アグレッシブで優雅なボディにV8エンジン
AUTOCAR英国編集部の編集長が、半ズボンで原っぱを駆け回っていたであろう1968年。アストン マーティンはDB5の進化版、DB6の後継モデルとなる、DBSを発売した。
【画像】1970年代の「特別」へ浸れる アストン マーティンV8 DB5とDB12 DBSにヴァルキリーも 全168枚
デザイナーのウィリアム・タウンズ氏が描き出した2+2のボディは、圧倒的にアグレッシブでありながら、惹き込まれるほど優雅。シャシーには、DB6 ヴァンテージ譲りの直列6気筒エンジンが搭載された。
1969年に、アップデート版となるDBS V8が登場。技術者のタデク・マレック氏が設計した、オールアルミ製でツインカムの5.3L V型8気筒エンジンがフロントに収まった。車重は軽くなかったが、印象的なほど速かった。
0-97km/h加速は6.0秒。最高速度は259km/hがうたわれた。トランスミッションは5速マニュアルのほかに、3速オートマティックも選択できた。
ところが製造コストがかさみ、アストン マーティンを所有するデイヴィッド・ブラウン(DB)社は経営難に。1972年に新たな事業投資グループへ買収され、モデル名からDBが削除。DBSのスタイリングへ手が加えられ、V8だけを名乗り再出発を果たした。
1977年には、高性能なV8 ヴァンテージが追加。大きなキャブレターを載せ、カムタイミングに変更を受け、最高出力は約4割も向上した。アストン マーティンは具体的な数字を公表していないが、390馬力以上は出ていたようだ。
V8 ヴァンテージでは、0-97km/h加速を5.3秒へ短縮。最高速度は273km/hに達した。当時最速の1台といえ、多くの改良を重ねながら1989年まで生産は続いた。
運転すれば1970年代の特別へ浸れる
V8 ヴァンテージとV8の見た目の違いは、フロントグリルと大きなエアインテーク、ダックテール状のリアスポイラーなど。サスペンションも引き締められ、ホイールとタイヤも専用品。ブレーキもアップグレードされている。
マッシブなスタイリングは多くのクルマ好きを魅了し、現在でも少なくない数が残存している。丁寧にメンテナンスされ、週末の特別な時間を楽しめる状態の良いV8も、英国では珍しくない。
アストン マーティンらしく、運転すれば1970年代の特別へ浸ることができるはず。V8エンジンはカムシャフトとタイミングチェーン、エグゾーストのノイズを重ねた、素晴らしい音響体験を与える。
5速MTのシフトレバーの動きは滑らかといえず、力が必要。3速ATの方が、乗りやすさでは上といえる。ボディサイズは小さくなく、初めて公道へ出る時は少し圧倒される感じも受けるだろう。
ステアリングにはパワーアシストが備わり、驚くほど正確でありながら、適度な重みがあり好感触。ロックトゥロックは2.9回転だ。
スタイリングに魅了されたからといって、気軽に手は出さない方が良いだろう。ステアリングやブレーキ、トランスミッションの操作は安楽ではない。維持費は小さくなく、小回りも効かない。
しかし、それらを受け入れられれば、ブリティッシュ・マッスルカー的な唯一の体験を堪能できる。1970年代の英国を代表する、究極の1台といえるだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は
このクルマは、大陸を横断するようなグランドツアラーとして、高く評価できる。圧倒的なスピードで、長距離を悠々と飲み込んでくれる。市街地ではボディがかさばり、低速域では大きめのノイズが気になるだろう。
リソースが限定される英国の小さなブランドの作品として、称賛すべき仕上がりにある。燃料インジェクションからキャブレターへの変更も、価値ある改良といえそうだ。(1973年9月6日)
オーナーの意見を聞いてみる
ジョン・フォアマン氏
「1974年式のV8を、アストン マーティンのディーラーで購入した過去があります。灰皿とセンターコンソールにRMとイニシャルが入っていることへ気づき、調べたら最初のオーナーは新聞事業で大成功した、ロバート・マクスウェルさんだったんですよ」
「走行距離を不必要に伸ばさないよう、気を使って乗っていました。しかし走りは完璧。アストン マーティン・ディーラーへ整備を頼んでいましたが、コストはだいぶ掛かりましたね」
「V8エンジンのサウンドには、中毒性があります。過去には、ロンドンへの通勤にも時々乗っていました。退職後は、維持費を考えてやむなく手放しましたが、今でも残しておけばよかったと後悔しています」
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
ボディの状態をチェックするには、サイドシルカバーを外して観察するのが良い。多くのV8は、この付近にサビの修復を受けているはず。サイドシルやフロアパネル、AピラーとBピラーの付け根、バルクヘッド、荷室フロア、ドアのシェルなどが錆びやすい。
アルミニウム製のパネルは、スチールと触れる部分で腐食しやすい。パテが厚盛りされていないかも確かめる。
エンジン
パワフルなV8エンジンは、定期的なメンテナンスで長く使える。高額を要するリビルドまでに、24万km程度は耐えるようだ。多くの故障は、メンテナンス不良や放置が原因。過去の整備記録を良く確かめたい。始動後は、異音と油圧をチェックする。
トランスミッション
ZF社製の5速MTは、リビルドに高額が求められる。クラッチの滑りと内部ベアリングの異音に注意。シフトレバーの動きは基本的に渋い。シンクロメッシュの効きは弱い。
クライスラー社製の3速ATは、比較的堅牢。リビルド済みだったり、新しいユニットへアップデートされている場合も多い。
インテリア
ウッドパネルやレザーは、費用をかければ修復可能。プラスティック製トリムのほか、メーターやスイッチ類は部品が出てきにくい。
知っておくべきこと
V8の前身となるDBSは、英国のTVシリーズに名脇役として登場している。俳優のロジャー・ムーア氏が演じたブレット・シンクレア卿は、DBS V8のように仕立てられたイエローの6気筒モデルを運転していた。
1986年には、映画007の「リビング・デイライツ」へ、V8のシリーズ4が登場。当初はヴォランテと呼ばれるコンバーチブルだったが、「Q」の研究室でクーペへ改造された。V8のクーペは、同じく「ノー・タイム・トゥ・ダイ」へ登場している。
英国ではいくら払うべき?
6万ポンド(約1110万円)~7万9999ポンド(約1479万円)
初期のV8が英国では出てくる価格帯。多くが好ましい整備記録を備え、すぐに走れる状態にあるが、内容はしっかり確かめたい。走行距離には幅がある。
8万ポンド(約1480万円)~11万9999ポンド(約2219万円)
英国では、V8を探せる平均的な価格帯。後期型も含まれる。稀にDBS V8も売りに出ている。
12万ポンド(約2220万円)以上
本当に状態の良いV8をお探しなら、この価格帯から。年式は様々。V8 ヴァンテージには20万ポンド(約3700万円)以上の値がついている。
英国で掘り出し物を発見
アストン マーティンV8 登録:1976年 走行距離:16万7400km 価格:6万4995ポンド(約1202万円)
メタリックロイヤル・ブルーの右ハンドルで、インテリアはダーク・ブルーのレザー。売り手は、整備記録がほぼすべて整い、請求書も残ると説明する。2022年11月に、入念な整備を受けているという。
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みんなのコメント
かのボンドカーとして有名なDB5の
曲線美しかイメージ無かったから
このV8シリーズは意外!
恥ずかしながら「ん?マスタング?」と、見間違えてしまった…
いずれにせよ一般庶民の私には縁が無いです(泣)