国産車の世界では、スタイリッシュなスポーツクーペは絶滅寸前になっているが、SUVをスポーティにしたクーペSUVはまったく話は別。
最近ではハリアーの大ヒットが注目を集めたが、そのほかのモデルも全体に売れゆきがよく、通常のSUVを上回るモデルもある。まさかこんな形でクーペが大復活するなんて………。
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世界を見渡してみると美しいクーペSUVも多い。そこで、スタイリッシュなクーペSUV選手権と題して、美しいクーペSUVをランキング!
価格差が大きいため、700万円以下と700万円以上の2つのクラスに分けて、モータージャーナリストの清水草一さんに選んでもらった。
文/清水草一
写真/ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】日本車の最高位は何位? 世界で最も美しいクーペSUVはどれだ?
700万円以下で美しいクーペSUVは?
2008年に登場した初代BMW X6。当時、現在のようなクーペSUVの盛況は予想できなかった
思えば、最初の「いかにもなクーペSUV」は、BMWの初代X6だろうか。その第一印象は「なんて中途半端なクルマなんだ!」だった。
初代X6は、X5を無理に速そうな形に仕立てたただけで、スタイリングがこなれていなかった。あの時は現在のクーペSUVの隆盛なんざ、想像すらしておりませんでした。脱帽。
しかし現在のクーペSUVは、モデル数の激増に歩調を合わせて、デザインの熟成化が進んでいる。多くの通常型SUVが極限まで都会化していることもあって、境界線もあいまいになった。
あえていえば「全高低めで若干スタイリング優先のSUV」くらいのところだ。スポーツクーペと違ってすべて4枚ドアでもあり、実用性も問題なく、「どーせならカッコいいヤツを」くらいの気持ちで選べるのも、躍進の要因になっている。
断然現実的な選択になったクーペSUVだが、そのなかでデザイン的に新鮮かつ優れているのはどのモデルか?
今回はそれを、まったくの私の独断で決定させていただきます。まずは700万円以下のクラスから。
700万円以下クラス第5位:トヨタC-HR
ガンダムチックな斬新なデザインで大ヒットしたC-HR
2016年の登場時は、「デザイン優先の思い切ったパッケージング」とか、「ギョッとするようなデザイン」と言われたが、国内でも予想外のヒットとなった。
アニメチックな未来的デザインは、今でもかなりインプレッシブ。なによりフォルムのバランスがいい。
真横から見ると、フロントガラスからリアにかけてのシルエットは実に滑らかで美しい。キュッとすぼまったリアセクションは、まさにクーペSUV。
そのぶん、後席の閉塞感が強めだが、そんなの関係ねえというばかりの潔さだ。
700万円以下クラス第4位:BMW X2
FFベースの新世代のSUV、X2。コンパクトSUVのなかにあってひと際個性が目立つ存在だ
同じBMWのX4とX6は、初代X6の流れを汲んで、「無理にクーペっぽくしたSUV」のまま進化を続けているが、X2は実用性とスタイルの両立を図り、狭そうに見えるけどほとんど狭くないキャビンを実現している。
フロントウィンドウの傾斜は寝ているが、リアは通常型並みに立て、ルーフラインもあまり下げていない。
そのぶん、ウエストラインを高くして、サイドウィンドウの上下幅を狭くし、かつ横方向にも寝かせてグリーンハウスを絞ることで、実用性とクーペっぽさを両立させているところが秀逸。
700万円以下クラス第3位:レクサスRX
レクサスSUVの代表格となるRX。インパクトの強いスピンドルグリルと塊感のあるエクステリアデザインだ
都会派SUVの老舗は、代を重ねるごとに微妙にクーペ度を高めつつ、とってもお元気だ。
現行RXのデザインで一番目を引くのは、リアピラーのデザインだ。ピラーの一部をブラックアウトすることで、サイドウィンドウがリアまで回り込んでいるように見せ、ルーフを浮揚させているところがとってもスタイリッシュ。
全体のフォルムも、そつなくエレガントかつゴージャスにまとめられている。
それでいて前後フェンダーがやや角ばった造形なのは、オフロードもいけます的な力強さを演出しようということでしょう。
700万円以下クラス第2位:マツダCX-30
魂動デザインの最新モデルとなるCX-30
ボディ下部を厚くブラックアウトしてボディを薄く見せるのは、フェラーリBBも採用した超古典的技法だが、おかげで超デザインコンシャスなマツダ3の車高を上げて、そのままSUVに仕立てました的な印象に仕上がっている。
ロングノーズに低いルーフ、流れるようなシルエットも、とっても古典的にカッコいい。
そして最大の特徴は、サイドパネルに余計なラインがまったくない点だ。複雑な曲面は、光を反射して「S」の字を描く。
