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ミニバン市場に異変! バカ売れだった「ノアヴォク・セレナ・ステップワゴン」が売れないワケ

掲載 更新 38
ミニバン市場に異変! バカ売れだった「ノアヴォク・セレナ・ステップワゴン」が売れないワケ

 ミニバンクラスでもっとも売れているのはアルファードだ

 かつてミニバンと言えば、トヨタのノア系(ノア、ヴォクシー、エスクァイア)や、日産セレナ、ホンダ・ステップワゴンなど、5ナンバーサイズで背が高く、サイドのリヤドアにスライドドアを採用する、ミドルクラスミニバンが売れ筋であった。しかし、最近では2021事業年度締め(2020年4月から2021年3月)年間販売台数でアルファードが10万台強を販売し、ミニバン販売でナンバー1になるなど、様子はだいぶ変わってきているようである。

3列シート+スライドドアでもダメ! 人気ジャンルなのに売れないミニバン5選とその理由

 自販連(日本自動車販売協会連合会)統計をもとに、2020事業年度締め年間販売台数を、2016事業年度(2016年4月から2017年3月)締め年間販売台数を100%として比較すると、ヴォクシーが約77.7%、以下ノア約83%、エスクァイア約44.8%、セレナ約72.2%、ステップワゴン約75.0%となった。登録乗用車全体の販売台数では約85.8%なので、全体と比較しても、やや元気がないように見える。

 2020事業年度はコロナ禍でもあったので、ヴォクシーについて、2017事業年度締め年間販売台数を100%として、2019事業年度締め(2019年4月から2020年4月)と比較、つまりコロナ禍直前と比べても約88%となったので、コロナ禍以前からあまり調子は良くなかったといえよう。

 販売現場で聞いてみると、「世の中でダウンサイズとして、排気量やボディサイズの大きなクルマから、サイズや排気量の小さいクルマへの買い替えがトレンドとなったことがまず大きいです」とのこと。ミドルクラスミニバンは5ナンバーサイズとはいえ、もともとは2リッターエンジンを中心に搭載していた。

 ノア系、セレナ、ステップワゴンともに、いまではハイブリッドやe-POWERといったパワートレインを搭載するモデルもラインアップしているが、それでも歴代ガソリン車の実走行燃費が1ケタ台だったものが、ようやく2ケタに改善したというぐらいなので、トヨタ・シエンタやホンダ・フリードへダウンサイズするミニバンユーザーが増えているのである。

 自販連統計による、通称名(車名)別販売ランキングで事業年度締めでの年間販売台数でみると、ミニバンでトップは、2016年度がシエンタ、2017年度フリード、2018年度シエンタ、2019年度シエンタとなっていることからも明らか。シエンタサイズのミニバンをラインアップしない日産は、セレナユーザーの一部が、シエンタやフリードに流れたものと考えられる。

 ミニバンユーザーのダウンサイズ化が進んでいる

 前出のように、フリードとシエンタの2016事業年度締め年間販売台数を100%にして、2020事業年度締め年間販売台数を比較すると、フリードは約97%、シエンタは約53%となった。フリードは明らかにステップワゴンより調子が良いのがわかる。ホンダユーザーのなかでは、早いうちからステップワゴンやオデッセイなどの大型ミニバンからのダウンサイズが目立っており、それらからのフリードまたは極端な話ではN-BOXへのダウンサイズが、いまでは定番化しているのが大きいようだ。

 シエンタは2020事業年度締めでは調子が悪かったように見える。近年シエンタは2列シート仕様がタクシー仕様として人気が高まっていたのだが、コロナ禍でタクシー車両の入れ替えが延期されたりしたことが影響の一つと考えられる。ノア系だけでなく、シエンタも、アルファードに食われたことが影響しているようだ。海外への中古車輸出でも人気の高いアルファードはリセールバリューがかなり良い。

 アルファードは4月末に改良を行っているのだが、改良前に聞いた話では430万円ほどする特別仕様車のSタイプゴールドで、5年後の残価設定ローンを組むと、支払い最終回に据え置く5年後の残価相当額が200万円となり、月々の支払い額がヴォクシーのそれに数千円足すだけで乗ることができ、ヴォクシー希望のお客のほとんどがアルファードへ流れたこともあり、アルファードは年間販売台数10万台強を販売した。シエンタを希望していたお客の一部もアルファードへ流れたと考えていいだろう。

 ダウンサイズニーズがミドルクラスミニバンの販売苦戦を招いているというのと、整合性がないではないかということになるが、アルファードの最上級グレードであるエグゼクティブラウンジの存在がクローズアップされるあまり、「アルファードは予算的に買えるわけがない」と思っていたのに、ローンを組めばヴォクシーにちょい足しで乗れるというインパクトはあまりにも大きかったようである。

 コロナ禍になってから、新車購入においても明らかに購買行動は変わってきている。“プチ贅沢”とも呼ばれる消費意識も手伝い、コロナ禍前ではダウンサイズニーズが、そしてコロナ禍では上級車種のアルファードへミドルクラスミニバンユーザーが流れる傾向が、とくにノア系ユーザーの中で高まったのである。

 年末にもモデルチェンジが行われるとされているノア系は、エスクァイアを廃止して、さらに3ナンバーサイズになるといわれている。一般的に考えれば、3ナンバー化されると、シエンタやフリードへ流れるユーザーが目立ちそうだが、コロナ禍という非常時だからこそ、「同じ3ナンバーであり、なおかつチョイ足しで乗れるなら」と、アルファードへ流れる動きが、さらに顕在化する可能性は十分高いといえよう。

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みんなのコメント

38件
  • 残価設定にすればノアヴォクの数千円足せばアルファードに乗れます!って・・・
    気軽に残価設定で買うと後々高い買い物になるのに・・・3~5年後に車両を返却するかローン組んで買い取るか・・・結局ローン地獄から逃れられない。
    走行距離制限や事故歴、設定金額で返却できると思ってたら大間違いだからね。
    現に残価設定でアルファードを買い事故して設定金額を大きく下回って結局借金しか残らなかった奴を知ってる。
  • 「430円ほどする特別仕様車。」
    最後に文章の見直しが必要ですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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