に静かだ。
動力性能も、最高出力は188ps/最大トルクは25.7kgmと、RX350よりトルクは10kgmほど低いものの、減速比と6速ATのおかげで実用域ではまったく不足を感じない。むしろ4気筒なので鼻先は軽く、ハンドリングの軽快さが際立っている印象だ。
雪道を走る機会が多かったり、アウトドア指向のユーザーならAWDは頼もしいはずだが、SUVの雰囲気や高いアイポイントを魅力として、シティユースが中心というのなら、FF専用のRX270という選択も十分にありだろう。何よりも取りまわしが軽快で、10・15モードで10.4km/Lと燃費が良いのも魅力だ。
しかも今回の試乗車は、「ストーンデザイナーズ」というスペインのデザイナーとコラボで登場したアートワークス仕様。ベージュと赤でコーディネートされた明るいインテリアは、従来のRXにはない暖かみを演出していた。
この仕様はなかなか大胆な設定だが、こうした提案型のモデルが出て来るのもレクサスがプレミアムブランドである証しといえるだろう。登場以来、ハイブリッドを核とする走りと高い品質で5年を過ごしたレクサスは、それをバックボーンに、着実にモデル展開の幅を増しているようだ。
■レクサス RX270 アートワークス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4770×1885×1690mm
●ホイールベース:2740mm
●車両重量:1810kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:2671cc
●最高出力:138kW<188ps>/5800rpm
●最大トルク:252Nm<25.7kgm>/4200rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:10.4km/L
●タイヤ:235/55R19
●当時の車両価格(税込):425万円
[ アルバム : レクサス RX270 アートワークス はオリジナルサイトでご覧ください ]
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