まさに絵に描いたようなスタイリッシュさ! デザインを優先したしわ寄せは、ラゲージ容量の狭さに表れているが、いいじゃないかカッコよければ。
ただ、ボディ下部に合わせてフェンダーの黒い樹脂部もヤケに幅が太いのが気になる。そこだけ印象が重い。もうちょっと細くてもよかったんじゃないかなぁ……。
700万円以下クラス第1位:ジャガーEペース
清水氏が700万円以下のクーペSUVのなかで1位に挙げたジャガーEペース
ジャガーのSUVというと、EVであるIペースのデザインばかり注目されているが、個人的にはEペースのデザインは猛烈に凝縮感が高くてステキだと思うのだ。
低く長くすりゃカッコよくするのは簡単だけど、Eペースのフォルムは、コロンとしたおまんじゅう型。
それでこれだけのスポーティさを出しているのはスバラシイ! Eペースの場合、クーペっぽさをシャープさではなく、球体に近い丸みで表現しているわけですね。
フロントフェイスは、スポーツクーペのFタイプのイメージだけど、この丸っこいフォルムにあの平べったいFタイプの顔を移植してしっかりハマッってるのがまた、凄いじゃないですか。
街でめったに見ないこともあって、たまに見るとハッとする。スバラシイです。
新型ハリアーは、残念ながら今回はランク外。でも売れゆきは今回ランクインしたクルマたちに圧勝
続いて、700万円オーバークラスのベスト3をば選んでみた。このクラスはさすがに輸入車の独壇場です。
700万円オーバークラス第3位:アストンマーティンDBX
SUVとなってもセダンのアストンマーティンのイメージを崩していないDBX
アストンマーティンをただただ単純にSUV化しました……としか言いようがないんだけど、その元ネタのアストンのスポーツクーペがウルトラ美しいので、美しくなるのは当然の結果ですね。
このクルマの場合、どちらかというとその「素質の勝利」で、DBX自体には、それほど個性がないように見える。
それでもなにしろアストンだから! DB11をSUVにすりゃ、そりゃ文句なくカッコいい!
同じ英国製のベントレーベンテイガやロールスロイスカリナンは、どっちも本家モデルのヘン顔というか、威厳ある大人物がひょうきんなポーズを取っているようで、見るとちょっと笑っちゃう感じがある。
しかしDBXはまったくそういうことなく、本家モデルの美しさをそのまま保っている。スタイルのシンプルな美はスバラシイ。
700万円オーバークラス第2位:ランボルギーニウルス
クロスオーバーSUVのスーパースポーツ、ランボルギーニウルス
こちらはアヴェンタドールやウラカンとははっきり違いつつ、いかにもランボルギーニらしい、笑っちゃうほど迫力満点のクーペSUVに仕上がっている。
本家スーパースポーツモデルの直線基調をそのまま生かしつつ、フロントフェイスのイナズマみたいなデコレーションが実に効果的に迫力を演出し、それだけで「タダモノではない!」というオーラを感じさせる。
リアスタイルはC-HRに通じる機動戦士的な香りがある。全体にアニメチックなクーペSUVの傑作といえるでしょう。
700万円オーバークラス第1位:レンジローバーヴェラール
限りなくシンプルで美しいレンジローバーヴェラールのデザイン
レンジローバー系のSUVは、どれもこれも呆れるほど美しいが、同じテイストが10年以上続いているので、新鮮さを感じなくなっている。もはや美しいのはアタリマエ、美しさに飽きて鈍感になっちゃいました! なのである。
しかしそれでもやっぱり、レンジローバーのSUVはすさまじく美しい。で、レンジローバーのクーペSUVのなかでどれが一番かというと、レンジローバースポーツやイヴォークよりもヴェラールだ。これが現時点で世界一美しいクーペSUVではないだろうか!?
ヴェラールは、レンジローバーをちょっとスポーティにしただけなんだけど、その「ちょっと」がものすごく美しい。
ほんの少し尻下がりのルーフラインと、ほんの少し尻上がりのウエストライン、ピュッと跳ね上がったテール下側のライン。
この組み合わせだけで猛烈に美しい。その結果、かなり後ろに寄っているように見えるキャビンの配置がまたウットリするほど美しい。
決して目を剥かせるようなデザインじゃないけれど、見れば見るほど本質的な美しさが際立つ。
その割に価格は最安700万円台~最高は1700万円超えてるけど、意外とリーズナブル(もちろん高いですが)な点も好感が持てる。
キックアップしたバンパーのデザインが個性的なレンジローバーヴェラールのリア回り
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みんなのコメント
リヤがなだらかなだけでクーペ謳ってる車種のせいで
もう定義もへったくれも無くなってる。
ロールーフだが高剛性でドアのサッシュもないスッキリした作りこそが本来のクーペの姿。
ドアの枚数やただリアが引き締まってれば良いというものではない。