現在、最も売れている軽自動車はホンダ・N-BOXやダイハツ・タントといった、全高が高い「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンルのクルマたちです。しかし、1990年代以降の軽自動車ブームをつくったのは、間違いなくスズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴといった、「ハイトワゴン」です。そこで今回は、ワゴンRとムーヴに、人気車種となっている日産・デイズを加えた、3台を徹底比較していきます。
●一時代を築いてきた軽自動車のロングセラー
スズキのワゴンRといえば、1993年に販売開始されて以来、軽自動車市場で圧倒的な人気を誇ってきたモデルです。小さくて狭いという当時の軽自動車のイメージを、全高を上げることで克服して見せたという、現在で言うところのハイトワゴンの先駆けとなった1台です。
ワゴンRは、スズキのロングセラーモデルとして度重なる改良とモデルチェンジが行われ、2017年にデビューした6代目が現行モデルとなっています。
一方のムーヴは、ワゴンRに遅れること2年、1995年にデビューしたダイハツの軽自動車です。大ヒットモデルとなっていたワゴンRに負けないよう魅力的なクルマとするために、後席両側ドアを持つ5ドアスタイルとし、4気筒DOHCターボ「JB-JL」をはじめとする全車DOHCエンジンの搭載、横開きバックドアやハイマウントの縦型テールランプといったワゴンRにはない特徴的な装備が与えられていました。
また、1997年にはムーヴカスタムが市場に投入されます。これは、メーカー側で純正としてエアロを装着しダウンサスによるローダウン、灯火類の入れ替えといったカスタムを施したモデルでした。
現在では当たり前に行われているベース車と純正カスタム車を併売する販売手法ですが、これを採用したのはムーヴが日本初であると言われています。そんなムーヴですが、現行モデルは2014年にデビューした6代目となっています。
ワゴンRとムーヴによって登場したハイトワゴンというカテゴリーですが、そこに颯爽と現れたのが日産のデイズです。2013年、ベースモデルのデイズに加え、デイズ ハイウェイスターやデイズ ボレロ、デイズ ライダーといった派生モデルとともにデビューするや否や大きな注目を浴び、販売1ヵ月後には30000台を受注、その後も好調な売れ行きを見せて3ヵ月後には、軽自動車市場における日産のシェアを大きく引き上げる活躍を見せました。
2019年にフルモデルチェンジを受けて2代目へとバトンタッチし、同年11月にはRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞します。モデルチェンジ後も人気車種となり、ホンダのN-BOXやダイハツのタントといった全高1700mmを超える、いわゆるスーパーハイトワゴンといった車種に人気が集中するなか、1600mmほどのハイトワゴンの一角として販売台数でも上位をキープし続けている1台です。
●ボディサイズはほぼ同じも、室内空間ではデイズが有利!
