積算8067+4319km 存在すること自体が奇跡?
プラットフォームを共有する、型にはまったようなモデルが増える中で、特別なエンジンが、スポーツカーではなく小さなハイブリッド・クロスオーバーに載っている。ロータリーエンジンのマツダMX-30 R-EVが存在すること自体、奇跡に近いのかもしれない。
【画像】存在自体が奇跡かも? マツダMX-30 R-EV BEV版と観音ドアのRX-8 アイコニックSPも 全149枚
つまり、周囲とは明らかに違うクルマを欲する人のための1台といえる。市場を見渡しても、MX-30 R-EVと同等の内容を持つモデルは存在しないと思う。
2024年に購入できる、普通ではない、普通車といってもいいかも。ただし、数か月試乗してみて、他メーカーが提供しない理由も見えてきた。
まずは観音開きのサイドドア。少し長めのフロントドアの後ろに、リアヒンジの小さなリアドアが付いている。コンセプトカーのようでカッコいい。このスタイルを採用した現行モデルは、フェラーリ・プロサングエだけだ。
しかし、実用性に優れるとはいいにくい。後席へ乗り降りするには、必ずフロントドアも開く必要がある。しかも、フロントドアは長く、狭い場所では乗り降りしにくい。狭い場所でリアドアも開くと、身動きが取れなくなってしまう。
リアドアには、外側にドアハンドルがなく、ウインドウも小さい。前席のシートベルトはリアドアから伸びており、後席の人が降りる時は、前席の人がシートベルトを外す必要がある。車内空間は4ドア相当だとしても、2ドアの不便さを背負っているように思う。
ガソリンとオイルを消費するパワートレイン
ハイブリッド・パワートレインも、ライバル以上に優れるとはいえないだろう。市街地ではバッテリーEVとして走れ、長距離移動時は小さなロータリーエンジンが発電を担い、大きな駆動用バッテリーを必要としていない。机上では理に適っているのだが。
確かに、市街地中心で乗っている限り、35.0km/L程度の燃費は得られる。他方、駆動用バッテリーだけで走れる距離は、現実的に83km程度。高速道路を110km/hでクルージングしていると、燃費は10.6km/Lへ落ちてしまう。褒められる数字ではない。
さらに、ロータリーエンジンはエンジンオイルも消費が多い。オイルセンサーが不調でランダムに警告灯が光り、あてにならなかったのだが、実際に確かめるとオイル量が基準値以下ということがあった。0W-20のオイルを、1.5Lも補充できたほど。
その後、パワートレインの異常が表示され、車両交換になったことは前回ご報告したとおり。ボディカラーはレッドからグレーへ変わったものの、基本的には同じ仕様のMX-30 R-EVがやって来た。
ところが、これも不具合を抱えていた。90km/hから95km/hの間で、クルマが不自然に振動するというものだ。これは、原因を確かめられなかった。
航続距離はバッテリーEVより優れるけれど
エンジンオイルの警告灯は、新しい車両でもしばしば点灯した。3000km走行後に、念のためレベルゲージを確かめてみると、オイル量は下限のギリギリ。マニュアルに沿って、1.0Lを補充している。
ところが、その後に複数の警告灯が点灯。普通に走れたことは走れたのだが、量産車として、筆者がこれまで遭遇したことのない状態といえた。燃費は僅かに改善し、110km/hのクルージングで10.8km/Lを得ていたのだが。
不調を抜きにして、MX-30 R-EVがバッテリーEVより優れているか、という問いに関しては、最大の課題といえる航続距離ではイエス。だが、総合的にはプラグイン・ハイブリッドの方が優れていることも否定できない。
同等クラスのプラグイン・ハイブリッド、アウディQ3 TFSIeなら、駆動用バッテリーの充電が切れても14.5km/L程度は走れる。マツダらしい、チャレンジングな内容とはいえるのだけれど。
セカンドオピニオン
インテリアは素晴らしいし、走りも素晴らしい。だが、ロータリーエンジンによるレンジエクステンダーの存在意義がはっきりしない。市街地中心なら、現在のバッテリーEVでも航続距離は充分得られる。遠出が多い場合なら、もっと燃費の良いモデルが選べる。
確かに、MX-30 R-EVは興味深く好きになれるクルマだ。しかし、知人にオススメすることは難しいかもしれない。 イリヤ・バプラート(Illya Verpraet)
テストデータ
気に入っているトコロ
飛行機のようなサイドウインドウ:小さいものの、サイドウインドウがリアシートの閉じ込められ感を軽減している。旅客機の窓のようにも思える。
ロータリーコントローラー:センターコンソールのコントローラー/ボタンで、インフォテインメント・システムは操作しやすい。
上質なインテリア:コルク材を用いたインテリアは、創業期のマツダを連想させるもの。明るい色調も好ましい。
気に入らないトコロ
油分の消費量:ロータリーエンジンはカッコいいけれど、ガソリンとエンジンオイルの消費量が激しい。
リアドアの実用性:スタイリッシュだとしても、観音開きのドアは使い勝手が今ひとつ。
走行距離
テスト開始時積算距離:413km
テスト終了時積算距離:8067+4319km
価格
モデル名:マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
開始時の価格:3万6650ポンド(約747万円)
現行の価格:3万3495ポンド(約683万円)
テスト車の価格:3万8450ポンド(約784万円)
オプション装備
ソウル・レッド・クリスタル塗装+ブラックサイドパネル+ブラックルーフ:1800ポンド(約37万円)
燃費&航続距離
カタログ燃費:100.0km/L
タンク容量:50.0L
平均燃費:10.5km/L
最高燃費:44.1km/L
最低燃費:9.6km/L
航続可能距離:531km(ガソリン)
主要諸元
全長:4395mm
全幅:1795mm
全高:1555mm
最高速度:140km/h
0-100km/h加速:9.1秒
車両重量:1881kg
パワートレイン:永久磁石モーター+シングルローター830cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:17.8kWh
最高出力:170ps
最大トルク:26.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
トランク容量:332-1137L
ホイールサイズ:18インチx7.0J
タイヤ:215/55 R18
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:352ポンド(約7万2000円/月)
CO2 排出量:21g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:36ポンド(約7000円/エンジンオイル)
燃料コスト:1390ポンド(約28万4000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:1426ポンド(約29万1000円)
1マイル当りコスト:0.19ポンド(約39円)
不具合:異常振動、エンジンオイル警告灯、パワートレインの不調
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みんなのコメント
MX30 →ロータリーPHEVは海外でFAKE EVとか言われてますね 自己満足ヘンテコデザインからして大失敗
CX60 →軽トラの乗り心地、トランスミッションギクシャク感、アイドリングストップ復帰時の騒音で世紀の大失敗作人柱カー 月500台前後と悲惨な状況
マツダCX2桁シリーズはメーカーのお遊び実験大会の作品って感じだな