いよいよ日本でも、7年ぶりにフルモデルチェンジを受けたBMWの新型「3シリーズ」の受注が始まった。真っ先に導入される日本仕様の7代目3シリーズは、チューンの異なる2.0リッター直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載する「320i」と「330i」だ。
今回はハイチューン版である最高出力258psのエンジンを積み、かつスポーティなMスポーツサスペンションを備える「330i M Sport」に試乗した。
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なにはともあれ、まずはカッコが大事である。BMWのデザイナーは、「だれが見ても3シリーズに見えること」と、「だれが見ても新しいクルマに見えること」を両立するという、難しい仕事をやり遂げたように感じる。
1975年に初代3シリーズがデビューして以来、累計1500万台以上が販売された人気モデルであるだけに、“3シリーズらしさ”は重要だ。そこに新鮮味を与えるのは、実に繊細な作業である。
どんな作業だったかというと、BMWは自社の象徴とも言うべき「キドニーグリル」を丁寧かつ慎重にリニューアルしたのだ。“キドニー”とは腎臓を意味し、腎臓がふたつ並んでいるように見えるため、海外ではBMWのフロントグリルを「twin kidney grille」と呼ぶ。
従来型3シリーズまでは、左右の“腎臓”がそれぞれ独立して両者は明確に分離していたのに対し、新型3シリーズは、なんと2つの“腎臓”のあいだに空隙がなく両者のフレームが真ん中でくっついたのだ! 「!」を付けて大騒ぎするほどの変化かと思われるかもしれないけれど、これは一大事である。
さらにはキドニーグリルの両端が左右のヘッドランプと接するデザインになったため、ボディは寸法以上にワイドに見える。こうして、「3シリーズらしさ」と「新しさ」が共存するのであった。
老舗の懐石料理店が時代に合わせ、出汁の味を微妙に変えるように、3シリーズの形も変わっていないように見えながら着実に進化しているのである。
地道な改良でも、驚くほど洗練されたパワートレーン
運転席に収まると、インテリアがエクステリア以上に変わっているのに驚く。簡単に言えば、デジタル化がさらに進んでいるのだ。タッチ式の液晶パネルや音声コントロールを新採用したためスイッチ類が減り、運転席からの眺めがツルンとした。
残されたスイッチ類もパネルと“ツライチ”だから、出っ張って見えるのはシフトセレクター、ナビゲーションなどを設定するiDrive用のダイヤル、そしてオーディオスイッチの3つだけだ。
「おーっ、未来チック!」と、思いながらステアリングホイールを握ると、グリップが“ラーメン二郎”の麺のように極太だった。ハイテク機能の操作こそさらっとスマートに出来るものの、ステアリングホイールは気合いを入れて握る体育会系で、そのギャップがおもしろい。
スタートして真っ先に感じるのは、2.0リッター直列4気筒ターボエンジンに8ATを組み合わせたパワートレーンが洗練されている点だ。
アイドル回転付近から豊かなトルクで軽々と発進し、回転をあげると耳に心地よい音とともにパワーが盛り上がる。最初、アイドリング音を車外で聞いたときこそ、「安っぽい音だなぁ」と思った。でも運転席で聞くとクルマ好きの心を震わせる音だ。
従来型3シリーズの直列4気筒ターボエンジンは、回転をあげてもフン詰まったようなフィーリングでいまいち面白くなく、「ビーエムはやっぱり6気筒か……」と、思わされた。けれど、爽快にカーンとまわる新型なら4気筒で不満はない。「シューン」という6気筒の滑らかさはないけれど、4気筒らしいパンチと切れ味が楽しめる。
実は、直列4気筒ターボエンジンに従来型からの大きな変更点はない。施されたのはターボを小型・高効率のものに替えたり、燃料ポンプの圧を高めたりといった地道な改良で、それが確実に効果を発揮している。
エンジンの気持ちよさを影で支えているのが、素早く、かつ滑らかに変速する8ATだ。しかも、ここぞという場面で加速を得るためにアクセルペダルを深く踏み込むと、思った通りにキックダウンしてギアを落とし、望んだ加速が手に入る。ステアリングホイールの根元からはパドルシフトが生えているけれど、多くの場面において、アクセルペダルの踏み加減を調整するだけで好きなギアを選べる。
ちなみに8ATに施された改良も、ギア比の見直しなど、地味ながら実効がある内容だった。
操縦性は、はっきりとスポーティになった。とにかく軽々とノーズが向きを変えるのが印象的で、とくにドライブモードで「Sport」を選ぶとその印象に拍車がかかる。
これは勝手な想像であるけれど、SUVがスポーティな操縦性を手に入れたいま、スポーツセダンである3シリーズはさらにその上をいくスポーツカー顔負けの運動神経が必要だ! と、BMWは考えたのではないだろうか。
パワートレーンと違ってボディと足まわりは構造から見直された。結果、基本骨格部分は従来型から約20kg軽量になり、さらにサスペンション部品やボディのパネルの一部をアルミにした結果、トータルで約50kgのダイエットに成功した。
この軽量化が、軽快なフットワークにつながっているのは間違いないだろう。もちろん、前後の重量配分はBMWこだわりの50:50である。
ただし、双手を挙げてバンザイと言えないのは、乗り心地がかなりビシビシくるからだ。とはいえ、ボディがしっかりしていて、路面からの衝撃はよく伸び縮みする足が受け止めるから、辛口の乗り心地ではあるけれど不快ではない。すくなくともひとりでファン・トゥ・ドライブを享受しているかぎりはそれでいい。けれど、同乗者がいる場面を想像すると、この硬さは微妙か。
試乗したのが、Mスポーツサスペンションを備える330i M Sportだったので、乗り心地に関する結論はノーマルの足まわりのテストの結果を待ちたい。
締め上げられた乗り心地への評価をひとまずおくと、デザインといいパワートレーンといい、そしてハンドリングといい、丁寧に磨き上げられた秀作というのが新型3シリーズのファーストインプレッションだ。3シリースはいまもなお、“スポーツセダンの最右翼”であった。
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