9月13日に静岡県の富士スピードウェイで走行が始まった、2024年WEC世界耐久選手権の第7戦『富士6時間耐久レース』。LMGT3クラスで46号車BMW M4 LMGT3(チームWRT)をドライブしたバレンティーノ・ロッシのもとには、金曜日から多くのファンが殺到した。
これまで、ロードレース世界選手権(MotoGP)で9度のタイトルを獲得してきたロッシ。MotoGPクラス引退の翌年からは、ベルギーのWレーシングチーム(WRT)とともに、4輪GTレースへの参戦を開始し、2024年からはいよいよWECに参戦、第2戦イモラでは2位表彰台も獲得している。
BMW、ポルシェ、キャデラックが一歩リードのトップ3。LMGT3は小泉が首位に肉薄/WEC富士FP2
MotoGP参戦時以来となる日本でのレース参戦については、「とても楽しみにしていたよ!」と午後のセッション終了後に語った。
「2019年のモビリティリゾートもてぎ(当時はツインリンクもてぎ)でのMotoGP以来の日本でのレースだ。ここに来る前は、2日間東京を訪れて楽しい時間を過ごすことができたし、日本に戻ってくることができてとても嬉しいよ」
午前中のフリープラクティス(FP)1で10周、午後のFP2で27周をこなしたロッシは、初の富士スピードウェイについて「すごく良かったよ! ここは楽しいコースだね」と語った。
「グリップが少ない感覚もあったが、僕はそれも好きだ。テクニカルな区間はとても難しかったけれど、それ以外は良い感じだ」
とくに、午後のセッションでは27周と多くのラップを重ねていた。タイムとしては、FP1では1分43秒284をマークしており、プラチナライセンスを持つチームのマキシム・マルタンの1分41秒778に対して1.506秒の差が開いていたが、FP2では1分41秒387をマーク。チームのベストタイムを刻む走りを披露している。
今週末のターゲットについては、「今週のゴールは、良いレースをすることはもちろん、さらに言えば表彰台に上がることがターゲットになる。少なくともトップ5だ」と意気込んだ。
■課題はハイパーカーとの混走。「つねに後ろに気を遣わなければ」
これまでロッシが見せてきたMotoGPでの走りのなかでも、特に印象深いのはライバルとの熱いバトルだ。初日からかなりの進歩を見せたロッシには、決勝レースでの力走にも期待が高まるところ。その決勝について、MotoGPでの経験が活きる部分を聞く。
「まず、バイクのレースとクルマのレースは確かにいろいろな点で大きく違う。それにスプリントレースと耐久レースという違いもある。それでも、25年間バイクでのレースを戦ってきたなかで、近い部分もあると感じるようになったんだ」
「例えば、レースに対するプレッシャーや、ライバルとのバトルだ。あとは、オーバーテイクの仕方やブレーキング、ライン取りについては近いものを感じるし、MotoGPでの経験が活きているね」
ただWECは、MotoGPや4輪レースのキャリアを開始したGTワールド・チャレンジ・ヨーロッパとは違って、2クラスの混走でレースが行われる。その点についてはまだネックに感じている様子だ。
「これまでのレースとの最大の違いがハイパーカークラスとの混走だ。僕はこれまで、単一クラスのレースばかりを戦ってきたが、今一緒に走っているハイパーカーは、僕たちのGTマシンよりも10秒以上も速い」
「後ろに見えたころには、すぐに自分のところまで追いついてくるよ。だから、ドライブしているときにはつねに後ろに気を遣わなければいけないんだ。そのためには、さらに集中力も必要になってくる」
ライバルとのバトルにおいては、彼が四半世紀ほど戦ってきたMotoGPで磨いた感覚が活きると語ったロッシ。WEC初年度にして6戦中3戦でベスト5に入り、さらに良い時には表彰台も獲得してきた。しかし、彼が長らく跨ってきたバイクにはミラーがなかった。初の富士でのレースでは、さらに速いマシンとの混走という課題をスムーズにこなせるかがカギになりそうだ。
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