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新型は初のハイブリッド化!! スイスポはなぜ誕生した? 発売開始から20年の歴史を振り返る

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新型は初のハイブリッド化!! スイスポはなぜ誕生した? 発売開始から20年の歴史を振り返る

 かつて、その速さからイエローブレット(黄色い弾丸)と呼ばれ、ラリー界を震撼させたスズキ スイフトスポーツ。2023年で登場20周年を迎えたスイスポだが、今の地位を得るまでに辿ってきた進化の歴史を今一度振り返ろう。

※本稿は2023年5月のものです
文/片岡英明、写真/SUZUKI、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年6月10日号

新型は初のハイブリッド化!! スイスポはなぜ誕生した? 発売開始から20年の歴史を振り返る

■伝説前夜。すべてはここから始まった

HT81S。多くの方がこのモデルを初代と見ているが、スズキによると初代スイスポはZC31Sからであることがわかった。しかしスイスポの歴史を語るうえでこのモデルは外せない

 スズキは1980年代に生み出したカルタスの時代から痛快なホットハッチを設定している。サーキットでも大暴れした「GT-i」がスイフトスポーツのルーツと言えるだろう。

 だが、今につながるスイフトスポーツ伝説の幕開けは2000年2月に登場したスイフトである。GMグループの世界戦略車で、ベースは軽カーのKeiだ。海外では「イグニス」を名乗った。

 この時期、スズキはイグニスでジュニアWRCに参戦している。2004年には圧倒的な強さでチャンピオンに輝いたが、それに先立って日本ではイグニスS1600風のエアロパーツを装着したスイフト1.5スポーツを発売している。

 心臓はパワーアップした1.5LのM15A型直列4気筒DOHCだ。これにクロスレシオの5速MTを組み合わせ、小気味よい走りを披露した。レカロ製バケットシートを装備した内装もスパルタンだ。

■型式も新たにスイフト刷新。スイスポも大幅に進化して登場!

初代スズキ スイフトスポーツ(ZC31S)。ラリーでの知見を市販車に反映させた初代。型式もHTからZCとなるなど大進化を遂げた

 そして2005年10月にスイフトがモデルチェンジし、9月には新世代のスイフトスポーツが鮮烈なデビューを飾っている。

 ジュニアWRCで得られた技術とノウハウを駆使して開発され、デザインだけでなくプラットフォームやサスペンションも新設計だ。ポテンシャルを大幅に高め、それまでと違う「ZC31S」の型式も与えられている。ちなみに日本仕様は利便性の高い5ドアがベース車だ。

 新たな船出をしたスイフトスポーツは、M15A型エンジンのストロークを5mm伸ばして排気量を1586ccとしたアルミ合金製のM16A型直列4気筒DOHCを積んでいる。

 吸気側に採用した可変バルブタイミング機構のVVTを最適化するとともにアルミ鍛造ピストンを採用し、プレミアムガソリン指定で圧縮比も高めている。ユーザー層を考えて冷却性能も向上させた。

■ラリーでも活躍した「浜松の韋駄天」

 最高出力は125ps/6800rpm、最大トルクは15.1kgm/4800rpmだ。トランスミッションは5速MTと4速ATを設定し、5速MTは2速から5速までのギアをクロスさせて、全域で力強さを増した。

 ボディも剛性アップし、サスペンションは新設計だ。フロントはマクファーソン・ストラット、リアはスズキとしては初めてトーションビームを採用した。ダンパーはテネコが手がけたモンローブランドで、ブレーキは4輪にディスクをおごっている。

 開発時に、ヨーロッパの道路を徹底して走り込んだからハンドリングはスポーティな味わいだ。コントローラブルで、狙ったラインに乗せやすい。後期型では足に改良を加え、挙動安定制御システムのESPも標準装備とした。走りの質感が高く、コスパも優れていたから新しいファンの開拓にも成功したのだ。

●初代の特徴

 鍛造ピストンを採用し高圧縮化/テネコ社製ダンパーを採用しサスも専用セッティング/4輪ディスクブレーキ化/車体剛性アップ。

・全長×全幅×全高:3765×1690×1510mm
・ホイールベース:2390mm
・車重:1060kg(5MT)
・排気量:1586cc
・エンジン形式:直列4気筒DOHC
・最高出力:125ps/6800rpm
・最大トルク:15.1kgm/4800rpm
・トランスミッション:5MT/4AT

■最後のNA搭載スイスポ、各部正常進化!

2代目スズキ スイフトスポーツ(ZC32S)。NAエンジン世代、いわば第一世代スイスポの最終系。速さも実用性もバッチリ兼ね備えていた

 それからモデルチェンジで「ZC32S」にバトンタッチするのは2011年11月だ。先代の評判がよかったため、デザインもメカニズムもキープコンセプトで登場した。エクステリアは大開口の逆台形グリルが特徴で、タイヤとホイールは17インチサイズになる。

 インテリアは、マルチインフォメーションディスプレイを組み込んだシルバーリング付きのメーターが特徴だ。プッシュスタート、クルーズコントロール、専用スポーツシートなども採用し、利便性を高めたこともアピールした。

 M16A型直列4気筒DOHCエンジンは吸気VVTのバルブリフト量を増やし、新たに可変吸気システムも導入する。また、冷却システムも改善した。

 きめ細かい改良により、最高出力は先代より11ps引き上げられた136ps/6900rpmに、最大トルクも16.3kgm/4400rpmに引き上げられている。待望の6速MTに加え、7速パドルシフト付きCVTが登場したのも話題となった。

 サスペンションの基本設計は同じだが、剛性アップとサスペンションの改良、軽量化などによって気持ちいい走りに磨きがかかった。また、乗り心地も向上させている。

●2代目の特徴

 可変吸気システムを採用し低・中速域のトルクを上昇/先代と比べて11psアップの136psを達成/6MT採用など……

・全長×全幅×全高:3890×1695×1510mm
・ホイールベース:2430mm
・車重:1050kg(6MT)
・排気量:1586cc
・エンジン形式:直列4気筒DOHC
・最高出力:136ps/6900rpm
・最大トルク:16.3kgm/4400rpm
・トランスミッション:6MT/CVT

■ターボ化とワイドトレッドでスイスポの走りは新次元へ

3代目スズキ スイフトスポーツ(ZC33S)。これぞまさしく日本のライトウェイトスポーツ。20年間たゆまず進化し続けたスイスポだから辿り着いた、ホットハッチの究極の形!

