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ロードスター再考(最終回) 隠れた名車、BMW Z1に改めて試乗

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ロードスター再考(最終回) 隠れた名車、BMW Z1に改めて試乗

もくじ

ーBMW Z1 いったい何者なのだろう
ーZ1のボディ、どうなっている?
ーとにかく高い洗練性
ーインテリアはスリルよりも優雅さ
ー快活かつ快適 サポートも拡大中

実車画像 BMWコンセプトZ4 ペブルビーチ

BMW Z1 いったい何者なのだろう

このクルマに対し、単にBMWの賢い2シーター、と形容するだけでは言葉不足なのは間違いない。なぜなら疑いようもなくクールなドロップ-ドアこそが最大の特徴だからだ。

このクルマは伝説的な初代2シーター・ロードスターであるBMW 507以来、特別で革新的なプロジェクトを請け負ってきたテヒニーク社によって開発された。

プロジェクトがスタートしたのは1985年のこと。その翌年にはプロトタイプが完成した。

Z1のレイアウトの多くはBMWであることが認識できる。当初はミドエンジンが予定されていたのだが、最終的には325iに使用されていた172psの2.5ℓM20直列6気筒がボディ前方にマウントされ、後輪駆動という形をとった。

かなり馴染みのある組み合わせである。

しかしそれ以外はとてもラディカルだ。


Z1のボディ、どうなっている?

手始めにエアロダイナミクスから見ていくことにしよう。前後にベンチュリセクションが与えられ、リフトを防ぐために、流入したエアはバンパーとトランク部分の間から抜ける。

日常的な走行スピードにおける効果の程は議論の余地があるが、これこそがテヒニーク社の成し遂げたかった部分なのだ。

リアのサスペンションは開発の間ずっとトップシークレットとされた。Zアクスルと呼ばれるそれは、BMWの言うところの「セントラルアーム式の球形のダブルウィッシュボーン」

英国ではこのジオメトリーは、負荷の大きなコーナリング中においてもコントロールしやすく、ダイブを抑制する性質があるものとして説明された。

説明の締めくくりには、1987年のフランクフルト・モーターショーでのデビュー、ならびに1988年の販売が約束されていた。


とにかく高い洗練性

BMWは決して英国にとって重要な右ハンドルのモデルを作らなかったが、英国は重要な市場とみなされていただけに目が飛び出るほど高価な£36,925(627万円)で販売された。

325iの標準仕様よりも実に£15,000(255万円)高価な設定である。

適切な重みをもつステアリングと相まって、コーナリング時のバランスと確かな安定感を各媒体は高く評価した。

また今回リチャード・ヘッド氏が貸し出してくれた実車にも不快な微振動の気配はまったくなかった。

例えば仮にロータス・エリーゼやルノー・スポール・スピダーに乗った後ならば、BMWの高い洗練性に驚くはずだ。存在感のあるフロントエンドから、どこか特徴に欠けるリアエンドまで伸びるボディラインからも乗り味に通ずる落ち着きを感じる。


インテリアはスリルよりも優雅さ

ドアがあるべきところを跨いで乗り込むのには違和感を感じるし、インテリアの多くは3シリーズの流用なのだけれど、それでも3本スポークのステアリングホイールやバイクからインスパイアされたメーター周りのデザインなど、Z1に特別感を与える仕掛けは十分だ。

ナッパーレザーのシートもまたZ1を特徴づけるパーツのひとつで、ダッシュボードもやはり革で覆われていた。

またフードの開閉が簡単なこともこのクルマをオールラウンダーと呼べる大きな要因となっている。

このZ1に乗れば、ルノーやロータスなどのスリルと引き換えに、優雅さを手に入れられるはずだ。

直線では車重が足枷にはなってしまうものの、M20 6気筒エンジンはとてもなめらかで、エグゾーストノートもゴージャスだ。


快活かつ快適 サポートも拡大中

オンライン・フォーラムの活気のおかげで、英国ではZ1へのサポートは拡大を続けている。

また今もドイツから豊富なパーツを手に入れられることも心強い。

普段の足として十分に使えるのも嬉しい。賢明であることに加えて、とてつもない愉しさを与えてくれる点はやはりBMWならではだ。

ドアを降ろし乗り込み、グレーのジャケットを捲り、前髪をかき上げれば、あとはお楽しみの時間だ。

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