新型車比較・ライバル車対決 [2024.07.24 UP]
ホンダ・WR-V vs ライバル比較《ヤリスクロス/ライズ&ロッキー》
安くても実力十分! コスパ番長、頂上決戦!
WR-Vが登場したことで、最も影響を受けるのは、ヤリスクロスとライズ/ロッキーの2モデルなのは間違いない。いずれも単に価格が安いだけではなく、三車三様の強みと魅力があることもあって、その注目度は極めて高い。どのモデルを選ぶのがベストなのだろうか?
WR-V vs ヤリスクロス vsライズ&ロッキー》
WR-Vは実用性能も優秀
ヴェゼルの穴を上手にカバー
先代のホンダ・ヴェゼルは、ガソリン車グレードも充実していたが、現行型は1グレードのみに絞り込まれたこともあって、ハイブリッドのe:HEVを中心に展開している。実際、現行ヴェゼルのe:HEV車の販売比率は、開発者が想定していた75%を超えて90%以上に達している。当然、先代と比べると売れ筋価格帯も高くなってしまったため、安価なコンパクトSUVを求めるユーザーが、トヨタのヤリスクロスやライズ(ロッキー)へ移行する動きが出てきてしまった。そこで安価なガソリンモデルを求める声に応えるために導入されたのがWR‐Vだ。
WR‐Vのボディサイズは、全長が4325mm、全幅は1790mmとヴェゼルとほぼ同サイズ。パワーユニットは1.5ℓガソリンのみでハイブリッドのe:HEVは用意されない。駆動方式もFFの2WD車のみだ。さらに価格の安さを重視したこともあって、最もベーシックなXでは、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能、LEDヘッドランプ、フルオートエアコンなどを標準装着しながらも価格を209万8800円に抑えている。最上級のZ+でも250万円以内に設定するなど、ホンダの入門SUVにふさわしい競争力が与えられている。
ライバルと目されるのは、前述したヤリスクロスとライズ(ロッキー)だ。この2車はハイブリッドも選べるが、価格から考えるとガソリン車の2WD車が競争相手になる。
ヤリスクロスのガソリン車はGが215万円、上級のZでも243万5000円というプライス。全長は4180mmで全幅は1765mmだから、WR‐Vよりも少し小さい。もう一台のライズは、全長が3995mmだからさらにコンパクト。SUVでは珍しく5ナンバーサイズに収まる。1ℓガソリン車はWR‐Vよりも安く、中級のGでも186万7000円、上級のZも204万9000円だ。
ユーティリティ機能は
WR-Vが明らかにリード
キャビンまわりの印象は、WR‐Vは水平基調のシンプルなインパネデザインで、見た目以上に開放感を感じることができるが、それに比べるとほかの2車は少し囲まれ感が強め。ただ、ライズはインパネの中央部分が少しドライバー側を向いており、左端のスイッチにも手が届きやすい工夫が盛り込まれている。
キャビンの広さはボディサイズなりの順番だ。まずWR‐Vはヴェゼルと同等サイズということもあって、3車の中では最も広いスペースを確保しており、後席もゆったり。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕がある。その次にくるのがヤリスクロスで、ヴェゼルと同じ測り方で、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半、最もサイズがコンパクトなライズはコブシ1つ少々になる。
3車の後席を比べると、WR‐Vは足元空間が圧倒的に広い。ヴェゼルに比べるとシートアレンジは平凡だが、座面に厚みをもたせていることもあって座り心地も良好。大人4名のロングドライブも悠々とこなしてくれる。ヤリスクロスとライズも4名乗車をこなしてくれるが、後席はWR‐Vほど快適ではない。
WR‐Vの後席は足元空間を広く確保するため、少し後ろ側に寄っているのだが、ボディを長めにとっているため、荷室容量も458ℓを確保するなどライバル2車よりも余裕がある。ヤリスクロスの荷室は390ℓ、ライズの荷室は369ℓだから、積載性を重視するユーザーにとっては荷室を含めたユーティリティ性能は大きなポイントになるだろう。
