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デビュー30周年、レガシィの今──スバル レガシィ アウトバック試乗記

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デビュー30周年、レガシィの今──スバル レガシィ アウトバック試乗記

スバルの「レガシィ」が、今年、デビュー30周年を迎えた。日産「スカイラインGT-R」、マツダ「ユーノス ロードスター」、トヨタ「セルシオ」がデビューするなど、日本車史上1番の豊作の年として記憶される1989年に、レガシィもデビューしたのだ

水平対向ターボエンジンがハイパワーを誇り、それを4WDによって余すところなく路面に伝えるのが最大のセールスポイントだった。実は、前身の「レオーネ」の時代から水平対向ターボエンジン+4WDというパッケージはあったが、レガシィはレオーネと違ってカッコよかった。

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また、スバルにとって“WRC”といえば「インプレッサWRX STI」の印象が強いが、スバルが初めてWRCで優勝したのは1993年のレガシィだった。ドライバーはコリン・マクレーである。

ハイパワー4WDであるのにくわえ、レガシィは当時の日本車としては珍しくセダンのほかツーリングワゴンのボディ・タイプも設定された。4WDのおかげでオン/オフ問わず高い動力性能を備え、パワフルで、かつユーティリティー性能も高いという、これまでになかったジャンルを確立したレガシィツーリングワゴンは、たちまち人気モデルになった。

レガシィツーリングワゴンの成功を受けて、国産ライバルメーカーはどこも自社のセダンをベースにあわててワゴンを仕立て、スバルを追従した。1990年代、日本にツーリングワゴンブームをもたらしたのは間違いなくレガシィの功績だ。

そんなレガシィの現行モデルは6世代目である。1~4世代目まで国情に合わせたサイズを守ってきたが、5世代目以降、販売台数で大きく日本を上まわる北米市場を強く意識した結果、サイズアップした。このほどニューヨーク・ショーで7世代目がお披露目されたものの、今しばらくは6世代目の販売が続く。そういうわけでとくに新しいモデルではないが、デビュー30周年を記念し、久々にレガシィを試した。

選んだのは、「レガシィ アウトバック」。ツーリングワゴンのロードクリアランスを高め、オフローダールックに仕立てたモデルだ。B4(セダン)、ツーリングワゴンに続く“第3のレガシィ”といった位置づけのモデルだったが、現行モデルはツーリングワゴンが設定されないため、アウトバックがツーリングワゴンも兼ねている。

搭載するエンジンは2.5リッター水平対向4気筒(最高出力175ps/5800rpm、最大トルク235Nm/4000rpm)。ターボエンジンは設定されない。トランスミッションは例によってCVTのみで、MTの設定はない。先代レガシィや現行「レヴォーク」に搭載される2.0リッター直噴ターボというパワフルなエンジンがあるにもかかわらず、搭載しないのは不思議で残念だ。レギュラー仕様なのはありがたい。

プラットフォームすこし古い。「インプレッサ」や「フォレスター」など、最新のスバル車は評判のよい新世代プラットフォームの「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」を使って開発されるが、アウトバックはひと世代前のプラットフォームだ。このため、端的に言えば、スタッドレスタイヤを装着していたことを差し引いてもやや大味だった。

ただし“鷹揚”と、表現出来なくもない。乗り心地は実に良好だ。飛ばしたり曲がったりすると新世代プラットフォーム採用車の安定感が恋しくなるものの、街中を流れに乗って走行する分にはなんの不満もない。

高速道路で前が空いたとき、アクセルペダルを深く踏み込んでみるも、マイルドな加速に終止する。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)をうまく使えば、数100kmにわたって連続運転したって疲れ知らずだろう。走りのほか「曲がる」「止まる」についてとくに注文はない。

モデルライフの終盤に差し掛かったレガシィ アウトバックは、だからといって内外の最新ライバルと比べても大きく見劣りする部分は見当たらない。「アイサイトバージョン3」を使ったADAS(先進運転支援装備)は最先端をいく。

ただ、かなり大人向けのクルマになったという印象を得た。デビュー30周年を迎えたクルマはユーザーとともに年齢を重ねていくものなのかもしれない。ただかつてのやんちゃなレガシィも恋しい。今、それはレヴォーグの役割なのかもしれないが。

ともあれ30周年おめでとう。

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