それぞれのボディサイズを見てみると、ワゴンRが全長3395mm×全幅1475mm×全高1650mm、ムーヴが全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mm、デイズが全長3395mm×全幅1475mm×全高1640mmとなっています。このことから、全長および全幅は3台とも全く同じであり、全高のみムーヴが最大20mm低くなっていることが分かります。
一方、車内空間の広さで比較して見ると、ワゴンRが車内長2450mm×車内幅1355mm×車内高1265mm、ムーヴが車内長2080mm×車内幅1320mm×車内高1280mm、デイズが車内長2080mm×車内幅1320mm×車内高1280mmという数値です。
この数値によって、車内空間ではワゴンRが飛びぬけて長く設計されており、車内幅も最長ながら、車内の高さではムーヴとデイズに劣っているという結果になりました。
しかし、ホイールベースにおいてはワゴンRが2460mm、ムーヴが2455mm、デイズが2495mmとなっています。ホイールベースとは、クルマを真横から見たときの、前タイヤの中心から後タイヤの中心までの長さを指しています。ホイールベースが伸びると相対的に居住性が向上していくことから、後部座席を含めた車内空間の広さは、デイズが最も秀でていると言えます。
また、グレード展開ではワゴンRが3グレード、ムーヴは5グレード、デイズは10グレードで展開しています。それらに加え、ワゴンRにはスティングレーがあり、ムーヴにも同じようにムーヴカスタムが存在しています。デイズにもボレロというカスタムモデルが存在しており、ベースグレードと純正カスタムモデルの併売という面では、3車とも同様のラインナップ構成となっています。
●パワートレインで個性が光る3車
軽自動車にとって重要な燃費性能(WLTCモード)ですが、ワゴンRは自然吸気の4WD(5MT)の23.0m/Lが最低値で、ハイブリッド2WDの25.2km/Lが最高値となっています。ムーヴはターボ×4WDの18.8km/Lが最低値で、2WDのターボが19.5km/L、自然吸気が20.7km/Lが最高値となっています。
そして、デイズではターボ×4WDの16.8km/Lが最低値、FF(2WD)であれば19.2km/Lとなり、自然吸気はマイルドハイブリッドシステム搭載グレードもハイブリッド無しグレードも21.2km/Lが最高値です。
これを見ると、ノーマルのエンジンおよびハイブリッドの燃費性能でいえばワゴンRがトップであり、ターボモデルではムーヴがトップという結果になりました。
エンジンスペックでは、ワゴンRが最高出力49PS/最大トルク58Nmで、ハイブリッドではモーター最高出力2.6PS/最大トルク27Nmがアシストされます。
ムーヴでは最高出力52PS/最大トルク60Nmとなり、ターボエンジン搭載モデルではターボ最高出力64PS/最大トルク92Nmです。
デイズでは最高出力52PS/最大トルク60Nmであり、ハイブリッドはモーターによってモーター最高出力2.8PS/最大トルク40Nmをアシストします。ターボエンジン搭載モデルになると、最高出力64PS/最大トルク100Nmに、モーターの最高出力2.8PSkw/最大トルク40Nmがアシストされます。
スペック上は、デイズが最もパワフルであり、さらにはターボエンジン搭載モデルやハイブリッドモデルも選べることから、選択肢の幅が大きいと言えます。
●価格はデイズが頭ひとつ飛び抜けているが…
最後に、最も重要な要素のひとつである価格について見てみましょう。
売れ筋グレードで比較すると、ワゴンRの「HYBRID FZ」は、142万1200円~、ムーヴの「Xターボ “SA III”」は137万5000円~、そしてデイズの「ハイウェイスターX アーバンクロム」は160万500円~となっています。もちろん、それぞれより安い価格のグレードもありますが、この価格帯を基準にして検討することをオススメします。
デイズが、ワゴンRやムーヴに比べて高めの価格設定となっているのは、デイズの充実した装備と関連しています。アイドリングストップ機能や踏み間違い防止アシストが標準搭載されているほか、インテリアでも本革巻きステアリングが採用されているなど、ライバルに比べて、全体的に質感が高くなっています。
つまり、かつて主流だった「軽自動車=質素で安いクルマ」というイメージの強い人から見れば、デイズは割高に見えるかもしれません。しかし、そうしたイメージを取り払ってしまうことができれば、デイズは、質感が高く、広い室内空間を持ち、先進安全装備も充実しているにもかかわらず、コンパクトかつ登録車に比べて税金などの維持費が安い、非常にコストパフォーマンスの高いクルマと言うことができます。
いずれにせよ、近年は軽自動車の質感向上が進み、かつてのイメージは薄れつつあります。軽自動車を選ぶ際は、「安いから」を優先するのではなく、自身に必要な機能をしっかりと見極め、必要に応じて取捨選択していくようにしましょう。
文:ピーコックブルー
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みんなのコメント
N-WGNも比較してあげて
わずかに標準車のバンパーでムーブとは違うステラを見てあげて。
ワゴンR………………現行はBピラーをふとくしすぎて、見た感じの広々感が薄いような気がします。フロントのデザインで気にいるのがあれば、と思います。