レクサスのまったく新しいモデル「UX」は、多くのことに挑戦している。スピンドルグリルこそ備えているのでひと目でレクサス車だとわかるが、リアビューは斬新なデザインである。またサイドの特徴的なアーチ形状も実にユニークだ。(文:千葉知充・Motor Magazine/写真:永元秀和)
ライフスタイルに寄り添ったクルマ
最初はレクサスのエントリーモデル「CT」の後継車だとばかり思っていた。しかし実際に見て触って乗ってみるとそうではなく、これはまったく新しいレクサス車であるということがわかった。レクサスUXのことである。
えっ! ナンバープレートに、アルファベットが入っているのはなぜ?【くるま問答】
レクサスUXのプレスインフォメーションを読むと、“セキュア”という言葉が実に頻繁に使われている。「クロスオーバーとしてのセキュアな印象……」、「セキュアなキャビン」、「力強いセキュアさ」、「セキュアさと走りのイメージ」、「セキュア感」と多用されているのだ。そう、UXを理解するには、この“セキュア”をまずは理解しなくてはならない。
もちろん資料には、「セキュア=安心な、危険のないという意味。この場合、SUVに備わる『タフな力強さ』、『守られている安心感』、『見晴らしの良さ』を表現している」とある。意味はわかるがクルマを表現するには聞き慣れない言葉なので自分の中で消化しきれない。さらにどうしてこれほど“セキュア”にこだわるのかも理解できなかった。実際にハンドルを握って運転するまでは……。
試乗に用意されていたパワートレーンは、2L直4直噴エンジンを搭載するUX200とそのエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドのUX250hの2モデル。それぞれにバージョンLとFスポーツがあり、そして前者には“E Four”と呼ぶ4WDモデルも用意されていた。
安心感も高くドライバーの意志に忠実な等身大のSUV
今回は、UX250h Fスポーツをメインに試乗した。ほどよく包まれ感のあるシートに座るとそこに広がる視界にまずは驚かされる。たとえば、ドアミラーとAピラーの間にしっかりとした空間があり死角が減っていたり、インパネの上部とフロントフードが繋がっているように見せ一体感のある造形となっていたりとドライバーが安心して安全に運転できる視界を確保しているのである。まさにSUVのメリットをさらに強調する作り込みがなされていた。
走り出しても安心感が身体に伝わってくる。それは右足やハンドル操作に忠実に連動するクルマの動きやレクサス車に相応しい高い静粛性などによるものだろう。基本性能の高さを感じるとともに今回試乗した高速道路や一般道といった場所以外、たとえばワインディングロードに持ち込んだらSUVということを忘れてしまいそうだ。過剰なものは何ひとつなくあくまでもドライバーの意志に忠実で等身大で楽しめるのだ。
短時間の試乗のため燃費は計測できなかったが、UX250hには、先読みエコドライブという運転行動や先の道路、交通状況を読んでハイブリッドバッテリーの充放電を最適に制御するシステムが標準装備されている。
エネルギーを無駄にしない工夫あり
中でも「先読みSOC(state of Charge)」は、長い下り坂で満充電になってしまい回収したエネルギーが無駄になってしまわないよう、ナビゲーションの地図データを使い、長い下り坂に入る前に積極的にEV走行を行い、ハイブリッドバッテリーの残量を減らし、長い下り坂で充電できる量を増加させるというものだ。
さらにこの先に渋滞があるという情報を掴むと、渋滞になる前に積極的にハイブリッドバッテリーに充電する「渋滞SOC制御」も採用されこうしたシステムにより実用燃費がよくなるという。
クルマに求める要素は人それぞれ、十人十色だろう。それはSUVでも同じだ。たとえばラゲッジルームに多く荷物を積みたい人にはUXは、選択肢に入らないが、運転する楽しさ、自分のライフスタイルに寄り添ったクルマを求める人にはど真ん中なのである。
レクサス UX250h Fスポーツ 主要諸元
●Motor 最高出力 前80kW(109ps)/後5kW(7ps) 最大トルク 前202Nm(20.6kgm)/後55Nm(5.6kgm)●ディメンジョン&ウェイト:全長×全幅×全高 4495×1840×1540mm、ホイールベース 2640mm、トレッド前/後 1550/1550mm、車両重量 1630kg、ラゲッジルーム容量 220/995L ●シャシ:駆動方式 4WD、トランスミッション 電気式無段変速機、ステアリング形式 ラック&ピニオン、サスペンション形式 前ストラット/後ダブルウイッシュボーン、ブレーキ 前Vディスク/後ディスク、タイヤサイズ 225/50R18(ランフラット)●価格:5,040,000円
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