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【356や初代911をオマージュ】ポルシェ911 タルガ4S ヘリテージ・エディションへ試乗

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【356や初代911をオマージュ】ポルシェ911 タルガ4S ヘリテージ・エディションへ試乗

モータースポーツの活躍を記念

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)

【画像】ポルシェ911 タルガとカブリオレ 爽快なオープンスポーツと比較 全155枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ポルシェ911 タルガ4S ヘリテージ・エディションは、クルマの雑学王を唸らせるような限定モデルとはいえない。それでもディテールまでデザインは磨き込まれ、全体として素晴らしいルックスに仕立てられている。

このヘリテージ・エディションはポルシェのカスタムメイド部門、ポルシェ・エクスクルーシブが計画した4種類のスペシャル・エディションの1つ。1950年代から1960年代にかけての、モータースポーツでの活躍を記念した仕様となる。

オマージュしたのは、ポルシェ356と初代の911だという。ポルシェ・マニアなら、992型に与えられた共通点を発見しては喜ぶことだろう。

チェリーレッドのボディカラーに、ゴールドに輝くオリジナルのフォントで綴られたPORSCHEのロゴ。1963年当時のエンブレムに、ベージュでコーディネートされたインテリア。ブラックのブレーキキャリパーなど、特別感を演出する部分は数え切れない。

予定されている992台という生産台数も、ポルシェ911をより知っている人に向けられた、ささやかなメッセージのはず。食指が思わず動いてしまう読者もいると思う。

一方で、特別に仕立てられた容姿の内側にあるのは、通常のタルガ4Sと同じ。3.0Lのツインターボ水平対向6気筒エンジンは、450psと53.9kg-mを発生する。四輪駆動で、PDKと呼ばれる8速ATが標準装備となる。

ポルシェ独自のアクティブ・サスペンション・マネージメント(PASM)にトラクション・マネージメント(PTM)、トルクベクタリング(PTV)・プラス、スポーツクロノ・パッケージが装備される。

動的性能は標準のタルガ4Sと同じ

ヘリテージ・エディションに選ばれたボディが、クーペやカブリオレではなくタルガになったことに疑問を感じる読者もいるだろう。モータースポーツの歴史に焦点が当てられているのに、可動式ルーフを備えると動的性能には妥協が生じてしまう。

ポルシェ・エクスクルーシブをディレクターを務めるボリス・アペンブリンクによれば、フォールディング・トップを備えるタルガが「911で最もエモーショナルなモデルだから」と説明する。

筆者はもう1つの理由も推測する。タルガは、完璧なドライビング・ダイナミクスよりも、スタイルを優先するドライバーに好まれる911として売れてきた。このスタイル優先というポイントが、要因ではないかと思う。

ヘリテージ・エディションの英国価格は13万6643ポンド(2049万円)。通常のタルガ4Sより2万6918ポンド(403万円)ほど高い。だが追加料金を支払っても、追加の動的性能が得られるわけではない。

もちろん、タルガボディだからといって911の魅力が減じることはない。むしろチェリーレッドのボディにゼッケン用の丸いドアステッカー、金色に光るエンブレムなど、911に詳しくない人でもスマートフォンで写真を取りたくなる誘目性がある。

クラシカルなスタイルの価値は、オーナーや見る人が判断するもの。今回は、タルガ4S自体の魅力を探ってみよう。

反応よく躍動的なフラット6と8速AT

以前AUTOCARでは、992型の911 タルガ4Sを英国で試乗しているが、その時は欧州仕様の左ハンドル車だった。今回は初めての右ハンドル車となる。

ポルシェは、タルガに付いてくる911としては低い動的性能、という評価を理解している。実際、ボディ剛性や車重、重心高など、タルガルーフの影響は少なからず存在する。そのため最新版では、クーペボディにハンドリングを極力近づけることに注力された。

比較しない限り、タルガ4Sの走りには心が打たれる。操縦性はダイレクトでシャープ。自然と気持ちに芽生える自信によって、運転する充足感も非常に高い。

高速道路でも郊外の継ぎ接ぎの多い道でも、乗り心地は硬めに感じられるものの、長距離を走っても疲れるほどではない。間違いなくポルシェ911へ期待する通り。魅力的なものだ。

ツインターボで過給されるフラット6も、反応がよく躍動的。450psという不足ないパワーには、6500rpmで到達する。0-100km/h加速3.8秒が本当か確かめる必要もなく、常に誇らしいほどの勢いで速度を高めてくれる。

8速PDKはMTほどクルマとの濃い関係性を生まないかもしれないが、エンジンとの相性は抜群。AT任せでも必要に感じた瞬間に、正確に変速してくれる。パドルシフトを弾いて変速を求めれば、即座に応答してくれる。

992型では共通することだが、フルスロットル以外、エンジンのサウンドは控えめ。タルガルーフを開いて運転席で直接聞いてみても、さほど違いは感じられなかった。

強く指摘するほどではないものの、今回はヘリテージ・エディション。モータースポーツの匂いがプンプンする見た目だけに、少し残念に感じられた。

注目を集めるヘリテージ・エディション

タルガルーフの位置に関わらず、車内に届く小さくないロードノイズも911で共通する部分。しかし、カブリオレほど疲れる音量でもないようだ。

タルガ4Sは、クーペボディほど操縦性がシャープではなく、走りにフォーカスされているわけではない。クルマとの一体感を大切にしたいオープントップを好むドライバーには、少し軽量で安い911カレラS カブリオレがより良い選択肢になると思う。

しかし明確な魅力も存在する。ポルシェ・エクスクルーシブが仕上げたスタイリングには、高い訴求力があることは間違いない。

タルガ4Sでも、備えるパフォーマンスを一般道で最大限に発揮することは難しい。クーペとの走りのトレードオフは、ごくわずかな範囲に留まっている。

標準のタルガ4Sの英国価格は、10万9725ポンド(1645万円)から。ヘリテージ・エディションに2万6918ポンド(403万円)の追加費用を支払う価値を見いだせるかどうかは、ポルシェ911の歴史に対する思い入れやお財布事情によるだろう。

そして、向かう先々で多くの人の注目を集めることを、どう感じるかにも。

ポルシェ911 タルガ4S ヘリテージ・エディション(英国仕様)のスペック

価格:13万6643ポンド(2049万円)
全長:4519mm
全幅:1852mm
全高:1297mm
最高速度:304km/h
0-100km/h加速:3.6秒(スポーツクロノ・パッケージ)
燃費:9.3km/L
CO2排出量:245g/km
車両重量:1675kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/6500rpm
最大トルク:53.9kg-m/2300-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

2件
  • んー、まあ気持ちはわかるけど
    いかんせんボディがデカ過ぎるしATはねー
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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