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【試乗】スポーツカー好き納得のトヨタ新型スープラ! 悩ましいのはグレード選び

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【試乗】スポーツカー好き納得のトヨタ新型スープラ! 悩ましいのはグレード選び

 どのグレードも納得のスポーツ性を備えている

 プロトタイプモデルなど情報が小出しにされてきたが、やっと本ちゃんの市販モデル「GRスープラ」に一般道で試乗できたのでリポートしよう。

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 走った道は、直線路が少ない感覚を得たが、ハンドリングの確認にはうってつけの伊豆のワインディング。乗ったグレードは、設定されている全3グレード。それぞれの特徴も踏まえながら、バイヤーズガイド的に案内していこう。

 まずトップグレードは3リッター直列6気筒エンジンを積む、690万円のRZ。逆にベーシックグレードには2リッター直列4気筒エンジンを積み490万円のプライスが与えられたSZ。その中間に、SZと同じ2リッター直列4気筒エンジンではあるが、ハイプレッシャーターボにして出力とトルクを増強させたSZ-Rが590万円である。グレード毎にわかりやすい100万円差の価格設定だが、果たしてそれぞれのグレードの価値は? お買い得グレードはどれか?

 散々グレード表現をしておいて今さらだが、このGRスープラにおいてはタイプと表現したほうがいい。なぜならRZ、SZ-R、SZの乗り味が三者三様である上に、それぞれが走り好きの心を”質違い”でとらえる魅力を備えているから。なのでスポーツカーに何を求めるかで、買うべきタイプが変わると言うこと。

 まず安心してほしい。どのタイプを選んでも並みのスポーツモデルでは体験ができない路面への貼り付き感や、ハンドリングの素直さは備えている。さらにスポーツタイプと捉えれば充分すぎるレベルでの快適性、とくに突き上げの少なさもある。イメージとして、快適性を得意とするトヨタDNAと、走りを得意とするBMWのDNAが良い形で混ざった優等生ハーフモデルといったところ。

 その作り、フロント部のアウタースキンに相当するボンネット、フェンダー、さらにはドアパネルに加えて、クルマの芯となるフロントフレームをアルミ化してフロントセクションを徹底的に軽量化した効果だろう、ハンドル操作に対して軽快かつ俊敏に曲がる。加えて前後重量バランス50:50の効果により、旋回中のバランスが整っており、曲がりながらうねり路面に車体が“あおられて”もハンドリングの素直さが乱れないのが特筆すべき魅力。

 これが基軸に担保されるので、どれを選んでもハズレはないが、タイプ毎に質は異なるので核心に触れて行こう。

 もっとも一体感を味わえるのはエントリーグレードのSZ

 考慮すべきは3つある。

 まず1つ目はカッコよさ。いぶし銀のような渋めのカッコよさを狙うならSZの17インチ。わかりやすいスポーツ性なら、19インチホイールで赤い対向ピストンキャリパーがついたRZ。その中間の18インチを履いたSZ-Rが無難とも言えるが、ボディやエアロパーツがすべて共通なので、述べたホイールとキャリパーまわりの見た目で選ぶのも良いし、買ってからクルマをいじる方は、ベースボディは全部一緒なので気にすることもない。

 2つ目に意識すべきはやはりエンジン。ここが悩みどころで、速さだけを捉えたら、迷わず3リッターの直列6気筒エンジン。排気音も気持ち良いし、トルクも馬力もあり、しかも回転振動少なく吹き上がる直6らしい官能的な特性まであり、気持ち良さは段違いに直4の上を行く。しかしあまりにもパワフルすぎて一般道では使いこなせないのが気になるところ。

 それでいえば、2リッターの直列4気筒エンジンのハイプレッシャーターボ仕様となるSZ-Rの実力が、排気音、加速感、レスポンスすべてにおいて使いこなしやすくちょうど良い。ちなみに同じエンジンのロープレッシャーターボのSZも日常使いでは十分に速いが、サーキットなどクローズドコースでは若干吹き上がりや力強さ、伸び感による気持ち良さが不足しそう。

 最後、3つ目の特徴がもっとも悩ましくクルマ選びを左右するはず。まずシャシーバランスがもっともよく、気持ちよく軽快に曲がれるのが一番安価なSZ。直4のエンジンの軽さと、ランフラットタイヤの17インチタイヤがシャシーとの相性が良く、さらには電子制御ではないノーマルサスによりクルマに何が起きているか直感的にわかり、走ってて気持ち良い。

 その上のSZ-Rになると、ランフラットではなくグリップレベルの高いミッシュラン パイロットスーパースポーツの18インチになり、さらに電子制御サスが賢く足まわりを調整するので、グリップ感が大きく高まるうえに、路面の凸凹でも跳ねにくくなり安定しだすし、ハンドル操作に従順にクルマが動くなど自在感も向上する。しかし、そこにSZで得られていた気持ち良い操り感は若干影を潜め出していた。イメージとしては、SZからSZ-Rになると、スポーツだけでなくグランドツアラー的な走りの質まで備えだす感じで、人馬一体的な世界はSZに軍配があがるわけだ。

 さて、もっとも高価なRZの味付け……もう予想つくのではないだろうか? そう、SZに対するSZ-Rの味付け方向の延長線上にRZはいる。当然3リットル直6なので圧倒的に速いうえに路面への張り付き感は高いのだが、車両姿勢と相談しながら走らすなど、操っている感はもっとも薄く、若干乗らされている感覚がある。そこには電子制御と19インチタイヤのグリップ力の高さなど、力技でクルマを前に進める直線番長的な質の乗り味が漂い、直列6気筒の官能的な吹き上がりや走行振動少なく洗練されたハンドリングなど直6らしい良さはあるが、総合的な味付けとしては直4エンジンの軽快感や意のまま感には敵わない。

 別にSZがお買い得ではないと言っているのではなく、パッケージとして実用性などを犠牲にする2ドアクーペとして踏まえたときに、自分であれば操り感や運転している感覚を大事に、低速でもそれらを感じられることを大事にする価値観から述べた内容と捉えていただけたら幸いだ。

 その視点だと、RZは、もっとドシっとさせてグランドツアラー系に明確に振るか、直6エンジン能力をフルに発揮しても車体が大きく姿勢変化しない足まわりの強化など、グランドツアラー色を消してピュアスポーツに振っても良いのでは? と思ったが…おそらくそれが後にGRMNスープラとして出るのではなかろうか……。

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