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FR+MTのG82型は大アリ BMW M4 クーペへ試乗 今こそ選びたいマニュアルのM

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FR+MTのG82型は大アリ BMW M4 クーペへ試乗 今こそ選びたいマニュアルのM

英国では購入できないM4のMT版

グローバル化という表現が聞き飽きたとしても、世界が均質化していることは事実だ。ビッグマックがロサンゼルスと同じように、ロンドンや東京でも売られている。BMW 3シリーズや4シリーズも、ミュンヘンと同じように購入できる。

【画像】最新BMW M4とM3を写真でじっくり 欧州で競合する高性能スポーツクーペも 全120枚

しかし、完全には同じではない。その違いが、海外の面白さでもある。ベルギーのマクドナルドに行けば、ビールも注文できる。ドイツや日本のBMWへ行けば、マニュアル・ギアのBMW M4を注文できる。

だが、英国では選べない。BMWが6速MTのM3やM4を提供しない理由は、中古車市場を見れば明らか。AT以外を選びたがる人が、多くいないためだ。

運転の手間数が増えることは間違いない。だが、トヨタはスープラにMTをラインナップしている。ポルシェも911ターボの後輪駆動モデルに、MTを用意している。

英国BMWの上層部は、ウチも、と考えることはないのだろうか。日本やオーストラリア市場向けとして、右ハンドルのMT車は開発済みなのだ。

ロンドンの正規ディーラーでは注文できない、6速MTのG82型M4。では、8速ATとの違いはどの程度あるのか。今回、筆者は別件でドイツへ訪れた機会を利用し、広報用のM4をお借りして確かめることにした。

BMWは多くの市場へ標準のM4と、よりアグレッシブなM4 コンペティションの2種類を提供している。そのなかで、後輪駆動に6速MTという組み合わせが選べるのは素のM4。純粋主義なドライバーが選ぶ、という前提にある。

後付け感はゼロでなくてもMTを選びたい

一方で英国へ導入されているのは、通常のM4から30psパワーアップし、8速ATが組み合わされたM4 コンペティションのみ。知的な四輪駆動システム、xドライブをオプションで搭載することができる。

以前から筆者は、6速MTはどこか後付け感があり、8速ATの方がG82型のキャラクターに合っていると聞いていた。実際のところ、その印象は間違ってはいないようだ。

クラッチペダルは重く、跳ね返される硬さもあり、滑らかに変速するのが少々難しい。3.0L直列6気筒ツインターボ・エンジンは55.8kg-mの最大トルクを2650rpmから発揮し、殆どエンストしない。でも、ギクシャクした発進にはつながる。

今回の試乗車には、カーボン製のバケットシートが組まれていた。その座面の前部中央には、不自然なカーボンの膨らみがある。これが、クラッチペダルの操作時には違和感を生んでいた。

また、新しいM4の全幅はかなり広い。センターコンソールの中央にそびえるレバーを握るには、少し腕を伸ばす必要がある。

シフトレバーもスプリングの効きが強く、以前のBMWにも共通する、ゴムっぽい手応えも伴う。それでもストロークが短く、コクリとゲートに収まる感触が気持ちいい。

M4は息を呑むほど速く、ハイテクな雰囲気に溢れている。クラシカルに自らの腕でギアを選ぶという行為に、違和感を抱かないわけでもない。

それでも、もし筆者が自らのM4を注文するなら、間違いなく6速MTを選ぶだろう。

クルマとの関わりを深めてくれる

新しいG82型M4の能力は極めて高い。記載をためらうようなスピードでも、ドライバーを穏やかにクルージングしているような気持ちにしてしまうほど。

その感覚を振り払うには、サーキットへ向かうか、クルマとの関わりを深めるか、どちらかが必要になる。その1つが、クラッチペダル付きの6速MTだ。低い速度域でも、エンジンの回転数の変化やシャシーバランスを味わうことが可能になる。

MTなら、直6ツインターボ・エンジンがどんな状態にあるのか、より詳しく理解できる。次のコーナーを何速で走るか考える必要もある。ヒール&トウのスキルを試すこともできる。未習得なら、レブマッチ機能で回転数を調整してくれる。

確かに、シフトフィールは最高ではないかもしれない。だとしても、充足感は濃い。レシオ比も良い。3速までがロングで、1速を保つような場面も多いポルシェとは異なる。トルクが太く、回転数を気にせず意欲的に運転できるとはいえ。

M4の6速MTでは、2速で回転数を引っ張ると122km/hに届いてしまうが、ポルシェほどではない。3速に入れると、レブリミットで185km/hに到達する。

ほかのレシオも、いい塩梅でクロスしている。110km/hを6速で走る場合、エンジンは2400rpm。近年のガソリンターボ車としては、かなり高い回転数といえる。

次期型は世界共通でハイブリッドにATへ

標準のM4の場合、M4 コンペティションより30ps最高出力は低くなる。その差はゼロではないものの、非常に速いことに変わりはない。むしろクルマとの関わりが多い分、MTの方がより強力に感じられたことも事実だ。

エンジンサウンドも、よりナチュラルに聞こえた。少しザラついた響きは古くのM3とは異質なものの、回転数とともに変化する音響は興奮を誘う。

やはりG82型M4のMTは良い。しかし、英国ではどの正規ディーラーを訪れても、選ぶことはできない。しかも次期型はほぼ間違いなく、世界共通でハイブリッド・エンジンにATという組み合わせだけに絞られるだろう。

日本や北米などの地域でM4を検討している人は、6速MTを候補に加えていただきたい。自ら左手でギアを選びたい英国人は、ディーラーでMT版が欲しいと訴えて欲しい。残された時間は、想像しているほど長くはないようだ。

BMW M4 クーペ(欧州仕様)のスペック

ドイツ価格:8万7300ユーロ(約1187万円)
全長:4805mm
全幅:1885mm
全高:1395mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:9.5-9.7km/L
CO2排出量:235-240g/km
車両重量:1700kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:479ps/6250rpm
最大トルク:55.8kg-m/2650rpm-6130rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

3件
  • 黒のM 4かっこいい
  • 日本でも、M3のMTは随分前に落とされ、320iやミニ3ドアのMTも落とされてるので、次は最後に残ってるM2とM4のMTが英国同様に落とされるのでは?
    BMWは最後近くまで粘ると思っていただけに、大きな失望。とはいえ、世界でもトップレベルのAT大国ニッポンで、よくぞ21世紀までMT車を販売してくれました。お疲れ様。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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