見た目とのギャップが痛快な本格サーキットスペック
RB26用GT-SSタービンをオーバーヘッドマウント!
「リターン組オーナーの情熱が注がれたS13シルビア改」往年のワークススタイルで魅せる!
富士スピードウェイを主戦場に定め、走り込みを続けるJZX100マークIIの登場だ。製作したのは、トヨタ車チューンに強い“エルドオートサービス”。
この仕様が製作された当時、1JZチューンを進めていく上でネックとなっていたのがタービンラインナップの少なさだった。世に出回っているキットはどれもビッグシングル系ばかり。
しかし、エルドが求めたのはハイレスポンスだ。ターボラグが激しく、駆動系に負担がかかるような過度のパワーも必要ない。そこで熟考を重ねて選び抜いたのが、第二世代GT-R用のポン付けとして定番のHKS GT-SSタービンだった。
装着にあたっては、EXマニをワンオフ製作した上で、RB26DETT用のGT-SSタービンをオーバーヘッドマウント。限られたスペース内で、ミドルサイズのアクチュエーター式タービンを2機配備するのは相当苦労したそうだが、ロングインテークを含めたエンジンルームのインパクトは絶大だ。
なお、エンジン本体は腰下ノーマルのままヘッドにバルコンを投入。非常にライトな仕様だが、RB26と1JZは排気量が近い上に1JZには可変バルタイ機構が備わっている。そのため、GT-SSツインターボとのマッチングは非常に良好で、低回転域からレスポンスよくターボパワーが立ち上がる仕様が完成したそう。最高出力は最大ブースト1.4キロ時に450psだ。
また、ツインターボ化に合わせてタービンのウォーターラインやブローバイの配管はアルミチューブを使ってワンオフ製作。製作には手間暇がかけられているが、熱害対策はもちろんエンジンルームの美観を向上させる効果も非常に大きい。
足回りは、エルドオリジナルのエスカレーション車高調を軸に構築。これは別タンク式のハイエンドモデルだ。ホイールはワークエモーションCR極(18×9.5J)で、タイヤにはフェデラルFZ-201(F235/40-18 R265/35-18)をセット。
一方のブレーキも、重量級ボディを確実に止めるためにプロジェクトミューのキャリパーキットを前後に装備する。
サーキット専用スペックということもあり、コクピット周りはシンプルかつ機能製を重視してメーターやブーストコントローラーを配置。内装パネルはもちろん、エアコンやオーディオなどの快適装備も全て撤去されている。ミッションはR154だ。
2ドアスポーツレベルのボディ剛性を求め、ルーフの内張りまで全て剥がした上でフル溶接ロールケージを投入。メインアーチとフロント&リヤバーは各ピラーにガゼットプレートを介して固定し、さらにオリジナルの補強バーも追加。剛強ボディを作り上げているのだ。
純正バンパーカットの前置きインタークーラー仕様という面構えは往年の神奈川仕様を思わせるが、アンダー部にはダウンフォース増強のために3ミリ厚のFRP製アンダーパネルを設置。固定はバンパーとリップを貫通する長ネジでフレームに直接接続している。
パッと見はどこにでもいそうなドリ車だが、その実は、強靭なボディにハイレスポンスなパワーユニットを詰め込んだ生粋のサーキット仕様。実にウィットに富んだチューンドだ。
●取材協力:エルド・オートサービス 東京都八王子市鑓水83-1 TEL:0426-78-7325
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