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最大航続距離438km、最高出力400ps、最大トルク696Nm!ジャガー「I-PACE」は電気自動車の理想形か

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最大航続距離438km、最高出力400ps、最大トルク696Nm!ジャガー「I-PACE」は電気自動車の理想形か

ジャガー初!電気自動車のSUV「I-PACE」は理想的なクルマだ

あの英国のラグジュアリー&スポーツカーのブランドとして名高いジャガーが、フルバッテリー電気自動車(BEV)であるSUV「I-PACE」を、昨年の9月より日本において受注を開始したのをご存知の方も多いかと思う。

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このジャガー初のBEVである「I-PACE」は、ラグジュアリーEVマーケットにおいて、既存のテスラを除けば、すでに参入することを表明しているメルセデス・ベンツやアウディ、ポルシェなどの老舗自動車メーカーに先んじて投入されたもの。

欧州では、ノルウェーが2025年、ドイツは2030年、イギリスとフランスは2040年までに、ガソリンおよびディーゼル車の新車販売を禁止するなど、次世代車へのシフトが急ピッチに進んでいる。

そんな高級車の未来を占う上でも、歴史あるジャガーが送り出す「I-PACE」は、非常に重要な存在となってくるのではないか。そのあたりのことも踏まえ、「I-PACE」に試乗してきたのでレポートしてみたい。

ジャガーの未来のカタチ

ジャガーといえば、ロングノーズ&ショートデッキのプロポーションが特徴的なのだが、専用設計された「I-PACE」は、その例に当てはまらない。もちろん、エンジンを搭載する必要がないため、デザインの自由度が高くなったエクステリアは、ショートノーズでキャブフォワード型のシルエットが斬新だ。

さらに、独自の“ダブルJ”を用いたマトリックスLEDヘッドライトやフロントグリルなどを巧みに取り入れながら、ジャガーらしさも主張するデザインは、SUVでありながらクーペのように流れるプロポーションが魅力的。

2990mmというロングホイールベースで、タイヤが4隅に配置されたボディのサイズは、全長4695×全幅1895×全高1565mmと、街中では全幅の大きさがやや気になるものの、短くて低いボンネットのおかげで見切りがよく、取り回しに苦労することはないだろう。

また、車体の94%にアルミニウムを使用したボディ構造では、フロアー下にバッテリーを敷き詰めて低重心にするとともに、50:50の理想的な重量配分を実現。加えて、ジャガー史上において最も高いねじり剛性を確保している。

もちろん、その美しいボディデザインは、単なる見た目だけでなく空力性能にもこだわっている。フロントバンパー開口部のアクティブ・ベーンやボンネットスクープをはじめ、走行時には格納するデプロイアブル・フラッシュ・ドアハンドルなどにより空気抵抗係数(Cd値)は0.29を達成。

今回の試乗車のタイヤは、オプションの255/40 R22。さすがに、22インチともなると大迫力なのだが、「I-PACE」のエクステリアには、とてもマッチしていて、全体のフォルムをワイド&ローな印象にしている。

また、電子制御によるエアサスペンション仕様のため、乗降時には-40mm、オフロード走行では+50mm、トータルで90mmの車高調整が可能。さらに、通常走行でも105km/h以上となると自動で-10mmとなり、空気抵抗を低減するというスグレもの。

そして、インテリアは、ジャガークオリティの高い質感とともに、その流麗なエクステリアからは想像できなほどの広い空間を確保。さらに、インストルメントパネルには、直感的にもわかりやすい3つの液晶ディスプレイが用意され、未来感を漂わせている。

後席にも実際に座ってみたが、頭上スペースやヒザの前の空間にも余裕がある。また、リアシートの座面の下には、傘やタブレットPCなどを収納できるスペースが設けてあり、便利に使えそうだ。

なお、オプションのフルサイズ・パノラミックルーフを装備すれば、広い車内がさらに開放的な空間に。しかも、このグラスルーフは、太陽光を吸収・再放射させる上、特殊コーティングで熱も遮断するため、内側のシェードも必要ない。

