現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > ポルシェ、963 LMDhの改良版ツインターボV8投入計画を破棄か。マシン耐久性向上により“低振動”エンジンが不要に

ここから本文です

ポルシェ、963 LMDhの改良版ツインターボV8投入計画を破棄か。マシン耐久性向上により“低振動”エンジンが不要に

掲載
ポルシェ、963 LMDhの改良版ツインターボV8投入計画を破棄か。マシン耐久性向上により“低振動”エンジンが不要に

 ポルシェはファクトリーチームであるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツと、カスタマーチームが現行963 LMDhで高い信頼性を示していることから、マシンのアップデート投入を見送るようだ。

 ポルシェの963プロジェクトマネージャーであるウルス・クラトレは、今季マシンの耐久性が向上したことで、ハイブリッドシステムの信頼性を高めるため、振動を抑えるよう設計された新バーションのツインターボV8エンジンの必要性がほとんどなくなったと説明した。

■2024年は実現しないけど……ベッテル、来年以降ならポルシェでル・マン参戦の可能性あり? ネックはF1マシンとの”重量差”

「もしかしたらキャンセルされるかもしれない」

 クラトレはmotorsport.comにそう語った。

「ル・マンに行って、振動に起因するような問題がなければ、おそらく導入は見送られるだろう」

「今年は全てのレースに参戦し、信頼性の問題はなかった。ならどうして投入する必要があるのか?」

 6月のル・マン24時間レースに向けて新エンジンを投入するという当初の計画は頓挫したが、クラトレは3月の世界耐久選手権(WEC)開幕戦の際、今季のあるポイントで改良型V8エンジンを実戦配備すると示唆していた。

 LMDh車両に標準装備されるハイブリッドシステムに信頼性の問題が生じたため、ポルシェは昨年、新バーションの4.6リッターV8エンジンの開発に着手した。


 963には、プラグインハイブリッドの市販車である918の自然吸気4.6リッターV8をベースとしたエンジンが搭載されている。ただ、180度クランクシャフト(フラットプレーン・クランクシャフト)の振動がマシン信頼性の低さにつながっているとポルシェは考え、90度クランクの新型エンジンの開発に着手することとなった。

 しかしハイブリッドシステム、特にボッシュ・モータースポーツが供給するモーター・ジェネレーター・ユニット(MGU)に昨シーズン終盤から改良が加えられ、963はより信頼性を増した。

 PPMは1月に行なわれたIMSAスポーツカー選手権の開幕戦デイトナ24時間レースで優勝を飾り、その際もハイブリッドシステムには何の問題も発生しなかった。

 ポルシェがル・マンで新エンジンを搭載する計画を推し進めなかったのは、先月のWECイモラ戦までに投入する必要があったため。

 WECの主催者であるFIAとACO(フランス西部自動車クラブ)は、ル・マンの前の2レースで、ポルシェの新エンジンがバランス・オブ・パフォーマンス(BoP/性能調整)に与える影響を評価したいと考えたのだ。

 加えて、LMDh規則では単独のホモロゲーションしか認められておらず、WECに参戦する5台、IMSAに参戦する4台の963に同時に導入する必要がある。

 そうなると、ポルシェとしてもル・マンを前にエンジンを検証するために必要な耐久テストを実施する時間が無いこととなる。

 クラトレは、ロジスティクス上の問題も、新エンジンの投入が見送られた理由だと説明した。

「投入前に耐久テストを行なう必要があり、それは多額の費用がかかる」とクラトレは言う。

「両シリーズで同時に全マシンへ投入し、スペアエンジンを全て生産するとなると大変な労力だ」

 なお新エンジンはテストベンチにかけられたものの、実車に搭載した状態で走行は行なっていないとクラトレは認めた。

こんな記事も読まれています

次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村