「さくら」と言えば、ある一定以上の年齢の方ならやはりあの映画シリーズを思い出す方も多いはず。それに引っ掛けて日産の最新軽EVサクラで葛飾柴又の街を駆けてみた。細い道の多い町でサクラはどんな走りを見せてくれるのか?
「おう、さくら、たまにはお兄ちゃんと一緒に行くかい?」
「え? お兄ちゃん、ちょっとゆっくりしていけば? お茶でもどう?」
「そうだなさくら、茶でももらおうかね」
「そうよ、お茶でも飲んで」
「そうだな、茶でも……、チャデモ……、CHAdeMO」
「お兄ちゃん、30分だけ待って! すぐ準備するから」
「さくら、お前、クルマになったんだなぁ」 日産の最新軽EV サクラで葛飾柴又の街を走ってみた
※本稿は2022年8月のものです
文/ベストカー編集部、写真/NISSAN、ベストカー編集部、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2022年9月10日号
■軽自動車離れした質感と動力性能 ベース車のデイズと比較するとそれがよくわかる
日産 サクラ(左)とデイズ(右)。ともに全長は3395mmでホイールベースは2495mm。全高はサクラが15mm高い1655mm。ドアパネルやルーフなどはすべて専用設計となっている。画像ギャラリーではそれぞれの比較も載せた
日産が満を持して送り込んだ軽自動車規格のEVが『SAKURA』である。
『さくら』って平仮名で書くと柔らかくて雅な印象なんだけど、『サクラ』とカタカナで表記するのが日産流。
パッと見た印象からもわかるように、ベースとなっているのはデイズである。Aピラーからルーフレールに至るまで、すべてサクラ専用設計で、ドアパネルも専用。
さらに専用デザインのグリルやヘッドライトによる独自のフロントマスクや横基調のラインを通したリアガーニッシュなどによって、デイズとはまったく異なったエクステリアデザインを作り出している。
インテリアがサクラの真骨頂。
メーターパネルは7インチの液晶表示で、さらにナビ画面の9インチ液晶がセンターに配置される統合型インターフェイスディスプレイは上級モデル並みの質感。
インパネは直線基調のデザインで、ファブリックでフルトリムされたサクラが圧倒的に上質。また、サクラはメーターに液晶パネルを使用して、電力消費などのデータを見やすく表示する
ゴールドのアクセントカラーを配した直線基調のインパネデザインも高品質な印象で、さらにインパネ上面からドアトリムにかけてフルファブリックで覆われて、これまた軽自動車離れした上質感なのだ。
■バッテリーの重さが乗り心地にうまく作用 柴又の細い道も優雅に、キビキビと
メカニズム面では、重量約200kgという20kWhのリチウムイオンバッテリーをフロアセンター下面に搭載。
車重はデイズNA車の870kgに対し210kg重い1080kgとなるが、前軸重:590kg、後軸重:500kg(Gのオプション装着車で車重1090kg)で54対46の前後重量配分。ちなみにガソリンNAのデイズは62対38である。
この低重心、前後重量配分に加え、重いバッテリーを搭載するためにフロアは強化され高い剛性を発揮。
また、重量物のバッテリーがサスアームなどの共振を吸収するため、しっとりとした上質な乗り心地を実現しているのを実感する。
アクセルに対するモーターのレスポンスのナチュラルさや動力性能も一般的な軽ターボの比ではなく、これ、ちょっとほかでは味わったことのない感覚。
アクセルをグイと踏んでもドカンとトルクが立ち上がらない制御をするので不快な加速感ではないのだが、キビキビ軽快な動きをしてくれる。
街中をストレスなく、機敏かつ優雅に走ってくれるのだ。
帝釈天のある、葛飾柴又の細い道でも軽自動車のサクラは走りやすかった
WLTCモードで1充電での航続距離は180km。実際にテストした感覚だと130km前後という印象。
国の補助金55万円、さらに東京都だと45万円の補助金が出るので実質100万円引きということになる!
●日産 サクラ(G)主要諸元
・全長:3395mm
・全幅:1475mm
・全高:1655mm
・ホイールベース:2495mm
・車両重量:1080kg
・最小回転半径:4.8m
・バッテリー:リチウムイオン 350V 20kWh
・モーター出力:47kW(64ps)/2302-10455rpm
・モータートルク:195Nm(19.9kgm)/0-2302rpm
・サスペンション:ストラット/トルクアーム式3リンク
・タイヤサイズ:165/55R15
・1充電航続距離:180km
・価格:294万0300円
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みんなのコメント
小型で革新的で将来の主力パワートレーンを具現化
「さくら」の命名に日産の意気込みを感じる古い日産ファンです。
「チェリー」も富士精密(プリンス自動車)との技術協力のたまもの。
大きく飛翔して欲しい
軽のEVの活動範囲として葛飾柴又辺りは、生活圏としてちょうどいいのかもしれませんね。