 そして現行型の「ZC33S」が登場するのは2017年9月だ。最大のニュースは、トレッドを広げるためにフェンダーを膨らませて全幅を1735mmとしたことである。初めて3ナンバー枠に踏み込み、同時にパワーユニットも刷新した。

 選んだのはブースタージェットと名付けた1371ccのK14C型直列4気筒DOHC直噴ターボだ。

 最高出力は140ps/5500rpmだが、最大トルクは23.4kgm/2500~3500rpmに増強され、刺激的な加速を楽しめるようになった。6速MTは小気味よくシフトでき、CVTからダイレクト感の強い6速ATに変わったから2ペダル車も走りは痛快。

 ターボの搭載もあり、モンロー製ダンパーなどの味付けも変えた。切れ味鋭いハンドリングを損なうことなく、意のままに操れる領域を広げている。一連の動きはリズミカルで、懐が深い。デュアルセンサーブレーキサポートや車線逸脱抑制などをセットにした。

 代を重ねるごとに進化を遂げ、操る楽しさを追求してきたホットハッチ、スイフトスポーツのさらなる進化を大いに期待したい

●3代目の特徴

 エンジンは1.4Lターボ化/HEARTECT採用により車重は970kgまで減量。1tの壁を切る/ワイドトレッド化など……

・全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm
・ホイールベース:2450mm
・車重:970kg(6MT)
・排気量:1371cc
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・最高出力:140ps/5500rpm
・最大トルク:23.4kgm/2500-3500rpm
・トランスミッション:6MT/6AT

■そして2024年春、伝説は新章を迎える!

次期型スイスポは基本フォルムを大きく変えず、正常進化すると見られる

 登場から20年、スイスポは常に己にしかない速さと魅力を追求し走り続けてきた。そして、その歩みが止まることはない。

 ベストカースクープ班によると、次期型スイスポが2024年春頃に登場する! 気になる進化点だが、パワートレーンは1.4L直4ターボに48Vマイルドハイブリッドが組み合わされる。

 ボディサイズは全長3990×全幅1750×全高1500mmとわずかにひと回り大きくなると見られるが、車重はトン切りを死守すべく、990kgに抑えると見られる。

 次期型スイスポもまた、ファンを盛り上げる一台となるのは疑いようもなく、そしてそのバトンを受け継ぐ日は近い。スイスポよ、永遠なれ!

●4代目スイフトスポーツ 予想諸元表
・全長×全幅×全高:3990×1750×1500mm
・ホイールベース:2500mm
・車重:990kg
・排気量:1371cc
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ+モーター
・エンジン出力:140ps/24.0kgm
・モーター最高出力:13ps
・トランスミッション:6MT/6AT

【番外コラム】スイフトスポーツ20年の足跡

・2000年2月
 HT51S型スイフト発売

・2003年6月
 HT81S型スイフトスポーツ発売。車両価格は119万円

・2004年
 JWRC(ジュニア・ワールド・ラリー選手権)にてパー・ガンナー・アンダーソンがスイフトスポーツを駆りドライバーズチャンピオンを獲得する

・2005年9月
 HT81S型スイフトスポーツが終売

・2005年10月
 フルモデルチェンジされ、初代スイフトスポーツ(ZC31S型)発売

・2006年
 スズキのJWRCマシンもZC31S型に進化する

・2006年12月
 限定モデル「リミテッド」を1000台のみ発売

・2007年5月
 一部改良。エンジンなどの改良によりレブリミットを引き上げ

・2007年12月
 特別仕様車「Vセレクション」を発売。後日、さらに「Sリミテッド」も追加し発売する

・2009年5月
 一部改良。ボディ色などを変更

・2010年1月
 スズキの四輪車国内累計販売台数2000万台達成を記念した「Fリミテッド」を発売。車両価格は170万1000円から

・2010年9月
 初代スイフトスポーツ終売

・2010年
 JWRCの終了が決まったためスズキスイフトスポーツ参戦も最終年を迎える。スズキのアーロン・ブルカルトが奮戦し、最後のJWRCドライバーズチャンピオンを獲得した

・2011年11月
 フルモデルチェンジ。2代目スイフトスポーツ(ZC32S型)発売

・2015年11月
 一部改良し2型となる。ボディ色の整理を行った

・2016年12月
 2代目スイフトスポーツ終売

・2017年9月
 3代目スイフトスポーツ(ZC33S型)発売。スイフトスポーツ史上初のターボ、かつ3ナンバー車となる

・2018年7月
 GPSアンテナなどの装備をメーカーオプションに追加する

・2020年5月
 一部改良。安全装備を充実させた2型へと進化する

・2022年9月
 一部改良。型番も3型となる

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みんなのコメント

13件
  • carview!もコテハンかID制にしてひとつの記事に対して1度しか書き込めないようにしてほしい。
    連投と自作自演が多すぎるよ。
    あと、トヨタと仲良くしているメーカーとレクサスって荒れるんだよねえ。
  • 初なの?
    ヨーロッパ向けは既に48Vマイルドハイブリッドでしょ??
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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