F1オーストリアGPを勝利したジョージ・ラッセルは、メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフからレースに勝てる可能性があると無線で告げられた際に「危うくクラッシュするところだった」と振り返った。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)が激しいトップ争いの末に接触し、両者パンクするという劇的な展開になったことで、3番手を走っていたラッセルは残り7周のところで首位に躍り出た。
■レッドブルF1重鎮、フェルスタッペンとノリスのトップ2激突は「完全に不必要」チーム自ら招いたピンチとも示唆
スローダウンしていたフェルスタッペンとノリスをターン8でパスしたラッセルは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)との差を十分に保ち、そのまま逃げ切って優勝を飾った。
ラッセルがトップに立てそうだとわかると、ウルフ代表は無線でラッセルに「君なら勝てる」と伝えた。しかしラッセルからの返答はそっけなく、「ドライブ(に集中)させてよ」と返された。
ラッセルは、ウルフ代表が無線を飛ばしてきたタイミングが悪く、危うくクラッシュしそうになったと明かした。
「ペースは強力に感じた。問題だったのは、ルイス(ハミルトン)がレース序盤にアタックしてきたことだ」
「でも、彼を抜き返すと、カルロス(サインツJr.)に少し差をつけられた。オスカーが速そうなのは分かっていたし、彼はレース終盤に突然現れたんだ」
「ハードタイヤで走るのはとても難しかった。そして突然、トトが僕の耳元で『君なら勝てる!』と叫んだんだ」
「彼が僕の耳元で叫んだときは、その声のあまりの大きさにクラッシュしそうになったよ。でも、それは僕たち全員が共有している情熱を示すものだと思う」
「ここ数年、僕らにとってタフな時期が続いていたのは明らかだから、また(表彰台の)最上段に戻れて最高の気分だよ」
ウルフ代表は無線でのメッセージのタイミングを誤ったことを認め、ラッセルがサーキットのどのあたりにいるのか確認しなかったと語った。
「あれは今までで最も愚かなことのひとつだった。彼がどこにいるかまったく見ていなかったんだ」とウルフ代表は『Sky Germany』に認めた。
「私はふたり(フェルスタッペンとノリス)がクラッシュするのを見ただけだ。12年間でこんなこと初めてだよ。時速320kmからフルブレーキングしている彼(ラッセル)に、ふたりが接触したと伝えた。まずは考える必要があるね」
フェルスタッペンとノリスがクラッシュする3周前、ラッセルはレースエンジニアのマーカス・ダドリーから、コース上でのバトルの激しさを考えれば、自分にも勝機があると示唆されていたことを明かした。
そして、ラッセルは急速に追い上げてきたピアストリから逃げる上で、デブリを取り除くために出動したバーチャル・セーフティカーが役に立ったと語った。
「正直なところ、自分のドライビングを最大化することだけに集中しようとしていたんだ。エンジニアが3周前に『彼らはかなり激しく戦っているし、僕たちは勝てるよ』と言ったんだけど、僕は『まずは3位を確保する必要がある。僕にドライブさせてよ』と答えたんだ」
「オスカーが後ろにいて速かったのは知っていたし、トップに立った時にラスト6周は難しいレースになると思っていた」
「僕のタイヤは厳しい状態だったんだ。タイヤがオーバーヒートしていたから、バーチャル・セーフティカーのおかげでそれをクールダウンさせることができたんだ」
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