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大手タイヤメーカーはどう考える? 物流業界の課題解決に向けた「ミシュラン」「ダンロップ」の取り組み

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大手タイヤメーカーはどう考える? 物流業界の課題解決に向けた「ミシュラン」「ダンロップ」の取り組み

■物流業界の課題や2024年問題への対する提案が見られた「ジャパントラックショー2024」

 大手トラックメーカー、架装メーカー、サプライヤー、ソフトウエア関連企業などが多数出展する展示会「ジャパントラックショー2024」が、5月9日~5月11日にパシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催されました。同ショーは2年に一度に行われており、今年は開催年にあたります。

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 ジャパントラックショーでは、普段は間近で見ることができない実車が数多く展示されて注目を集めるほか、業界向けの各種ソリューションも紹介され、見どころが多いのが特徴です。

 特に今回のショーでは、迅速な対応が求められる「人材不足」「環境対策」「2024年問題」などへの提案が目立ちました。

 それらの課題解決は容易ではありませんが、各メーカーはさまざまな方法で対応を行っています。トラックの足元を支えるタイヤメーカーも例外ではありません。

 昨今では、エコカーに転がり抵抗が良いタイヤを選ぶことは、多くのユーザーの常識となりつつありますが、トラックの世界でもそれは同じです。少しでも燃費を良くして、環境に優しい「サステナブル(持続可能)な輸送」を目指しています。

 大手タイヤメーカーのミシュランとダンロップも、タイヤメーカーらしいアプローチでジャパントラックショーへの展示をおこなっていました。

■ミシュランは環境負荷低減と2024年問題対策を展示テーマに

「すべてを持続可能に」という企業ビジョンを掲げている日本ミシュランタイヤ(ミシュラン)は、物流業界の課題に対するサステナブル製品および、タイヤマネジメントサービスの紹介と展示を行いました。

 ミシュランブースの展示テーマは、タイヤメーカーとしていかに輸送業界における環境負荷を低減できるか、そして2024年問題に伴う人材不足の課題についてどう取り組むことができるかの2点です。環境負荷低減に対しては、転がり抵抗が少ない省燃費タイヤ、耐摩耗性の高いタイヤ、かつ安全なタイヤを提案しました。

■日本初公開の「サステナブルタイヤ」の量産プロトタイプを展示

さらにミシュランでは、少しでも長くタイヤを使用できる方法論として「リユース」「リサイクル」「リニュー」「リデュース」のサイクルによる「4R」を提唱していました。

「リユース」では、タイヤの溝を彫り直す「リグルーブ」、そのタイヤが減ったら表面に新しいゴムを貼り直す「リトレッド」によってタイヤの寿命を延長できます。会場ではタイヤにリグルーブを実施する実演も好評で、多くの来場者が注目していました。

 そのほか、トラックでは通常ダブルタイヤとなるリアタイヤをワイドタイヤでシングル化した「MICHELIN X ONE」も展示していました。タイヤ・ホイールが減る分の重量削減による積載量の向上・タイヤ交換時のメンテナンス負荷低減・廃棄するタイヤの削減を図れるため、経費節約・環境負荷削減に寄与します。

 さらに同社ブースでは、原材料にサステナブル素材を58%使用したデモンストレーションタイヤを日本で初めて展示しました。このタイヤで重要なのは、市販用タイヤとして2025年以降に量産する予定がある、いわば量産プロトタイプであること。さまざまなメーカーがサステナブル素材のタイヤを開発する中で、単純にサステナブル素材の含有率を高めることは可能ですが「それで市販タイヤとしての性能が担保できるかは別問題」とミシュランの担当者は語ります。

 ミシュランでは、公道を走行できるレベルかつ、サステナブル素材58%使用という数値を達成したタイヤの開発に成功しました。今後ミシュランでは、サステナブル素材の原材料比率を2030年までに平均40%、2050年までに100%にすることを目標にしており、このデモンストレーションタイヤは、その道筋を示すタイヤといえるでしょう。

 2024年問題に伴う人材不足については、運送会社が抱える「ドライバー不足改善」「ドライバーの定着」の課題を、ミシュランが事業者ごとに診断を行い、会社とドライバーの深い関係性(エンゲージメント)を向上させる「ドライバーサーベイ」を紹介していました。

 タイヤを長く安全に使うために、これまで多くの運送事業者が行っていたアナログ的なタイヤ管理に代わり、ミシュランがタイヤを管理する「ミシュランタイヤケア」も、タイヤ管理に伴う経費削減に貢献します。

■ダンロップとして初のジャパントラックショー出展

「ダンロップ」「ファルケン」ブランドを展開する住友ゴム工業も「ジャパントラックショー2024」に環境負荷低減タイヤ、タイヤメンテナンスサポートサービスなどの展示を行いました。なお住友ゴム工業では、ダンロップとして初のジャパントラックショーへの出展となります。

 展示テーマは、タイヤを通じて「お客さまのビジネスでの困りごとをサポートしたい」「持続可能な未来と安全・安心・快適なモビリティ社会の実現に向けた、私たちの描くイノベーションを知ってほしい」です。それに合わせ、ダンロップが現在および今後に提供できる可能な商品・サービス・価値を紹介していました。

■更生タイヤは大幅な省資源化とCO2削減を実現

 サステナブルなタイヤについては、一度使用したタイヤを再利用することで、資源と新品タイヤ製造時のCO2排出量を削減できる、環境に優しい「更生タイヤ」を紹介しました。使用済みタイヤをダンロップの販売会社や委託契約業者が回収し、更生タイヤ製造工場DRS(ダンロップ・リトレッド・サービス)に搬入してタイヤをリモールド、ユーザーの元に戻して再使用を可能とする「タイヤ委託構成システム」とともに紹介されていました。

 更生タイヤでは、新品タイヤに比べると製造に必要な資源を68%節約することができ、製造時のCO2発生量も50%以下を達成可能、とうたわれています。実際に更生タイヤの実物展示も行われていましたが、まるで新品と同じようなクオリティーです。見た目には、ニュータイヤか更生タイヤか見分けがつかないほどでした。

 経営課題の解決に関しても、ダンロップはタイヤメーカーらしいアイデアで対応します。「安全管理」「業務効率化」「コスト削減」「環境貢献」という4つのコンセプトに沿って、商品・メンテナンスをパッケージング化してユーザーをサポートする「エコスマートプラン(ESP)を提案していました。タイヤの寿命・燃費をアップさせるための適切なタイヤメンテナンスのサポートや、事業者ごと・車両の用途ごとに異なる最適なタイヤの選定をダンロップが行うサービスで、月ごとに変動しがちな「タイヤにまつわる支払い」を平準化することも可能としています。

 このほか、トラック・バス向けタイヤやホイールの内部にセンサーを装着して、空気圧の低下や温度異常を検知するセンサー「TPMS」、車輪脱落予兆・タイヤの空気圧・摩耗状態・荷重のほか、路面状態も検知できる住友ゴム独自のセンサーレスのセンシング技術「センシングコア」、同社が2013年以降進めてきたこれまでのサステナブルタイヤへの取り組み、および現在のサステナブルな原材料を使った製品開発など、多岐にわたる展示を行っていました。

 車体が大きなトラック・バスですが、その移動を支えるタイヤは1台あたりの装着本数も多く、サイズも巨大です。それだけに、環境問題やタイヤメンテナンスに関わる人材確保・コスト問題などは無視できません。ミシュラン・ダンロップ共に、タイヤ本体で解決できる技術といった「ハード面」だけでなく、事業者に向けた「ソフト面」であるメンテナンスサービスなどを用意していることがとても印象的でした。

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