その代わりライズは、全長が3車の中で最も短く、最小回転半径もGとXが4.9mでZでも5m。WR‐Vの最小回転半径は5.2m、ヤリスクロスはコンパクトな割に大回りで5.3mなので、ライズは混雑した街中では最も運転がしやすいメリットがある。
WR-Vとヤリスクロスの
動力性能はほぼ互角
ガソリン車同士で3車を比べると、最も有利なの直列4気筒1.5ℓエンジンを搭載するWR‐Vだ。動力性能はコンパクトSUVとしては平均以上。登り坂では少しノイズが高まるが、音質の粗さは上手に抑えている。低中速での実用回転域の駆動力はもう少しあったらとも感じるが、下から上まで幅広い回転全域で扱いやすい特性だ。ヤリスクロスの直列3気筒1.5ℓエンジンは、登り坂では3気筒特有の少し粗いノイズが耳障りに感じるが、車両重量はWR‐Vに比べて70kg以上軽いこともあって、加速感はこちらの方が上。軽快さも十分に感じることができる。
ライズのガソリン車は、駆動方式でNAとターボが使い分けられており、2WD車は直列3気筒1.2ℓを搭載している。このエンジンの性格は少し高回転指向で、4500回転付近から力強さが高まってくるタイプ。ただ、車両重量がヤリスクロスと比べても160kgほど軽いため走りも良好だ。
3車のガソリン車のWLTCモード燃費を2WDで比べると、WR‐Vは16.2km/ℓ~、ヤリスクロスは17.6km/ℓ~、ライズは20.7km/ℓ。トヨタの2車が優れている。
フットワークに個性あり!
どれも走りの質は合格点
フットワークの印象もかなり異なっており、ここも各車の個性が際立っている。WR‐Vは機敏に曲がるスポーティなタイプではないが、後輪の接地感に優れて安定性が高い。ホイールベースが2650mmと長いこともあって乗り心地も快適だ。ヤリスクロスの運転感覚はハッチバックのヤリスにかなり近く、SUVとは思えないほど良く曲がる。その代わり乗り心地はやや硬めで、時速40km以下の低速域だと少し気になってしまうユーザーもいるだろう。ライズは、1トン以下の車両重量を生かした軽快な運転感覚で、2車に比べると少しプレーンな味付けだが、欠点らしき欠点がない優等生タイプといえる。
安全運転支援機能はどのモデルも充実の内容だが、その高いレベルの中であえて違いを見ていくと、使い勝手面でヤリスクロスが一歩リード。車間距離を自動制御できるアダプティブクルーズコントロールは、追従停車した後も停車状態を保てるタイプで渋滞時に重宝できる。パーキングブレーキも全車に電動式が採用される。
以上のように3車のコンパクトSUVは、それぞれ異なる特徴を備えている。WR‐Vは、価格を割安に抑えながら車内が広い。特に後席の足元空間は、全長が4500mmを超えるミドルサイズSUVと同等レベルといっても言い過ぎではない。さらに運転のしやすさと4名乗車時の快適性、広く使いやすい荷室も両立させているので、ファミリーユーザーにとってはかなりオススメできるモデルだ。ヤリスクロスは、スポーティな運転感覚と充実した装備が特徴で、上質かつ楽しいクルマを好むユーザーにピッタリ。そしてライズは、運転がしやすく、価格の安いSUVが欲しいユーザーに適している。
HONDA WR-V
WR-Vはヴェゼルのサイズダウンモデルと誤解されそうだが、実は車体サイズはほとんど変わらない。キャビンスペースをしっかりと確保したパッケージを採用する。
大きめのフロントウインドウとフラットなダッシュ形状で優れた視認性を確保。座り心地の快適性を高めたボディースタビライジングシートが採用されるなど、基本機能も手抜きなし。
格納時は段差が生まれるタイプだが、荷室長を長めにとることでゆとりの荷室容量を確保。通常時でもゴルフバックが横置きで2個収まる余裕がある。
オーディオレスが標準となるため、ナビ&オーディオはディーラーOPで好きなタイプを選ぶことになる。「Honda CONNECT」対応タイプも抜かりなく用意されている。
最新ホンダ車に採用が進んでいるアジャイルハンドリングアシストは非採用だが、操舵感覚も乗り心地もクラス平均を大きく超える。走りを妥協していないことも人気を集める理由になっている。
これがベストグレード!
