■ダイハツ最上級の「フラッグシップセダン」なぜ消滅?
ダイハツといえば、主に「軽自動車」を主力とする自動車メーカーという印象がありますが、過去には普通車のセダンを展開していたことも。
その多くはトヨタのプラットフォームを用いたものや、OEM供給を受けたモデルがとなっていますが、中にはダイハツが自社開発した、渾身のモデルも存在しました。
【画像】「すげぇぇぇぇ!」これがダイハツ自社開発の「最上級セダン」です(44枚)
そのクルマとは、1989年に発売された「アプローズ」です。
それ以前の1970年代から1980年代にかけてダイハツは、「シャルマン」という4ドアセダンをフラッグシップモデルとして販売していましたが、このクルマは当時業務提携していたトヨタの「カローラ」をベースに作られたモデルでした。
これは業務提携先との競合を避けるための措置でしたが、やはりフラッグシップモデルは独自開発したいと考えたダイハツは、トヨタから許可を取り付けてオリジナルのセダンを誕生させます。
こうして、ダイハツの総力を結集して作られたのがアプローズ。ちなみに車名の“アプローズ(APPLAUSE)”は、英語で「喝采」を意味する言葉です。
初めての自社開発セダンということから、同車には随所に気合の跡が残されており、それはまず個性的なボディ構造に見られます。
アプローズは、一見するとフロントとリアを長く取ったオーソドックスなセダンタイプに思えますが、実は「ハッチバック構造」を採用しており、トランクとリアゲートが一緒に持ち上がるのです。
そのため、ボディタイプとしては5ドアハッチバックセダンに該当。外見はセダンでありながらも、ハッチバックの収納性能を兼ね備えていました。
ボディサイズは全長4260mm×全幅1660mm×全高1375mmと、セダンとしては比較的コンパクト。
車両重量も970kgと軽く、扱いやすさと実用性を重視した設計です。
パワーユニットには、最大出力120馬力および96馬力を発揮する1.5リッターの直列4気筒SOHCエンジンを搭載。
駆動方式はFFとフルタイム4WDの2種類で、トランスミッションは5速MTと4速AT(FFモデルのみ)を用意していました。
このように、ダイハツ初の自社開発セダンとして、喝采とともに発売されたアプローズでしたが、発売早々となる1989年10月にATとオルタネーターの不具合が判明し、リコールとなります。
さらに、1989年11月にも燃料タンクの設計ミスを原因とする事故が起こり、リコールが繰り返され、アプローズの販売はいきなりつまずきました。
そしてこれら一連のリコール騒動がメディアで大々的に報じられたことから、アプローズはユーザーから敬遠され、販売数が伸び悩みます。
それでも社運とコストを注ぎ込んだ自社開発セダンということで、アプローズは2000年まで11年に渡って生産・販売されますが、最終的には2万台ほどしか生産されずに市場から消えてしまいました。
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