生産を終了するNSX。そのメカニズムは世界に多くの追随者を産んでいる
第2世代(NC)のNSXが、その短い歴史に幕を下ろそうとしている。1990年に登場し、都合16年にわたって作り続けられた1stモデル(NA)は、モデルライフ中も、そして生産を終えてからはいっそう高く評価された。1st・NSXは、世界中のスーパースポーツの商品性を高め、品質を画期的に向上させた偉大な存在だった。
新型シビック・タイプRはニュル最速を目指して大幅進化、熟成の赤バッジだ!
1stモデルが与えた衝撃が大きかったゆえ、2ndモデルにはNSXの名前が重圧だったのだろうか。
10年間の紆余曲折があって、2016年に登場したNSXは、2+1モーターの先進的なハイブリッドシステムを組み合わせた縦置きV6パワートレーンを搭載。ミッドシップの4WDスーパーカーとして誕生した。アメリカホンダ主導で企画/開発/生産が行われ、第1世代と同様に多くのスーパーカー・ブランドに影響を与えた。
日本での販売価格は2000万円を超えたが、10年間に及ぶ断絶と日本経済の低迷こそが、日本人に「高い!」と感じさせた要因だった。その内容を仔細に観察すれば、決して高い買い物でなかった。
NSXは、残念ながら2022年末をもって生産を終える。時代に先駆けて登場したにもかかわらず、わずか6年でモデルライフを終えるとは! なんともったいない話であることか。
ホンダという国際ブランドの中長期にわたる経営戦略が、NSXの生産終了というスーパーカー・ファンにとっては最悪のシナリオを描かせた。もちろんホンダはこれでスポーツカーを諦めたとは公言していない。むしろ未来に向け、新たなカタチ(電動化!?)で提案し続けることを宣言している。
けれどもスポーツカービジネスは継続こそが力になる。歴史の途絶えた状態からの再興は非常に難しい。ホンダはそれをよく知るメーカーである。それにもかかわらず、生産中止を最終決断したのだ。筆者にとって、にわかには信じがたいことでもあった。
何しろ世界はいま、NSXに追いつこうとしている。スーパーカー・ブランドがこぞってV6エンジンを新開発し、ターボチャージャーと電気モーターを付加する技術でマルチシリンダー時代よりも高性能を手に入れている。フロントアクスルに2基のモーターを組み込み、エンジンとミッションに組み込まれたもう1基のモーターとともに集中制御する先進性は、2nd・NSXのデビューから遅れること数年、イタリアの雄がよく似たシステム構成のミッドシップスーパーカー(フェラーリSF90)をようやく商品化したことからもうかがえる。まもなく消えるNSXの先進性を評価して、これをしすぎるということはない。
タイプSはNSXの頂点。圧倒的なドライビングファン
ホンダはこの歴史的スーパーカーに惜別の花道を用意した。高性能グレードのタイプSである。世界限定350台。日本販売はわずかに30台だ。
NSXには、おそらくは積極的なマイナーチェンジプロジェクトが存在したのだろう。開発のメイン部隊が日本に戻されて以降、NSXは着実にスーパーカー・ファン好みのパフォーマンスを手に入れていた。結果的にラストモデルとなるタイプSではそれが一気に花ひらいた。
タイプSに対し、開発陣から「第2世代の完成形」という説明があった。そういわざるを得なくなったことが、なんともやるせない。想像するにタイプSはNSXとしての正常進化を模索した結果であり、それがそのままより高みを目指すための橋頭堡(きょうとうほ)になるはずだった。完成形などではなく通過点だったはずだ。
タイプSは、パワー、空力、軽量化。すべてにおいて性能アップが図られている。エアロダイナミクスに関しては追加モデルとは思えないスタイリングの変更で一目瞭然だろう。パワートレーンはエンジン単体のみならずバッテリーパフォーマンスやトランスミッション性能も引き上げられた。エンジンサウンドの調律も徹底的に行っている。併せて制動パワーや冷却性能も向上した。ピレリPゼロ専用タイヤの採用もニュースのひとつだ。
もうすでに完売御礼のマシンだが、ホンダは公道走行可能な個体(000/350、すなわち限定枠外の非売品)を用意してくれた。幸運にも標準仕様と同じ舞台(一般道)で比べながらテストドライブを行った。両車の違いは明確だ。
そもそも最新の標準車でも初期に比べてハンドリング性能に意のまま感が増し、ミッドシップカーらしい操る楽しみが生まれていた。タイプSではそれに輪をかけて操る喜びが実感できる。一体感が明らかに増しており、電気モーターとV6エンジンの統合感もはっきりと上。電気の使い方が明らかに進化している。結果、車体をより小さく感じ、数字以上の軽さを味わいつつ、切れ味鋭い変速を楽しみながら、ワインディングロードを駆け抜けた。
これぞ正にNSX。最後のタイプSになってようやく2ndモデルは1stモデルに連なる究極のドライビングファンを手に入れた。
ホンダNSXタイプS主要諸元
グレード=タイプS
価格=9DCT 2794万円(販売終了)
全長×全幅×全高=4535×1940×1215mm
ホイールベース=2630mm
トレッド=フロント:1665×リア:1635mm
乾燥車重=1790kg
エンジン=3492cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=389kW(529ps)/6500~6850rpm
最大トルク=600ps(61.2kgm)/2300~6000rpm
モーター最高出力=フロント:27Kw(37ps)×2/リア:35Kw(48ps)
モーター最大トルク=フロント:73Nm(7.4kgm)×2/リア:148Nm(15.1kgm)
システム最高出力=449kW(610ps)
システム最大トルク=667Nm(68.0kgm)
WLTCモード燃費=未公表(燃料タンク容量59リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:ウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:245/35ZR19/リア:305/30ZR20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=2名
最小回転半径=5.9m
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