WR-V X(2WD)
価格:209万8800円
ベーシックなXの価格は209万8800円。ひとつ上のZに比べると、省かれた装備は18万円相当だが、価格は25万800円も安い。国産乗用車全体でも最安クラスで買い得度に優れている。性能装備面ではXのタイヤは16インチで、17インチのZに比べると、ステアリング操作に対する反応が穏やかだ。ファブリックシート生地も、プライムスムースを用いたZほど上質ではないが、むしろ座り心地がしなやかというメリットがある。Xは快適性が高いという視点でも魅力的なグレードだ。
TOYOTA ヤリスクロス
“ロバスト”(頑強さ)を表現したスタイリングは、ガッチリとした塊感が強め。リヤゲート上のピラーを鋭く絞り込むことでクーペライクな雰囲気も強めている。
基本レイアウトはヤリスと共通だが、高さと奥行きに余裕を持たせ、シートやメーターを変更することで差別化している。
荷室の広さはサイズなりだが、上下2段のラゲッジボードを活用することで実用性を高めている。
車載ITはディスプレイオーディオを装着。ベーシックグレードのXこそレス仕様だが、多くのグレードで標準装備としている。
ヤリス譲りの走りの良さは、走り自慢が揃うこのクラスでもトップクラス。ハイブリッド車もガソリン車も燃費性能に優れることも大きな強みだ。
これがベストグレード!
ヤリスクロス G(2WD)
価格:215万円
ガソリン車のGは、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能、バックガイドモニター、ディスプレイオーディオ、アルミホイールなどが標準装着される。これにメーカーOPのLEDヘッドランプ(7万1500円)と、後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニター(5万6100円)を装着すれば、実用面で必要な装備はひと通りが備わる。安くてお得なSUVを欲しいユーザーにはもってこいの一台だ。駆動方式は、FFの2WD車で十分だ。
TOYOTA/DAIHATSU ライズ/ロッキー
全長×全幅×全高は3995×1695×1620mm。サイズは最も小ぶりだが、大径タイヤと大型アーチフェンダーや切れ上がったヘッドライトなど、アクティブなスタイリングをアピールする。
室内長は1955mmとこのクラスとしてはかなり長め。前席後席のカップルディスタンスも900mmが確保されるなど、後席まわりの余裕も見どころのひとつ。
通常時のラゲッジ奥行きは755mm、横幅も1000mmと十分な容量を確保。床面ボードを取り外せばラゲッジ高の調整が効くなど、柔軟な使い分けも可能。
全グレード、オーディオレス仕様になるため、ナビ&オーディオは別途OPで追加する必要がある。
サスチューンは硬めで、オンロードの走りを意識したセッティング。2021年11月のマイナーチェンジではシリーズ式のハイブリッド車を追加している。
これがベストグレード!
ライズ Z(2WD)
価格:204万9000円
ライズは5ナンバーサイズのSUVで、エンジンも直列3気筒1.2ℓだから、その分、価格も安めに設定されている。WR-VのベーシックグレードになるXと同じ200~210万円の価格帯なら、最上級のZを購入できる。ZはLEDヘッドランプに加えて、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるアダプティブドライビングビームや車間距離を自動制御できるアダプティブクルーズコントロールが備わっており、装備機能面でも十分なレベルとなっている。
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みんなのコメント
ホンダと販売力の違いを考えてもWR-Vやフリードは脅威なんだろな。
走り出したら巨大なぬいぐるみしか乗ってないと言う(笑)
あれはまさしく誇大広告。