リアのラゲッジスペースは、656Lの収納力があり、6:4の分割可倒式シートをすべて折り畳めば、1453Lにまで拡大するので大きな荷物にも便利だ。

さらには、ボンネットを開けると27Lの収納スペースが出現。バッグや工具類を収納するなど、いろいろな使い方ができるだろう。

まさに電光石火のごとき走り

ジャガー製モーターを前後輪に2基備え、4WDとなる「I-PACE」の発進加速性能は、0-100km/h加速のタイムが4.8秒と強烈だ。そのパワースペックも、トータルで最高出力400ps、最大トルクが696Nmとなっている。

ご存知のとおりモーターの場合、その最大トルクが瞬時に発生するため、2.2t級の車両重量をまったく感じさせないほどの加速力を得られるのだ。とはいえ、モーターの回転速度や出力などが巧みに制御されているため、決して乗りにくいということはなく、実にスムーズ。

また、ハンドリング性能もフロアー下のバッテリーによる低重心化や高剛性の恩恵もあり、スポーティな印象。カーブなどでも、思いどおりのライントレースが可能で、ロールもうまく抑えられていて気持ちいい。

ちなみにドライブモードは、「Eco」「Comfort」「Dynamic」をメインに、悪天候時などに使う「AdSR(アダプティブサーフェイスレスポンス)」が選択できる。

また、回生ブレーキの強さの「高」と「低」や、AT車と同様のクリープの「ON」と「OFF」など、自分のドライビングスタイルに合わせた設定も可能。

そして、当然ながらEVなので“音”はない。しかも、走行中のロードノイズや風切り音まで、しっかりと遮音されているので、車内は至って静か。

ただし、それでは物足りないという方のために「アクティブ・サウンド・デザイン」なる機能を搭載。加工されたモーター音を、好みによってスピーカーから響かせることができる。

気になる航続距離は、WLTCモードで438kmとなっているため、東京から京都あたりまで無充電で行けることになる。さらに充電は、最大7kWの普通充電と急速充電(日本ではCHAdeMO規格)に対応し、急速充電では0~80%まで約85分、普通充電で0~100%の充電にかかる時間は約12.6時間となっている。

ただし、気をつけたいのが、現在一般的な家庭用の3kWの充電器では、さらに時間を要するということ。

夜間の普通充電と出先での急速充電など、うまく組み合わせて活用する必要があるだろう。ちなみに、左右のフロントフェンダー部分に給電口があり、リアラゲッジのアンダートレイには、マルチファンクション充電ケーブルが収納されている。

愛を込めて“ダメ出し”

さて今回は、一般道と高速道を使った短時間の試乗のため、「I-PACE」の実力(魅力)をすべて理解したわけではないのだが、何か物足りなさを感じた。

もちろん、デザインやパッケージ、走行性能など、すべてにおいて完璧なほど理想的なクルマであることに間違いないのだが、何かが足りない。

たぶん、それは「欠点」なのだと思う。いままでの内燃機関のクルマであったなら、「パワーが足りない」だとか「乗り心地が悪い」などと、少なからず不満点があったもの。ただ、「欠点」があるからこそ、そのクルマに愛着がわいてきたりしたのも事実。

EV車であれば、そんなネガな部分も電子制御で比較的に自由に調整できてしまうため、理想的なクルマに近づけることができる。しかし、その「理想」とは、あくまでも内燃機関のクルマを基準にしたもの。

これからは、自動車メーカーや我々自身が、EVもしくは次世代車の世界に合わせた価値観を、見い出していかなければならないかも知れない。

■関連情報
https://www.jaguar.co.jp/jaguar-range/i-pace/

文/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

クルマは走らせてナンボ!をモットーに、どんな仕事にも愛車で駆けまわる日々。クルマのほかにもグルメやファッション情報、また小学館Men’s Beautyでは、男性に向けた美容・健康法、化粧品情報なども発信。

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