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同じ土俵に登った2台 BMW M3 ツーリング vs ランドローバー・レンジローバー・スポーツ 前編

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同じ土俵に登った2台 BMW M3 ツーリング vs ランドローバー・レンジローバー・スポーツ 前編

M3とレンジローバーに押し寄せた変化の波

1986年に、BMW M3とランドローバー・レンジローバーが似たような体験を与えるクルマだと評価したら、恐らく筆者はAUTOCARから追い出されていただろう。だが、2023年なら許されそうだ。

【画像】同じ土俵に登った2台 M3 ツーリング レンジローバー・スポーツ M4とレンジローバーも 全136枚

40年ほど前、BMWはレース参戦規定に合わせるべく、軽量な2ドアクーペをリリースした。他方のランドローバーは、人類が初めて月面着陸した翌年、1970年に発売した初代レンジローバーを現役としてラインナップさせていた。

どちらも純粋なコンセプトをもとに、原型といえる望ましいプロダクトへ仕上がっていた。当時の自動車マニアからすれば、この2台が並ぶガレージは理想的な姿だったといえる。

それ以来、自動車は大きく様変わりしている。ロータスを例に取れば、中国の武漢でバッテリーEVのクロスオーバーを生産し始めている。車重が2.4tもある、最新のエレトレだ。

M3とレンジローバーにも、変化の波は押し寄せている。お互いに比較されるような、派生版が誕生している。ガレージへ2台を並べる必要性は薄まったといえる。そこで英国編集部は、積極的に比べてみることにした。

グレートブリテン島の中西部、スノードニア国立公園には、最高出力の合計が1000馬力を超え、英国価格が20万ポンド(約3500万円)以上になる精鋭が集った。ボディカラーはレッドとグリーンで補色関係にあるが、ターゲット層は共有している。

クルマを強く特徴付ける大きな荷室

この関係性にあるのが、M3の「ツーリング」と、レンジローバーの「スポーツ」。もちろん、両車は明確に立ち位置が異なる。一方はオーバーステアで獰猛にコーナーを制覇する能力が与えられ、もう一方は悪路へひるまない走破性を備えている。

しかし、どちらもクルマを強く特徴付ける、大きな荷室を背負っている。もっとも、BMWの方はカッコイイと開発部が考えたという理由で、誕生したようではあるが。

加えて、周囲と差別化するため、巨大なパワーが与えられている。SUVのレンジローバー・スポーツですら、アストン マーティンDB9の0-100km/h加速を上回るダッシュ力を秘めている。

英国では価格も近い。恐ろしく速く、ドライバーを惹き込むほど情感豊かでありながら、とても実用的。アウディSQ7やジャガーFペイス SVR、ポルシェ・カイエン・ターボより、「本物感」も強い。

見た目の違いは小さくない。それでも、両者を接近させる要素はふんだんにある。今でも主戦場は、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェに対し北米大陸に広がるような荒野で、異なるとしても。

M3 ツーリングの場合、初代レンジローバーからレンジローバー・スポーツが生まれたほど、飛躍的な進化は遂げていない。高性能モデルのアイコンの1台といえるM3には、2代目となるE36型の時代から4ドアサルーンが存在していた。

ハードコアであることを隠さない見た目

世代を重ね、2020年に入り現行のG80型へモデルチェンジすると、進化は一気に加速した。歴代初となる四輪駆動システムが採用され、全天候型のスーパーサルーンと呼べる能力を獲得。そして2022年、新たなシルエットが与えられた。

ステーションワゴンのボディを得たM3は、いわば鬼に金棒。長く伸ばされたルーフラインをまとい、荷室容量はリアシートを倒せば1501Lまで広がる。これは、レンジローバーを上回る数字だ。

現実を見た車高設定はそのまま。ワダチや舗装の剥がれが多いスノードニアのワインディングを、構わず攻め込める。フェラーリGTC4 ルッソのフォルムも美しいが、遥かに気を使うことは間違いない。

BMWマニアなら、E46型のM3にツーリングの試作車が存在したことをご存知かもしれない。それから数世代を経て、充分な予算を用意すれば、実際に購入が可能になった。

スポーティなシートにカーボンセラミック・ブレーキなどのオプションが載った試乗車の英国価格は、10万150ポンド(約1753万円)。うなだれるほどお高いが、やはり素晴らしいクルマだ。白いモヤが一帯を包むが、マン・グリーンのボディが存在感を放つ。

シルエットはステーションワゴンでも、間違いなくアグレッシブ。ウイングを外したポルシェ911 GT3がツーリングを名乗るように、ハードコアであることを隠さない。

フェンダーラインは膨らみ、大きなエアインテークが切り込まれている。無二の趣を醸し出しているのが、長く伸ばされたリアエンド。ひと昔前のボルボと重なる。

走りがいのある道でドライバーを喜ばせるSUV

かたや初代レンジローバーは、アメリカでの高級SUV需要へ応えるべく、1970年に誕生。当時高水準にあったローバー製サルーンの豪華さと快適さ、高性能モデルに迫る動的能力が、スタイリッシュなステーションワゴン風のオフローダーへ融合された。

意欲的なレンジローバー・スポーツが枝分かれするように誕生したのは、3代目だった2004年。ポルシェ・カイエンやBMW X5へ対峙するためだった。

当初から電子制御アンチロールバーにマルチチャンバー・エアサスペンション、後輪操舵システム、可変ステアリング、トルクベクタリング機能などを搭載し、ハイテクだった。最新版は高剛性なモノコックをベースに、高次元な動的能力を獲得している。

果たして、3代目のレンジローバー・スポーツを、ドライバーズカーだと呼べるだろうか。異論はあるかもしれないが、スノードニアの走りがいある道へV8エンジンを積んだP530を進めれば、ドライバーを喜ばせるSUVだという事実が見えてくる。

カーブが連続する道を、不安感なくシリアスに攻め込みたいなら、BMW X5 Mの方が好適だろう。車重が2430kg、最高出力が530psあるレンジローバー・スポーツ P530は、得もいわれぬ優雅さを伴って駆けていく。

ボディロールは高性能サルーン並みに小さい。上下方向の姿勢制御には、レンジローバーらしい高級感がある。ストロークの長いサスペンションと、アクティブ・アンチロールバーが、しなやかな乗り心地を保つ。

この続きは後編にて。

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